JFEスチール、太陽電池向けシリコン原料製造技術を確立し実機プラントを建設
太陽電池向けシリコン原料製造技術の確立および実機プラント建設
当社は、このたび、太陽電池向けインゴット(ウエハー)製造に用いるシリコン原料(SOG(*1)シリコン)の製造技術を確立し、実機プラント(年産100トン)の建設に着手することを決定いたしました。また、量産プラントの設計も開始いたしました。
地球温暖化対策をその目的とする京都議定書は、1997年の採択の後、昨年2月に発効されました。2010年時点での日本のCO2発生量(見込み)は13.1億トンと、目標である11.6億トンに対し1.5億トン超過すると予想されています。このため、昨年4月の国の京都議定書目標達成計画では、太陽光発電や風力発電、バイオマス発電といった新エネルギーの導入で、超過する1.5億トンの3分の1相当の4700万tの削減を目指しています。このうち太陽光発電では、少なくとも約260万t のCO2発生量の削減が期待されています。
太陽光発電は、世界的にも普及が進んでいます。特に、環境問題に先進的に取り組んでいるドイツをはじめとするヨーロッパでは、発電電力の高価買取制度に支えられて急速に普及が進んでいます。このため、半導体用および太陽電池向けポリシリコン原料は、世界的に需給が逼迫しており調達しづらくなっています。
当社は2001年から独自の一方向凝固技術によりインゴットを製造しており、生産量では世界で2位グループに位置する大手インゴットメーカーです。需給が逼迫している原料の安定確保を目的に、ポリシリコンの代替となるSOGシリコンを金属シリコンから製造する研究を自社で行ってまいりました。100%金属シリコンかつ100%SOGシリコンを用いた試作品で、ポリシリコンを使用した従来品と同等の高い変換効率(*2)を得ることが確認できたため、西日本製鉄所(倉敷地区)において100t/年規模の実機プラントを10月に稼動させることといたしました。また、量産プラントの設計にも着手いたします。
実機プラントの製造プロセスの技術ベースは、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より2001年まで委託されて実施した研究開発の成果にあります。より精錬機能を高める改良を加えたことで、年々厳しくなる高品質化の要求に十分耐えられる原料となっています。
当社は、今後も、確立した技術と増強する設備を活かし、高性能、高品質の多結晶シリコンインゴット(ウエハー)を安定的に供給してまいります。
【注】
(*1)SOGシリコン:
Solar gradeシリコン。シーメンス法により化学プラントでCVDプロセスを用いて製造され半導体用ウエハーとして使用されるポリシリコンに対し、太陽電池用にのみ対応可能な品質レベルのシリコン原料を示します。
(*2)変換効率:
太陽電池に入射した光エネルギーを電気エネルギーに変換する割合。たとえば、変換効率10%とは、1kW/m2の光エネルギー(晴天時の太陽光のエネルギー)を1m2の太陽電池に照射した時、100Wの電力エネルギーに変換されることを意味します。
(*添付資料参照)
【図:太陽電池パネル製造フロー】
【世界の太陽電池生産量推移】
以上
