富士経済、5分野21薬効の一般用医薬品市場調査結果を発表
ドリンク剤、ビタミン剤など5分野21薬効の一般用医薬品市場調査を実施
美白訴求、関節痛訴求など効能効果の体感商品に活路
総合マーケティングビジネスの(株)富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 代表取締役 阿部英雄03-3664-5811)は、このほどリンク剤、ビタミン剤、漢方薬など一般用医薬品市場5分野21薬効の調査を実施した。その結果を調査報告書「一般用医薬品データブック 2006 No.3」にまとめた。
<調査結果の概要>
分野 2005年 2006年 06/05
ドリンク剤(医薬品) 466億円 442億円 94.8%
ビタミン剤 572億円 567億円 99.1%
その他保健薬 399億円 395億円 99.0%
循環器・血液用薬 116億円 128億円 110.5%
漢方薬 127億円 127億円 100.0%
5分野合計 1,679億円 1,658億円 98.8%
医薬部外品への移行から、医薬品のドリンク剤は減少を続けている。特にドリンク剤は、第二次規制緩和が行われた2004年以降大幅に落ち込んでおり、2006年には100億円を下回るとみられる。ミニドリンク剤は景気の回復もあり高価格帯の商品を中心に回復の兆しが見えており2006年は前年をわずかながら上回るとみられる。
ビタミン剤は、サプリメントなどとの競合から減少を続けているが、2005年、2006年と減少幅は徐々に小さくなっている。武田薬品工業の「アクテージAN」をはじめとした関節痛訴求商品の浸透によるビタミンB1主薬製剤市場の回復が挙げられる。
その他保健薬は、強肝解毒栄養剤と女性保健薬が回復しているものの滋養強壮剤が低迷しており減少を続けている。強肝解毒栄養剤はしみ・そばかす訴求の「ハイチオールC」、「ハイチオールCプルミエール」(エスエス製薬)などが美白需要を取り込み、女性保健薬は中高年の更年期需要を取り込んでいることがプラス要因となっている。
循環器・血液用薬は、2005年までは減少を続けてきたが、2006年は造血剤、肥満防止剤の大きな伸びにより増加に転じるとみられる。特に造血剤は特定保健食品との競合により伸び悩んでいたが、医薬品ならではの吸収性を訴求し健康食品等との差別化に成功し2005年より増加に転じた。2006年は、貧血の治療に特化した新製品「ファイチ」(小林製薬)の投入もあり、規模は小さいものの、前年比67%増の13億円の市場になると見込まれる。肥満防止剤も健康食品(ダイエット食品)の影響を受け減少していた。2006年は、従来の美容目的とは一線を画し生活習慣病対策の位置づけで小林製薬から新商品「ナイシトール85」が発売され、メタボリックシンドロームの話題性から店頭での取り扱いが増えており、市場は増加に転じると見込まれる。強心剤、血清高コレステロール改善薬は、推奨販売に頼らざるを得ずセルフ販売の流れの中で減少傾向となっている。
ドリンク剤(ドリンク剤、ミニドリンク剤、肩こりドリンク剤)市場
分類 2004年 2005年 2006年 06/05
医薬品 561億円 466億円 442億円 94.8%
医薬部外品 1,420億円 1,458億円 1,461億円 100.2%
合計 1,981億円 1,924億円 1,902億円 98.9%
(肩こりドリンク剤は医薬品のみ)
1999年の販売規制緩和により医薬部外品ドリンク剤、ミニドリンク剤はCVSをはじめとする非薬系チャネルでの展開が可能となり、大幅な伸びを示した。しかし、非薬系チャネルに需要を奪われた医薬品ドリンク剤は価格競争の激化により店頭価格が下落傾向となり、医薬部外品も食品カテゴリーの機能性ドリンクなどとの競合から拡大が難しくなり、トータルでも2001年頃からは減少に転じた。2004年から2005年にかけては、第二次規制緩和に伴い、医薬部外品への移行が行われ、医薬部外品カテゴリーでの新商品投入や商品リニューアルが活発化し、医薬部外品のドリンク剤・ミニドリンク剤市場は増加したが、既存品ベースでは依然として低迷が続いている。市場全体に占める医薬部外品のウエイトは、2005年に75%程度となり、ドリンク剤で90%程度、ミニドリンク剤でも50%近くに達しており、ドリンク剤市場は医薬部外品がメインとなっている。
<No.1~3のまとめ>
14分野65薬効の合計市場 2005年 6,133億円 2006年 6,100億円(前年比0.5%減)
一般用医薬品市場は、セルフメディケーションを巡って健康食品・サプリメントとの競合を受け、主力の保健薬が落ち込み、一般用医薬品自体の位置づけが消費者、店頭において低下し、2001年以降伸び悩んでいる。サプリメントの台頭は、一般用医薬品にとっては差別化のための新しい切り口が必要となり、ビタミンC主薬製剤による美白訴求、ビタミンB1主薬製剤による関節痛訴求、さらには尿もれ抑制薬、禁煙補助剤、催眠鎮静剤(睡眠改善)などの効能効果の体感により活路を切り開いている。この流れは、2006年の新商品投入において本格化している。小林製薬の「ファイチ」(造血剤)はその一例と言える。
2004~2005年にかけては、第二次規制緩和により保健薬領域を中心に医薬部外品に移行しており、一般用医薬品市場にとってはマイナス要因となった。しかしながら、医薬部外品への移行により、商品数過多からの需要分散を回避できるという長期的なメリットが期待される。2006年以降は、体感商品に活路を見出し一般用医薬品ならではの優位性を発揮できる領域を見定めることで、セルフメディケーションの選択肢としての高い位置づけを確保する可能性がある。また、2006年は薬事法改正による新資格制度による販売改正もあり、将来的には新規のスイッチOTCの登場等で一般用医薬品市場の活性化も期待される。
<調査対象>
* 関連資料 参照
<調査方法>
富士経済専門調査員による対象企業及び関連企業・団体などへの面接取材及び公的統計等による補完
<調査期間>
2006年5月~2006年7月
以上
資料タイトル:「一般用医薬品データブック 2006 No.3」
体裁 :A4判 242頁
価格 :90,000円(税込み94,500円)
調査・編集 :富士経済 東京マーケティング本部 第二事業部
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