IRジャパン、モーター制御など向けに高耐圧ゲート駆動IC19品種をサンプル出荷
インターナショナル・レクティファイアー
高耐圧ゲート駆動IC 19品種をサンプル出荷、新しい製造技術で信頼性を向上
パワー・マネジメント(電源管理)技術で世界をリードするインターナショナル・レクティファイアー・ジャパン(IRジャパン)株式会社(本社:東京都豊島区、江坂文秀代表取締役社長)は27日、新しく導入した製造技術を使った耐圧500Vと600Vの高耐圧IC 19品種のサンプル出荷を開始しました。
19品種のうち、ハーフブリッジ(*1)駆動ICが12品種、ハイサイド駆動回路とローサイド駆動回路を集積し独立に制御できるICが7品種です。用途は、モーター制御、照明、スイッチング電源、オーディオ、フラットパネル・ディスプレイなど広範囲です。
シングル入力またはデュアル入力、UVLO(低電圧ロックアウト)保護機能付き、ハーフブリッジ駆動ICでは固定または可変のデッドタイム(*2)機能も内蔵しています。今回のICは、最新の第5世代高耐圧IC(G5 HVIC)技術を使って製造されています。高電圧のレベルシフトや終端技術を盛り込み、信頼性を高めています。
<技術の詳細>
G5 HVICは広範囲な品質試験と信頼性試験に合格しています。長時間の信頼性試験は、その用途で予測される製品寿命を超えて実施されました。この評価では、データシートに記載するデバイス接合温度の仕様を超える、2000時間の高温バイアス試験を含む複数のストレス条件にデバイスが耐えることが要求されます。
これらのデバイスは、シリコン技術とパッケージの強化により、信頼性が向上しています。例えば、最新のパッケージング装置や材料と、モールド・コンパウンド注入技術の進歩との組み合せにより、これらのデバイスの耐湿性が強化され、プラスチック・パッケージと半導体チップの間のインタフェースが向上しています。鉛フリーはんだ材料の採用によって、はんだのピーク温度が上昇したことを考えると、これは重要な点です。
表面実装用の8ピンSOP(SO-8)パッケージは、電子部品の標準化団体JEDECのJ-STD-020C規格のMSL2(耐湿性レベル2)品質、その他のすべての表面実装パッケージはMSL3品質に認定されています。これはIR社の環境目標と方針に準拠しています。
IR社の高耐圧IC技術では、駆動ICの中にnチャネルとpチャネルのLDMOS(横方向拡散MOS)回路を組み込んでいます。入力が低電圧で、高電圧出力の電力を安定化したい用途に対して、ゲート駆動機能と保護機能を提供します。さまざまな機能を内蔵したので、回路設計が簡素化され、コストを削減できます。低価格ブートストラップ電源を使用するオプションも含まれています。このオプションを使うと、個別部品(ディスクリート)のオプト・カプラーやトランスを採用した設計で一般に必要とされる大型で高価な補助電源が不要になります。サンプル価格は270円(税込み)からの予定です。データシートと画像データはIRジャパンのホームページ(http://www.irf-japan.com)にあります。
(*添付資料参照)
表1 ハーフブリッジ駆動IC 12品種の概要(すべて耐圧600V)
表2 ハイサイド駆動回路とローサイド駆動回路を集積したIC 7品種の概要
<用語説明>
*1)ハーフブリッジ回路:直流を交流に変換するインバータ回路を構成するときの1つの回路方式です。2つの電源(ゲート駆動回路)と2つのスイッチング素子(トランジスタ)で構成します。ハーフブリッジ回路2個を並列に構成したものがフルブリッジ回路です。
*2)デッドタイム:ハイサイドMOSFETとローサイドMOSFETを同時にオフする期間のことです。ハイサイドMOSFETとローサイドMOSFETが同時にオンすると貫通電流が流れてMOSFETが破壊されてしまうことがあるため、これを防止するために同時にオフする期間を作ります。なお、出力回路を2つのMOSFETで構成した場合、上側のMOSFET(電流を供給する役割)をハイサイドMOSFET、下側のMOSFET(電流を吸い込む役割)をローサイドMOSFETと呼びます。
<インターナショナル・レクティファイアー(IR(R))社について>
IR社はパワー・マネジメント(電源管理)技術のリーダーです。IR社のアナログIC、アナログ/デジタル混在IC、最先端デバイス、電源回路やモーター制御回路の部品やシステムは、コンピュータ、インバータ・モーター搭載の白物家電製品、照明器具、車載用電子機器、宇宙航空用電子機器など幅広い分野において、機器の小型化、省エネ化、高機能化に貢献しています。本社は米国のカリフォルニア州エルセグンド。
注:IR(R)はInternational Rectifier Corporationの登録商標です。当資料に記載されるその他の製品名の商標はそれぞれの所有者に帰属します。