富士キメラ総研、世界の光通信用部品・材料市場調査結果を発表
世界の光通信用部品・材料市場調査を実施
ギガクラスFTTH展開と次世代IPネットワーク構築により光通信関連世界市場は今後も拡大
マーケティング&コンサルテーションの(株)富士キメラ総研(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 表 良吉03-3664-5841)は、FTTHの世界規模での展開、Ethernet系とSDH/SONET・DWDMが融合した次世代IPネットワークの構築などの展開が進む光通信関連部品・材料の世界市場を調査分析した。その結果を報告書「2006 光産業予測便覧 Vol.1 光通信用部品材料編」にまとめた。
本報告書では、光通信市場を中心に、光伝送装置8品目、光アクティブデバイス10品目、光パッシブデバイス8品目、光ファイバ/光回路デバイス8品目、マテリアル5品目、測定機/製造装置7品目の市場動向について調査・分析した。
2005年から2006年にかけての光通信市場におけるキーワードは、「ギガクラスFTTHの世界展開」と「次世代IPネットワークの構築」である。FTTHは日本において、メディアコンバータ → B-PON → GE-PONと3世代続いた。その中でギガクラスであるGE-PONと同様の技術であるG-PONを使ったFTTHが北米で始まろうとしている。また、韓国でもGE-PON、WDM-PONによるFTTHサービスが計画されている。これにより、1.25G光インターフェースモジュール、光カプラなどの光デバイスが大量に生産され、大きな市場が形成された。各デバイスの生産拠点も日本や欧米だけでなく、台湾、中国などアジア地域に広がった。FTTHの広がりにより、Metroネットワークの需要が高まり、ROADM搭載のDWDM光伝送装置市場が急速に伸びた。
SDH/SONETとEthernet、FiberChannelなどのデータコム系が融合された伝送装置の需要が高まり「次世代IPネットワーク」が各地で構築されている。次世代IPネットワークの一つのモデルである「NGN(Next Generation Network)」が日本でも総務省の「次世代IPインフラ研究会 IPネットワーク ワーキンググループ」で議論されている。ITU-Tでは2006年中に「リリース1」と呼ぶ第一弾の標準化が終わる予定である。
メディアコンバータ:光ファイバと銅線ケーブルなど異なる伝送媒体を接続し、信号を相互に変換する装置
PON:Passive Optical Network:光ファイバ網の途中に分岐装置を挿入して、一本のファイバを複数の加入者宅に引き込む技術
B-PON:Broadband PON
GE-PON:Gigabit Ethernet-Passive Optical Network:1Gbps光ファイバのアクセス区間通信を実現するPON技術
G-PON:Gigabit PON
WDM:Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重方式
WDM-PON:波長多重を使って各ユーザーに1波長をそのまま伝送するPON技術
ROADM:Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer:再構成が可能な光信号の分岐/挿入を行う多重化システム
DWDM:Dense Wavelength Division Multiplexing:高密度波長分割多重方式
SDH/SONET:光ファイバを用いた高速デジタル通信方式の国際規格
FiberChannel:コンピュータと周辺機器を結ぶためのデータ転送方式の一つ
ITU-T:国際電気通信連合(ITU)で電気通信に関する技術の標準化を担当する部門
Metroネットワーク:事務所や商店の施設が集まった比較的小さい地域に敷設されたネットワーク
<調査結果の概要>
添付資料をご参照ください。
光通信関連市場は2005年に入り本格的に回復した。要因として、Ethernet系市場の拡大、日本のFTTH市場をはじめとするブロードバンド市場の伸びによる高速大容量伝送の需要が高まったことなどが挙げられる。FTTHは、日本においてGE-PONを使ったギガクラスのサービスが行われているが、北米のG-PON、韓国のGE-PON、WDM-PONによるサービスも始まろうとしている。また、中国、オーストラリア、欧州数カ国でもギガクラスのFTTHが検討されている。FTTH需要の拡大により新たなMetroネットワークが構築されている。Ethernet、FiberChannelとSDH/SONET、DWDMを融合した「NGN」のような次世代IPネットワークの構築が検討されている。ROADM機能を搭載したDWDM伝送装置市場が伸び、そのデバイスとしてフルチューナブルレーザが使われるなど、新しい技術・デバイスが脚光を浴びている。デバイスでは、10G光インターフェースモジュール市場が本格化した。XENPAK、XFPが牽引するこの市場は今後も右肩上がりに推移していくと予測される。
XENPAK:10(X)Gigabit Ethernet Transceiver Package:10GbpsのEthernet向け光トランシーバ・モジュールのMSA
XFP:10(X)Gigabit Small Form-factor Pluggable Transceiver:SONET、SDH、FiberChannel、Ethernet等の伝送規格を同じ形態で実現する10Gbps光トランシーバ・モジュールのMSA
MSA:Multi-Source Agreement:製品のパッケージサイズ、ピン配置、スペックなどを複数のベンダー間で共通化する事で、製品の安定した供給体制を確立する手法
分野別に見ると、2005年は光伝送装置、光アクティブデバイス、光パッシブデバイス、光ファイバ/光回路デバイス、マテリアル、測定器/製造装置市場の各分野とも前年を上回った。
光伝送装置は、2005年もMetro系DWDM伝送装置が好調であった。特にROADMを搭載したものが市場を拡大した。FTTH用のPONシステム、Ethernet、FiberChannel系のルータ、LANスイッチも引き続き好調に推移した。
光アクティブデバイスは、10Gインターフェースモジュール市場が本格化した。FTTH用では日本のGE-PON向けBi-di(Bi-Directional)モジュール、Bi-diトランシーバ需要が高まった。
光パッシブデバイスでは、光ファイバ融着タイプ光カプラ、光スイッチがWDM市場の回復で市場を伸ばし、フリースペース光アイソレータは1.25G以上の光インターフェースモジュール需要の拡大で市場を大きく伸ばした。
光ファイバ/光回路デバイスでは、光ファイバが前年のマイナス成長からプラスに転じた。要因は日本、北米におけるFTTH需要と中国市場の拡大である。光コネクタは前年のFTTH特需の反動で2005年はマイナスとなった。
マテリアル市場では、磁性ガーネット、偏光ガラスなどの光アイソレータ用材料が大きく伸び、光ファイバ材料、化合物半導体など基幹デバイス向け材料も好調であった。
測定器/製造装置は、好調な光通信市場を背景に2桁増となった。中国、インドなどアジア地域での市場が伸びている。
<注目市場>
▼PONシステム
2006年見込 1,625億円 2010年予測 2,585億円(伸長率159%)
2001年3月にUSENがFTTHサービスを開始し、同年夏にはNTT東西がBフレッツを開始したことで、2002年以降はFTTxサービスが本格的に普及し始めた。国内ではNTT東西のBフレッツを中心に利用者が2006年3月末には累計で342万人を突破しており、全体の累計加入者は546万人となった。2006年度末にはNTTで累計加入者612万人、全体で累計1,000万人に迫ると予想される。これに伴いFTTx関連機器の市場も拡大傾向にある。また、サービス向上の点から、既存のメディアコンバータによる100Mbps占有サービス、E-PON、B-PONによる100Mbpsベストエフォートのサービスに加えて、2004年9月からGE-PONによるサービスも提供されはじめている。現在ではほとんどのキャリアがGE-PONにシフトしている。
2005年のPONシステム市場は前年比32%増の1,055億円となった。2006年以降は、日本市場は堅調、北米市場の本格化、韓国市場の2007年からの立ち上がり、中国、EU、カナダ、台湾市場の2009年頃からの立ち上がりといった複数の要因が絡み合いながら成長していくとみられる。
FTTx加入者の増加によりPONシステム方式の方が低コスト化に寄与するため、メディアコンバータ方式中心のシステムをPONシステム方式中心に変更するサービス会社が増加している。FTTxサービスの普及率は各国の世帯数を上限として鈍化してくるが、先発の日本の伸びが鈍化する頃には、北米、欧州、アジアといった後発地域が増加してくるため、PONシステム全体としては2010年以降もプラス成長が見込まれる。
E-PON:Ethernet Passive Optical Network
ベストエフォート:サービスの品質の保証がない通信ネットワーク
▼光インターフェースモジュール
2006年見込 1,643億円 2010年予測 3,681億円(伸長率224%)
光信号と電気信号をその内部で相互交換(光/電変換)し、伝送するためのモジュールで、光トランスミッタ(送信モジュール)、光レシーバ(受信モジュール)、光トランシーバ(送受信モジュール)に大別される。SDH/SONET、Ethernet、FiberChannelなどの使用に準拠した光トランシーバが主流となっており、光トランスミッタ、光レシーバは長距離タイプ、WDM用などが比較的多くなっている。本調査ではすべてトランシーバ/トランスボンダに換算している。また、システムメーカーが内製しているもの(オンボードタイプ)や、FTTH用に使われるBi-diモジュールは含んでいない。光インターフェースモジュールは、さまざまなフォームファクタがあり小型化、低価格化が進んでいる。2.5Gbps以下の業界標準の小型トランシーバの規格にはSFF(Small Form Factor)とSFP(Small Form Factor Pluggable)がある。SFFは約0.5インチ幅の2心型光コネクタを持つ光トランシーバで、SFPは電気コネクタが着脱可能なエッジコネクタとなっているSFF光トランシーバである。
フォームファクタ:ハードウェアのサイズや形状、配置など、外形的な部分を決める要素
2005年の市場は、数量ベースで前年比8%増の2,862万個、金額ベースでは前年比20%増の1,323億円となった。金額ベースの伸びが数量ベースのそれを上回った要因は、10Gなど高速製品市場が伸びたためであり、低価格化は依然として進んでいる。
10GインターフェースモジュールはXENPAK、X2、XFPに牽引され市場が本格化しており、今後更に拡大すると予測される。DWDMを中心とする光伝送装置のライン側LDが、10G中心となったことにより、クライアント側も10Gのウエイトが増加した。そのため、ここへきて10Gトランシーバの数量が急拡大し市場は本格化している。この要因として、10Gのフォームファクタが揃い、価格も手ごろになったこと、データコム需要の拡大で、より高速化が求められたことなどが挙げられる。それにともないROADMによるMetro DWDM市場も伸びている。日本のFTTH向けで1.25Gトランシーバ需要が拡大しており、今後は北米、韓国、中国向けも拡大するとみられる。VCSELトランシーバはデータコム需要の伸びもあり相変わらず好調に推移している。Ethernet市場ではギガビットから10Gbpsへ移行し、FiberChannel市場においても4Gが主流になりつつあり、8Gの開発も進められている。一方で、低価格化が進み、経営が逼迫するメーカーもあり、買収、合併の件数は増加している。また、低速分野を中心に生産がアジア地域へシフトしている。
X2:2nd Generation XENPAK:XENPAKの次の世代のMSA
VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser:面発光レーザ
<調査対象>
光伝送装置 8品目
光ファイバ/光回路デバイス 8品目
光アクティブデバイス 10品目
マテリアル 5品目
光パッシブデバイス 8品目
測定機/製造装置 7品目
<調査期間>
2006年7月~8月
<調査方法>
(株)富士キメラ総研専門調査員による調査対象・関連企業に対してのヒアリング取材及び(株)富士キメラ総研社内データベースの活用による調査・分析
以 上
資料タイトル:「2006 光産業予測便覧 Vol.1 光通信用部品材料編」
体 裁 :A4判 318頁
価 格 :95,000円(税込み99,750円)
調査・編集 :株式会社 富士キメラ総研 研究開発本部 第一研究開発部門
TEL:03-3664-5815 FAX:03-3661-5134
発 行 所 :株式会社 富士キメラ総研
〒103-0001東京都中央区日本橋小伝馬町2-5 F・Kビル
TEL03-3664-5841(代) FAX 03-3661-7696 e-mail:koho@fuji-keizai.co.jp
この情報はホームページでもご覧いただけます。
URL:http://www.group.fuji-keizai.co.jp/
URL:http://www.fcr.co.jp/