万有製薬、2型糖尿病合併高脂血症患者のコレステロール管理の重要性を確認
高脂血症治療剤リポバス(R)錠による大規模臨床研究「J-LIT*」のサブ解析より
(主要冠動脈イベントの危険因子について)
2型糖尿病合併高脂血症患者における、コレステロール管理の重要性が示された
~欧州動脈硬化学会学会誌Atherosclerosisに論文掲載~
Registered trademark of Merck & Co.,Inc.,Whitehouse Station,N.J.,U.S.A
万有製薬株式会社(本社:東京、社長:平手 晴彦)が販売している高脂血症治療剤リポバス(R)錠が投与された症例を対象とした大規模臨床研究「J-LIT(Japan Lipid Intervention Trial)」のサブ解析により、糖尿病を合併した高脂血症患者において虚血性心疾患のハイリスク群としてコレステロール管理の重要性が示されました。その解析結果が欧州動脈硬化学会の学会誌Atherosclerosis{191(2007) 440-446}に論文掲載されました(2007年4月号)。
高脂血症患者では2型糖尿病の合併により虚血性心疾患のリスクが高くなることが知られていますが、日本人を対象とした直接的なエビデンスは不足していました。そこで、大規模な疫学的研究であるJ-LITのデータからサブ解析を行い、リポバス(R)錠の投与を受けている患者における脂質値と主要冠動脈イベント発症の関連を糖尿病の有無別で検討しました。主な解析結果は以下のとおりです。
*J-LITは、日本人の高脂血症患者約5万人を対象に6年間リポバス(R)錠を1日5mgから10mg投与して、血清脂質値と虚血性心疾患の発生頻度との関係を明らかにした大規模な疫学研究です。
【 J-LITサブスタディ(主要冠動脈イベントの危険因子について)の概要 】
●目 的:虚血性心疾患の既往のない高コレステロール血症患者の冠動脈イベントリスクに対する糖尿病の影響をJ-LITデータにおいて評価する。
●対 象:J-LIT登録患者52,421例のうち一次予防解析に選択した47,294例から追跡調査データ不足などにより5,493例を除外した41,801例を対象とした。
●方 法:シンバスタチンを1日5mgから10mg投与し、脂質値および冠動脈イベントの発症状況を6年間追跡した。
●評価項目:主要冠動脈イベント(非致死性・致死性心筋梗塞および突然心臓死)の発症
【 解析結果 】
●冠動脈イベントの発症率は、糖尿病群が1.80/1,000人・年[1]、非糖尿病群が0.76/1,000人・年で、糖尿病群において有意に高かった[2]。
●血清低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)値が10mg/dL増加したときの冠動脈イベントの上昇率は、2型糖尿病の合併の有無に関わらず同様(糖尿病群;17.3%および非糖尿病群;19.4%)で、有意に増加した。
●血清高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)値が10mg/dL増加したときの冠動脈イベントの上昇率は有意に低下した(糖尿病群;マイナス34.9%および非糖尿病群;マイナス38.0%)。
[1]1.80/1,000人・年とは、1年間で1,000人中1.80人を意味します。
[2]相対リスク2.38(1.77-3.21)。すなわち、非糖尿病群を1とした場合、糖尿病群では2.38倍リスクが高くなります。
【 結 論 】
●日本人の大規模研究で、2型糖尿病を合併した高脂血症患者では冠動脈イベント発症のリスクが高いことを初めて明らかに示した。
●高脂血症に2型糖尿病を合併した日本人患者の冠動脈イベントを減少させるためには、血糖のコントロールに加え、LDL-C値,HDL-C値およびTG値の管理が重要である。
以 上