森トラスト、東京23区の大規模オフィスビル供給量調査結果を発表
東京23区の大規模オフィスビル供給量調査'07
森トラスト株式会社(本社:東京都港区)では、1986年から継続して、東京23区の延床面積10,000m2以上の大規模オフィスビルを対象に、各プロジェクトの計画進行状況等について現地調査ならびに聞き取り調査を行っており、最新の調査・分析結果を以下に取りまとめました。なお、本調査では、対象が店舗や住宅、ホテル等と一体の複合用途ビルである場合には、オフィス以外の用途を除き、純粋なオフィス部分の延床面積のみ集計しています。 〔調査時点:2006年12月〕
【 今後2010年まで、大規模オフィス供給は極めて低水準に 】
<調査結果のポイント>
1.供給量の推移
'07-'10年の年平均供給量は76万m2となる見通しで、'03-'06年の146万m2からほぼ半減。
’03年の大量供給以降、旧国鉄用地等での超大規模開発が相次いだ結果、’03-’06年の平均供給量は146万m2/年に達したが、大半が’06年内に竣工を迎えたため、’07-’10年には、ほぼ半分の76万m2/年まで減少する見通しである。
2.供給エリアの傾向
'07-'10年は千代田区での供給が4割強と突出し、東京駅周辺への一極集中傾向が鮮明に。
また、オフィス集積の進展著しいビジネス都心周辺部では、中小規模のビル開発が活発化。
’07-’10年の供給エリアを見ると、千代田区での供給が顕著で42%を占め、またビジネス地区別では、「大手町・丸の内・有楽町」地区への一極集中が鮮明となり4年間の供給量は約100万m2に達する。
他の地区では、「赤坂」「大崎・五反田」「西新宿」での供給がいずれも20万m2を超える以外に、目立った供給エリアは見られない。また、大丸有地区をはじめ、汐留や六本木など’03年以降急速にオフィス集積が高まったビジネス都心の周辺では、中・小規模ビルの開発が活発化している。
3.建替えによる供給動向
今後の大規模オフィス供給は建替えが主体で、SPC等を活用した事業手法の多様化が進む。
’03-’06年においては、開発用地の約7割が旧国鉄用地を含む低・未利用地であり、建替えは3割程度に過ぎなかったが、’07-’10年には、建替えが54%と過半を占め、低・未利用地での開発を上回る。また、建替えの事業主体として、’03-’06年には不動産会社が63%を占めていたが、’07-’07年は38%まで減少し、代わってSPC等が14%から32%へと大幅に増加しており、ビル建替えに際して、不動産証券化を絡めた事業手法の多様化が進んでいることが分かる。
<今後のマーケット展望>
ここ数年の、東京のオフィス市況を概観すると、景気拡大を背景とした旺盛な需要を受け、’03年後半以降の空室率低下と、それに伴う昨年来の賃料上昇傾向が鮮明となっている。さらに今年に入ってからも、新築大規模ビルの満室稼動が早々に報じられるなど、需要に衰えは見られない。
昨今の著しい市況回復は、業容拡大に向け組織再編・統合等を推進する企業のオフィス戦略と、都心の好立地における大量供給とが需給両面で相乗した結果とも捉えられ、今後の供給も、都心の超一等地を中心に展開される点では、より一層の需要喚起が期待される。
加えて、地震等による災害リスクへの関心が高まるなか、ビル選定時に今後より重要度を増す要素として、「高水準の耐震性能」や「インフラ設備のバックアップ対応」などを挙げる企業が多いことから、“高い安全性・信頼性”を備えた大規模ビルへの移転ニーズが増幅される可能性もある。
さらに、今後の大幅な供給減少を考え合わせれば、都心の大規模オフィスを中心とした需給逼迫・賃料上昇傾向が当面続くとみられる。一方、現在の好況を持続する上では、将来的な空室枯渇に伴う需要の停滞も視野に入れつつ、良質なオフィスの新規供給をより積極的に推進することも肝要となる。その意味では、例えば、検討が開始された国有資産の売却・高度利用化など、都心の好立地におけるオフィス供給に対し、新たなインパクトを与え得る施策の早期実現に期待が懸かる。
(※ 以下、詳細は添付資料「オリジナルリリース」を参照してください。)