飛島建設、ダム建設など向けにICタグを用いた骨材混入防止・運行管理システムを開発
ICタグを用いた骨材混入防止・運行管理システムを開発
-横川ダム建設工事(山形県)にて初適用・類似工事への展開を図る-
飛島建設(株)(社長・池原年昭)では、ダム建設などで大量に使用するコンクリートの原材料である石や砂など骨材の運搬管理および骨材貯蔵設備への誤投入防止などをトータル的に管理する「ICタグを用いた骨材混入防止・運行管理システム」を開発し、横川ダム建設工事(山形県西置賜郡小国町)に初適用し、所定の成果を得ることが出来ました。
【開発の背景】
横川ダムにおけるダム用骨材は、国土交通省直轄工事では初めてとなる購入骨材を使用しました。ダムサイトに設置した骨材貯蔵設備(粗骨材4ビン+細骨材2ビン)に約25km離れた骨材製造プラントから、1日平均200台程度のダンプトラックによる骨材搬入を行うことになり、受入設備における骨材の誤投入は、コンクリート品質に悪影響を及ぼすとともに、混入した骨材の分級には大きな労力と時間を要し、コスト、工程に大きな影響を及ぼすことが考えられました。
骨材運搬において誤投入が発生する最も大きな要因としてヒューマンエラー(誤操作、勘違い)が考えられました。そこで、電気的・機械的な防止装置を開発し、設置運用することにより誤投入の防止と、併せてダンプトラックの運行状況を把握し、安全運転や沿道対策にも活用できる本システムを開発することとしました。
【システム概要】⇒添付資料参照「ICタグを用いた骨材混入防止・運行管理システム運用概要図」
本システムに使用する装置は、「書込装置」、「受発信装置(アンテナ)」、「記憶、発信装置(ICタグ)」、「制御装置」、「表示装置(電光表示板)」、「演算装置(パソコン)」、「出力装置(プリンター)」で構成されます。
骨材ストックヤードでの積込時に、タイヤショベルのオペレータが骨材種別の情報を発信し、ダンプトラック装着のICタグに自動的に書込まれます。出荷チェックポイントにある操作ボックスでダンプ運転手が積載している骨材種別のボタンを押し、同時に重量測定(トラックスケール)を行い、積込時にICタグ記録された内容と誤りが無ければ出荷が可能となります。受荷チェックポイント~骨材貯蔵設備では、ICタグに書込まれた骨材情報を読込むことによりシャトルコンベヤの自動運転を行い、ヒューマンエラーを無くし異種の骨材混入を確実に防止出来るようにしました。回送時にリセットポイント通過してICタグのリセットを行い次の運搬に移ります。
これらの一連の骨材運搬状況(骨材の出荷時間、搬入時間、搬入量、運行時間・速度等の管理)をリアルタイムに把握し、素早い適切な対応を可能とし、骨材量の集計(搬入量、ストック量等)作業について、PCへの数値入力作業を殆ど無くすことで、入力ミスも発生せず数量管理が正確・容易・迅速に実施できるようにしました。
実際の骨材運搬は、平成H16年5月~平成18年6月まで行いましたが、現場の冬季休止があるため、実運搬期間は20ヶ月でした。運搬量については下表のとおりです。
(*添付資料参照)
【今後の課題】
更なる骨材混入防止・運行管理システムの完成度を向上するために、製品積込オペレータ(ホイルローダ)とダンプオペレータによるICタグへの書き込みについて、受入側でレーザ変位計をダンプトラック停止位置及び受入ベルコン上に設置し骨材種別の認識を自動で行い、認識した骨材種別情報を各貯蔵ビンへ振分けるためのシャトルコンベヤへ伝達させ、自動制御運転を行うようにすると完全無人化ができ完全に骨材誤投入を防ぐことが可能になると考える。
【営業展開について】
今後の中規模ダムなどで購入骨材を使用するケースが増えるものと考えられ、益々混入防止管理システムが必要となります。受入側において確実に製品骨材を投入できる設備が求められると思われ、次期案件の受注活動に当現場の成果を積極的に活用していきます。
【横川ダムのプロフィール】
横川を含めた荒川流域は大雨のたびに洪水が発生し周辺地域に大きな被害を与えてきました。特に昭和42年8月に発生した羽越水害での被害は甚大で、昭和43年に本川の荒川が一級河川に指定されました。横川ダムは、昭和44年に策定された荒川水系工事基本計画に基づき、昭和53年に竣工した大石ダムに続き建設されるものです。横川ダム建設の主な目的は、計画高水量を調節し下流の横川沿岸及び荒川本川沿岸の洪水被害の軽減を図り、更にダムからの放流によって下流の用水確保や工業用水の供給、発電による電気の供給などを行うものです。
工事名:横川ダム本体建設第1期&第2期工事
発注者:国土交通省北陸地方整備局
施工者:飛島・戸田・福田特定建設工事共同企業体
工期:平成15年3月11日~平成20年3月31日
工事場所:山形県西置賜郡小国町大字綱木箱口地内
河川名:一級河川荒川左支川横川
ダム諸元:形式重力式コンクリートダム
堤高 72.5m
堤頂長約 280.0m
堤頂幅約 6.5m
堤体積約 24万m3