ファイザー、先端巨大症治療薬「ソマバート皮下注用」を発売
先端巨大症治療薬、成長ホルモン受容体拮抗剤
「ソマバート(R)皮下注用10mg・15mg・20mg」新発売
ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:岩崎博充、資本金:648億円)は、6月5日(火)に、先端巨大症治療薬、成長ホルモン受容体拮抗剤「ソマバート(R)皮下注用」(一般名:ペグビソマント遺伝子組み換え)を新発売いたします。
■新しい作用機序をもつ先端巨大症治療薬
ソマバートは、これまでにない全く新しい作用機序を有する先端巨大症治療薬です。
成長ホルモン(GH:Growth Hormone)の過剰分泌を抑制することに目標をおいたこれまでの治療の主眼を根本的に変え、過剰に分泌された成長ホルモンの作用を抑制し、血中IGF-I値(ソマトメジン-C)の正常化を目指す治療薬です。
■先端巨大症患者のIGF-I濃度を正常化し、諸症状を改善
ソマバートの作用機序は、GHの作用部位であるGH受容体に直接作用し、過剰に分泌されているGHの作用に拮抗することで、IGF-I分泌のシグナル伝達を抑制します。したがって、先端巨大症の診断や治療効果の指標として簡便に測定のできる血中IGF-I濃度を検査することで、ソマバートによる治療の効果が判定できます。
内外の長期投与臨床試験の結果、80%を越える先端巨大症患者の血中IGF-I濃度を正常範囲まで低減させただけでなく、患者さんの多くに見られた関節の肥大も、ソマバートの治療によって指輪のサイズが有意に小さくなるなど、臨床症状の改善も認められました。ソマバートの投与で、これまで外科的処置や経口薬による治療でコントロールが不良であった先端巨大症に苦しむ患者さんのIGF-Iを正常化し、生命予後の改善に寄与することが期待されます。ソマバートは海外においては、SOMAVERTRの製品名で先端巨大症治療薬として2003年に米国で承認を受けて以来、現在欧米27ヵ国において承認され使用されています。
<ソマバート(R)皮下注用の概要>
【製品名】ソマバート(R)皮下注用(SOMAVERTR for s.c.injection)10mg・15mg・20mg
【一般名】ペグビソマント(遺伝子組換え) Pegvisomant(Genetical Recombination)
【製造販売】ファイザー株式会社
【効能・効果】下記疾患におけるIGF-I(ソマトメジン-C)分泌過剰状態および諸症状の改善先端巨大症(外科的処置、他剤による治療で効果が不十分な場合又は施行困難な場合)
【用法・用量】通常,成人にはペグビソマント(遺伝子組換え)として初日に40mg(タンパク質部分)を1日1回皮下投与する。2日目以降は1日1回10mg(タンパク質部分)を投与する。なお、血清中IGF-I値及び症状に応じて、1日量30mg(タンパク質部分)を上限として、5mg(タンパク質部分)ずつ適宜増減する。
【薬価/包装】
ソマバート皮下注用10mg 1バイアル(溶解液付) 12,872円
ソマバート皮下注用15mg 1バイアル(溶解液付) 16,318円
ソマバート皮下注用20mg 1バイアル(溶解液付) 19,309円
*ソマバートは、薬価算定において、「臨床上有用な新規の作用機序を有すること」及び「対象となる疾病の治療方法の改善が客観的に示されていること」という2つの要件が認められ、有用性加算(I)が適用されました。
*ソマバートは、保険診療において在宅自己注射が認められた薬剤です。
●先端巨大症について
先端巨大症は希少疾患で、日本での有病患者数は約7,000人、治療を継続されている患者数は1,000人と推定されています。発症は30~40歳代に多く、男女差はありません。進行が極めて遅いため、発症から診断・治療開始までに10年以上かかることがあります。
先端巨大症は、成長ホルモンの過剰分泌により、IGF-Iをはじめとするホルモン分泌や糖、脂質、タンパク質代謝に異常をきたす疾患で、主な症状としては顔貌の変化や発汗、関節痛、頭痛、視野障害などがあげられます。糖尿病、高血圧、心血管疾患、睡眠中無呼吸などを合併することも多く、これらの疾患での死亡率は一般集団に比べ2~3倍高くなっています。