2006'11.30.Thu
ギリシャ・アテネ発--現地時間10月31日、国連サミットの代表者らは、Google、Cisco Systems、Microsoft、Yahooの4社が中国に協力しすぎているとして強く非難し、表現の自由に関する新たな世界的規制の必要性を示唆した。
サミット2日目に行われた3時間に及ぶ会議では、人権運動家や米議会が注目してきた長年の問題が再び議題に上った。その問題とは、第1に、企業は顧客がその企業の製品を使って行ったことに対し責任を負うのか、第2に、何らかの国際機関を創設し、その機関にインターネット上の言論を規定、管理する規則を制定させることは果たして賢明な選択か、の2点だ。
元フランス文化通信大臣で、現在は欧州議会の社会党議員であるCatherine Trautmann氏は、「市場法が表現の自由よりも重要視されている」ことを問題視した。
左寄りの団体、進歩的コミュニケーション協会(Association for Progressive Communications:APC)のエグゼクティブディレクターを務めるAnriette Esterhuysen氏は、「今こそ、(インターネット上の言論に対する規制)を防ぐための国際的な政策的、原則的枠組みを作り始める時だ」と語った(その種の法は、米議会ではすでに提案されている)。
しかしCiscoのある幹部は、同社のルータは特定のインターネットアドレスを遮断するように設定することも可能だが、同社が中国政府のために同社製ルータをカスタマイズしたことはないと語った。Ciscoの戦略的技術ポリシー担当シニアディレクターのArt Reilly氏は、「これは、われわれが販売活動を行っている世界の国々で販売しているルータと同じものだ」とし、さらに「何の違いもない」と付け加えた。
国連のInternet Governance Forumにおける白熱した議論(中国政府がインターネット検閲は行っていないと主張し、議論はたびたび中断した)は、ハイテク企業各社とその敵対者との関係がいかに悪化しているかを浮き彫りにしただけではなかった。その議論では、国連あるいは同様の機関がオンライン上の言論の自由を保護するための世界的規則を制定すべきか否かについて、依然として各国の足並みが揃っていない状況も明らかになった。
アイルランドの政治家で、欧州評議会の同国代表でもあるPaschal Mooney氏は、インターネット上の憎悪発言を国際的に禁止するよう求めた。憎悪発言とは、特定の人々のグループに対する侮辱や攻撃を目的とした発言を指す(米国では、そのような禁止措置を講じる場合、言論の自由を保障した合衆国憲法修正第1条の遵守が義務付けられる)。
Mooney氏は「言論の自由が保障されているからと言ってどんな発言であっても許容するのか」と述べ、さらに「過去50年間に蓄積された判例法や経験を全て破棄するのか」と語った。欧州評議会は、「コンピュータネットワークを使った人種差別的行動や外国人を排除するような行動」を犯罪とみなす協定を準備している。
ギリシャの通信政策担当大臣を務めるTheodoros Roussopoulos氏は、「(同国は)嘘を言いふらすブロガーたちの問題を抱えている」と語った(報道によると、先週、あるギリシャ人ブロガーが中傷的な内容のマテリアルにリンクを張ったとして逮捕されたらしいが、Roussopoulos氏はその事件の詳しい事情は分からないと語った)。
Roussopoulos氏は、「(テレビや新聞は)特定の倫理規定によって規制、管理されている」とした上で、「しかし、インターネット上では、誰かの不利益となる情報の情報源となったり、そのような内容の書き込みをしたら、それは攻撃だ。良い意味での批判ではない。実際、それは中傷に当たる」と述べた。圧倒的な劣勢
31日の会議に出席したハイテク企業2社、CiscoとMicrosoftの代表者2人は、圧倒的な劣勢で、終始守勢に立たされた。
Microsoftのシニアポリシーカウンセルを務めるFred Tipson氏は、「(Microsoftと中国政府が)結託しているとの批判を受け入れるつもりはない」とし、さらに「ある国で事業を行うには、その国の法律の遵守が条件となる」と付け加えた。
同会議を傍聴していたGoogleのバイスプレジデントのVint Cerf氏によると、Googleは中国に同社のブログサービスや電子メールサービス用のサーバを設置しないことに決めたという。同社はそのおかげで、少なくとも現在のところは、Yahooが経験したような問題を回避できている(かつて、中国の警察がジャーナリストや民主主義活動家を発見、投獄するためにYahooから情報を得たとして問題となった)。
Cerf氏は、「(中国にサーバを設置しなかった)理由は、中国政府から特定の個人を発見する目的で開示を要請あるいは強要される可能性のあるマテリアルをサーバ上に置きたくなかったためだ」とし、さらに「よってわれわれは、中国の人々の利益を守るために特定のサービスの提供を意図的に行わないことに決めた」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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[CNET Japan]
http://japan.cnet.com/
サミット2日目に行われた3時間に及ぶ会議では、人権運動家や米議会が注目してきた長年の問題が再び議題に上った。その問題とは、第1に、企業は顧客がその企業の製品を使って行ったことに対し責任を負うのか、第2に、何らかの国際機関を創設し、その機関にインターネット上の言論を規定、管理する規則を制定させることは果たして賢明な選択か、の2点だ。
元フランス文化通信大臣で、現在は欧州議会の社会党議員であるCatherine Trautmann氏は、「市場法が表現の自由よりも重要視されている」ことを問題視した。
左寄りの団体、進歩的コミュニケーション協会(Association for Progressive Communications:APC)のエグゼクティブディレクターを務めるAnriette Esterhuysen氏は、「今こそ、(インターネット上の言論に対する規制)を防ぐための国際的な政策的、原則的枠組みを作り始める時だ」と語った(その種の法は、米議会ではすでに提案されている)。
しかしCiscoのある幹部は、同社のルータは特定のインターネットアドレスを遮断するように設定することも可能だが、同社が中国政府のために同社製ルータをカスタマイズしたことはないと語った。Ciscoの戦略的技術ポリシー担当シニアディレクターのArt Reilly氏は、「これは、われわれが販売活動を行っている世界の国々で販売しているルータと同じものだ」とし、さらに「何の違いもない」と付け加えた。
国連のInternet Governance Forumにおける白熱した議論(中国政府がインターネット検閲は行っていないと主張し、議論はたびたび中断した)は、ハイテク企業各社とその敵対者との関係がいかに悪化しているかを浮き彫りにしただけではなかった。その議論では、国連あるいは同様の機関がオンライン上の言論の自由を保護するための世界的規則を制定すべきか否かについて、依然として各国の足並みが揃っていない状況も明らかになった。
アイルランドの政治家で、欧州評議会の同国代表でもあるPaschal Mooney氏は、インターネット上の憎悪発言を国際的に禁止するよう求めた。憎悪発言とは、特定の人々のグループに対する侮辱や攻撃を目的とした発言を指す(米国では、そのような禁止措置を講じる場合、言論の自由を保障した合衆国憲法修正第1条の遵守が義務付けられる)。
Mooney氏は「言論の自由が保障されているからと言ってどんな発言であっても許容するのか」と述べ、さらに「過去50年間に蓄積された判例法や経験を全て破棄するのか」と語った。欧州評議会は、「コンピュータネットワークを使った人種差別的行動や外国人を排除するような行動」を犯罪とみなす協定を準備している。
ギリシャの通信政策担当大臣を務めるTheodoros Roussopoulos氏は、「(同国は)嘘を言いふらすブロガーたちの問題を抱えている」と語った(報道によると、先週、あるギリシャ人ブロガーが中傷的な内容のマテリアルにリンクを張ったとして逮捕されたらしいが、Roussopoulos氏はその事件の詳しい事情は分からないと語った)。
Roussopoulos氏は、「(テレビや新聞は)特定の倫理規定によって規制、管理されている」とした上で、「しかし、インターネット上では、誰かの不利益となる情報の情報源となったり、そのような内容の書き込みをしたら、それは攻撃だ。良い意味での批判ではない。実際、それは中傷に当たる」と述べた。圧倒的な劣勢
31日の会議に出席したハイテク企業2社、CiscoとMicrosoftの代表者2人は、圧倒的な劣勢で、終始守勢に立たされた。
Microsoftのシニアポリシーカウンセルを務めるFred Tipson氏は、「(Microsoftと中国政府が)結託しているとの批判を受け入れるつもりはない」とし、さらに「ある国で事業を行うには、その国の法律の遵守が条件となる」と付け加えた。
同会議を傍聴していたGoogleのバイスプレジデントのVint Cerf氏によると、Googleは中国に同社のブログサービスや電子メールサービス用のサーバを設置しないことに決めたという。同社はそのおかげで、少なくとも現在のところは、Yahooが経験したような問題を回避できている(かつて、中国の警察がジャーナリストや民主主義活動家を発見、投獄するためにYahooから情報を得たとして問題となった)。
Cerf氏は、「(中国にサーバを設置しなかった)理由は、中国政府から特定の個人を発見する目的で開示を要請あるいは強要される可能性のあるマテリアルをサーバ上に置きたくなかったためだ」とし、さらに「よってわれわれは、中国の人々の利益を守るために特定のサービスの提供を意図的に行わないことに決めた」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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