ヤマハ、携帯電話など小型スピーカー再生に最適なノンクリップデジタルアンプICをサンプル出荷
■過大入力時もクリップしないデジタルアンプIC
ヤマハ ノンクリップデジタルアンプIC 『YDA144』
~携帯電話やノートパソコン向け~
ヤマハ株式会社(本社:浜松市中沢町10-1、社長:伊藤修二)はこの度、携帯電話やノートパソコンなどの小型スピーカー再生に最適な、過大入力時のクリップ(*1)を防止できるノンクリップデジタルアンプ技術(*2)を搭載した「YDA144」を開発し、サンプル出荷を2006年9月1日から開始いたします。
<サンプル価格と発売日>
品名 ヤマハノンクリップデジタルアンプIC
品番 YDA144
サンプル価格 210円(税込み)
出荷時期 9月1日(金)
◎当初販売予定数:50万個/月
<製品の概要>
このたび開発し、サンプル出荷を開始する「YDA144」は、過大入力時もクリップしないノンクリップ機能(*3)を携帯電話やノートパソコン向けデジタルアンプとしては世界で初めて搭載、電池を電源とする小型スピーカー再生機器において、大きな需要を見込んでいます。
<開発の背景>
当社では、2001年10月に国内半導体メーカー初の2.5WステレオデジタルアンプIC「YDA131」を開発して以来、2.5Wから100Wまでの高音質低消費電力デジタルアンプICの商品化を行ってきました。
近年携帯電話やノートパソコンなどの携帯機器では小型スピーカーが搭載され、電池での長時間動作が求められることから、低発熱・低消費電力であるデジタルアンプが使用されるようになってきました。これらの機器に使用される小型スピーカーは許容入力が小さく、アンプがクリップすると歪みや音割れなどの不快な音を生じるだけでなく、スピーカーの耐久性を損なうなどの問題がありました。
そこで、ヤマハではアンプのクリップを防止するため、デジタルアンプの回路構成そのものがクリップ防止機能を持つノンクリップデジタルアンプ技術(図1参照)を今回開発し「YDA144」に搭載しました。また小型化の要望に応えるためパッケージは2mm x 2mm x 1mmの16ピンWLCSP(*4)を採用。フィルタレス対応スピーカードライブ回路「ピュアパルスダイレクトスピーカードライブ回路」を搭載し、周辺部品の削減を実現しています。
<主な特長>
1. 過大入力時もクリップを防止するノンクリップデジタルアンプ技術(特許申請中)
デジタルアンプ出力の状態を常時内部回路が監視し、クリップの発生を検出すると入力側の信号を必要量減衰させます。この動作により10dB(約3倍)という広い入力範囲でクリップの無い高音質な出力状態が維持されます。電池電圧が低下しても回路動作は自動的に追従し、電源利用率の高い理想的なノンクリップ動作を行います。高音質で消費電力の少ないノンクリップデジタルアンプを実現しました。(図1参照)
2. オールインワンの0.75WステレオデジタルアンプIC
デジタルアンプに必要な入力部から出力部までの全回路を集積したICです。
3. 高音質&周辺部品点数が少ない「ピュアパルスダイレクトスピーカードライブ回路」
ピュアパルスダイレクトスピーカードライブ回路により、従来必要であったスピーカーへのデジタルノイズをカットするLCフィルターを省略でき、LCフィルターを排除することで音質も向上し実装スペースも削減できます。
4. 優れた低歪率・低ノイズ特性
「歪率+ノイズ」特性は0.03%、残留ノイズは40Vとハイファイオーディオコンポ並みの優れた特性を達成しています。
<主な仕様>
* 関連資料 参照
<注>
(*1) クリップ:アンプは電源電圧を超える出力に相当する入力が入った場合、電源電圧に制限された出力となり歪む。この歪んだ状態がクリップと呼ばれる。
(*2) ノンクリップデジタルアンプ技術:クリップを防止する機能を備えたデジタルアンプ技術(特許申請中)。デジタルアンプはD級増幅器とも称され、通常のB級増幅器と称されるアナログアンプと比較して、低発熱で効率の高いアンプ方式。通常のB級増幅器では電源電圧とスピーカーへの出力電圧の差がアンプ内で消費されることにより内部発熱を生じるが、D級増幅器ではスイッチング動作を利用することで内部電圧ロスが少なく発熱が少ない。
(*3) ノンクリップ機能:クリップを防止する機能。通常クリップする最大入力を超える入力が加わってもクリップしない出力が得られる。
(*4) 16ピンWLCSP:Wafer Level Chip Size Package(ウエハー・レベル・チップ・サイズ・パッケージ)の略で、16端子のチップ・サイズ・パッケージのこと。
文中の商品名等は、当社または各社の商標または登録商標です。
<この件に関する一般の方のお問い合わせ先>
半導体事業部 営業部
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