雪印乳業、脱脂粉乳でコーヒー飲料などの食品中での安定性を高めることに成功
脱脂粉乳の新しい機能性を見出しました
日本食品科学工学会 第53回大会 および 日本分析化学会 第55年会 にて発表
雪印乳業株式会社(本社:東京都新宿区 代表取締役社長:高野瀬忠明)は、特にチーズを中心とした「加工技術」と、乳・乳製品についての「機能性」という大きな2本の柱を軸に、研究開発を進めております。
このたび、脱脂粉乳に新しい価値を付与することに成功いたしました。
下記のとおり、学会にて発表いたしますので、ご案内申し上げます。
記
脱脂粉乳の特性と利用に関する研究成果について、日本大学湘南キャンパスで開催される「日本食品科学工学会 第53回大会」において、8月29日に発表いたします。
脱脂粉乳中の香気成分に関する研究成果について、大阪大学豊中キャンパスで開催される「日本分析化学会 第55年会」において、9月20日に発表いたします。
脱脂粉乳は、その良好な風味と高い栄養価値から、多くの食品に使用されています。今回当社では、脱脂粉乳製造条件を工夫することで、コーヒー飲料などの食品中での安定性を高めることに成功いたしました。また、特徴的な風味が発現することから、その香気成分を「ガスクロマトグラフィー/質量分析法」により特定し、その定量方法を独自に開発しました。
〔研究発表の概要〕
■ 脱脂粉乳のホエイタンパク質の変性率が缶コーヒーの沈殿生成に及ぼす影響
発表者 : 雪印乳業(株)技術研究所 十亀仁美・今井宏・重松明典・富澤章
発表先 : 日本食品科学工学会 第53回大会
会 期 : 2006年8月28日より30日まで *本件の発表は8月29日
会 場 : 日本大学湘南キャンパス(神奈川県藤沢市亀井野1866)
脱脂粉乳をコーヒーと混ぜ、高温殺菌すると沈殿を生じることがあります。
この問題を解決するために、熱履歴※1の異なる脱脂粉乳を調製し、缶コーヒーを製造したところ、熱履歴の高い「脱脂粉乳SH」※2と熱履歴の低い「脱脂粉乳L」※3が沈殿を抑えることを見出しました。
※1熱履歴 脱脂粉乳の製造工程中、殺菌、濃縮、乾燥工程で加えられる総熱量のことを言い、総熱量によって、熱履歴が高いまたは低いと言います。
※2「脱脂粉乳SH」 当社独自の加熱処理で乳たんぱく質を加工しており、特徴的な風味を有します。脱脂粉乳ベースの液状ミックスにおいて、特徴的な乳風味が付与でき、保存時の風味劣化抑制が可能となります。また、コーヒー飲料などの沈殿を抑制することもできます。
※3「脱脂粉乳L」 低温殺菌により、乳たんぱく質等の乳成分の変化を抑えているため、豊かな乳風味と白い色調を併せ持つ特徴を有します。また、保形性や保水性が要求される発酵乳等に対し、優れた効果を発揮します。
■ ガスクロマトグラフィー/質量分析法による脱脂粉乳中の 4-methylthio-2-butanone の定量
発表者 : 雪印乳業(株)分析センター 松浦弘明・池内義弘 ,
技術企画室 元明健二・持地恭子 ,
原料乳製品事業部 谷本守正 ,
全国乳業協同組合連合会 藤山勝二
発表先 : 日本分析化学会 第55年会
会 期 : 2006年9月20日より9月22日まで *本件の発表は9月20日
会 場 : 大阪大学豊中キャンパス(大阪府豊中市待兼山町1-1)
脱脂粉乳の香気成分は、食品のおいしさをつくる上で重要な構成要素です。しかし、その香気成分は熱履歴によって異なります。今回の研究では、脱脂粉乳の熱履歴を高めることで新たな風味が付与されることを明らかにしました。さらに風味の発現に深く関わる成分を同定し、それを高感度に測定する方法を確立しました。
以上