NECエレクトロニクス、自動車向け大電流駆動パワーMOSFETのサンプル出荷開始
自動車向け大電流駆動パワーMOSFETの発売について
~業界最大クラスの出力電流を実現しパワーステアリングシステムを効率化~
NECエレクトロニクスはこのたび、業界最大容量クラスの電流を流すことが可能なパワーMOSFET(金属酸化膜電界効果トランジスタ)を製品化し、「NP180N04」の名称で本日からサンプル出荷を開始いたしました。この製品は、当社が本年2月22日に開示した事業戦略の中で強化する分野として挙げた車載半導体で、マイコン回路とモーターなどの駆動装置をつなぐ回路を構成する製品です。
新製品は、ソース端子を5本に増やすことによりオン抵抗値(注)を当社従来製品比で約15%削減させた結果、同60%増となる最大180A(アンペア)の電流に対応できることが最大の特長となっております。ユーザーは新製品を採用することにより、自動車のパワーステアリングシステムなどを効率良く構築できます。
新製品のサンプル価格は、350円/個となっております。また当社は、新製品と同時に160Aまで対応可能な「NP160N04」(300円/個)2品種も同時に製品化いたしました。
当社では量産時期および規模として、新製品3品種合計で本年6月より月産50万個を計画しております。
パワーMOSFETは、モーターを駆動させるシステムを構築する際にそのモーターに流れる電流をオン/オフ制御する機能を有した半導体です。
当社は2004年5月、オン抵抗値を1.8ミリオームに抑え110Aという電流に対応できる「NP110N04」を初めとした0.25ミクロンメートルMOSFETシリーズ「NPシリーズ」15品種を市場投入し、自動車向け用途を中心とした市場から好評を博してまいりました。しかしながら、特に大型車を中心とした電動パワーステアリングのハイパワー化に対応するために、市場からはさらなる大容量の電流に対応できる製品の早期開発を求める声が高まっております。
新製品は、このような市場のニーズに対応するために開発されたもので、パッケージのソース端子を従来の1本から4本多い5本へと増加させたことなどにより、オン抵抗値を約15%削減した結果、業界最大容量の電流に対応できる優れた製品であります。
新製品の主な特長は次の通りとなっております。
1.業界最高クラスの高ドレイン電流に対応
パッケージのソース端子を5本に増やしたこと、チップとフレームを接続するアルミワイヤーの太さを400から500ミクロンメートルにしたこと、などにより業界最大クラスの180Aに対応可能となっている。これによりユーザーはパワーステアリングの電流制御回路を効率よく構築できる。一例として100Aの電流が流れるパワーステアリングシステムの3相ブラシレスモーターにおいて、従来製品である110A対応のMOSFETでは高温条件下での設計マージンが確保できないため並列に複数個並べる必要があった。180A品では1個のMOSFETで設計マージンが確保できるため、MOSFETの員数を削減でき、ステアリングシステムの小型化、低コスト化が可能となる。
2.高い信頼性を保障
最大175℃での高温バイアス寿命や高温高湿保存寿命などの信頼性試験により、100万個に1個以下の製品不良率を実現した信頼性の高い製品となっている。
3.AEC-Q101 Stress Test品質認証に準拠
1995年のJEDEC Meetingにて自動車電装向けディスクリート半導体の品質標準化を目的として設定されたストレス規格であるAEC(Automotive Electronics Council)-Q101に準拠しており、Tch(max)=175℃定格を保証している。
当社は新製品が、パワーステアリングなどのモーター制御システムの構築に最適な製品であると考えており、これらを必要とするユーザーに対して積極的な販売活動を展開すると共に、さらに積極的な製品開発を継続し、品揃えの拡充を行うことにしております。
新製品の主な仕様は別紙をご参照下さい。
以上
(注)オン抵抗値
MOSFETがオン状態で動作した場合の抵抗値のこと。抵抗が少なくなればなるほど損失を低減でき、大きな電流を流すことができる。
<別紙>新製品の主な仕様
※ 関連資料参照