武田薬品工業株式会社との共同研究
「カニクイザルの臓器特異的毒性関連遺伝子の探索と解析」に関する研究終了報告
当社は、平成16年9月27日に中間報告をいたしましたとおり、平成14年から武田薬品工業株式会社との間で「カニクイザルの臓器特異的毒性関連遺伝子の探索と解析」に関する共同研究を実施してまいりました。
本共同研究が所期の成果を得て終了いたしましたので、お知らせします。
本共同研究は、医薬品候補化合物の毒性を効率良く解析・推定するためのツールの開発を目的としており、研究概要は、以下の通りです。
1.カニクイザルの主要な6つの臓器で発現している遺伝子を解析し、既知あるいは新規遺伝子の配列ならびにアノテーション(※1)情報収集を行い、ゲノム全域を網羅するデータベースを構築しました。
2.その中より選択した約15,000の遺伝子について、代表配列を搭載したカスタムDNAマイクロアレイ(※2)を作製しました。
3.その後、本カスタムDNAマイクロアレイが、霊長類における毒性の評価ツールとして正しく作動することを確認するとともに既知毒性化合物を用いた検証実験を実施し、このカスタムDNAマイクロアレイの有用性が認められました。さらに、毒性解析のターゲットとなる27の臓器の遺伝子発現データベースも構築しました。
これらの共同研究成果の要旨は、本年3月に米国トキシコロジー学会(SocietyofToxicology)年会で発表し、本年7月3日から名古屋で開催される日本トキシコロジー学会年会において発表予定です。今後も、当社は、医薬品候補化合物の毒性を効率良く解析・推定するためのツールの開発および受託事業への応用を企図して、継続的に研究を進める予定です。
なお、本研究成果が当社の今期の収益に与える影響は軽微でありますが、中長期的には本共同研究で得られたノウハウの蓄積により、受託業務の幅を広げ、収益向上に貢献できるものと考えております。
以 上
(ご参考)
※1アノテーション:
遺伝子配列決定以後の解析の基礎となる情報を提供するために、推測される遺伝子の構造や機能を網羅的に調べ上げて注釈付けを行うこと。
※2DNAマイクロアレイ:
一般的にDNAチップとも呼ばれる。本研究により試作されたDNAマイクロアレイは、特定の遺伝子に対応する短いDNAプローブをガラス表面に固定したもので、ハイブリダイゼーション法により、試料中の遺伝子発現プロフィールを検査することができる。