炎症部位指向性・徐放性ステルス型ナノステロイド製剤の開発について
本日日本経済新聞に掲載された記事の内容についてご説明申し上げます。
当社は、東京慈恵会医科大学と委託研究契約を締結し、ステロイドの新しいDDS製剤に関する研究を共同で行っております。このたび、その研究内容について平成18年7月11日に開催される第27回日本炎症・再生医学会のシンポジウムにおいて発表いたします。その内容についてご説明申し上げます。
製剤について
抗炎症作用・免疫抑制作用のあるステロイドホルモンは、その作用が極めて強力ですが、強い副作用があります。そこで当社のナノ粒子作製技術を活用し、製剤の材料として生体内で徐々に分解するPLA(ポリ乳酸)と肝臓への移行を抑えるPEG(ポリエチレングリコール)を用いて、ステロイドを封入した新しい製剤(粒径150ナノメーター:ナノメーターは1mmの百万分の一)を作製しました。この製剤を用いることにより、炎症部位に選択的にステロイドを集積させることが出来、かつ炎症部位でステロイドを徐々に放出させることができます。
作用などについて
この製剤を関節リウマチの動物モデル(マウス・ラット)で検討したところ、炎症部位に著しく集積することが明らかとなりました。薬物の作用部位以外への分布が炎症部位に比べて十分の一以下と極めて少ないことも明らかとなりました。従って、この製剤を用いたとき、作用が強くなり、副作用は相当軽減されると考えております。ステロイド剤の最大の研究課題は効果と副作用を分離するということです。このように効果と副作用を著しく分離させた報告はこれまでなく、今回のステロイド製剤が開発されれば著しく医療に貢献すると考えております。これまでの研究経過などの詳細につきましては、当社ホームページ(http://www.ltt.co.jp/)を是非ご参照ください。
今後について
現時点では動物実験レベルではありますが、今後研究開発を推進し、2年以内に臨床試験を開始する予定であります。
以上