若築建設、鉄筋コンクリート構造物の調査診断システム「RC-Doctor」を開発
「鉄筋コンクリート構造物の調査診断システム」
- RC-Doctor -
【要旨】
若築建設株式会社は、経年劣化した鉄筋コンクリート構造物の健全度を調査・診断するシステムRC-Doctorを開発しました。このシステムは、調査結果に基づいた健全度診断と今後の劣化進行予測を行うエキスパートシステムおよび調査方法と対策工法のデータベースシステムで構成されています。また、技術資料として調査診断マニュアル(ページ数224)も、とりまとめました。RC-Doctorおよび技術資料を社内に展開することで、既存の構造物を効果的に維持管理していきたいという顧客の要望の高まりに対して、迅速かつ適切に対応していきます。
【背景】
近年、コンクリートの早期劣化と既存構造物の維持管理が社会的な問題となっています。高度経済成長期に建設された構造物は竣工から40~50年経過し、劣化によって性能の低下が顕在化しています。これらの問題に対応するためには、構造物の健全度を適切に評価し、必要に応じて補修・補強を実施して耐久性を高め、延命化を図ることが重要です。
土木学会およびコンクリート工学協会は、1998年頃からコンクリート構造物の耐久性設計や、リハビリテーション(性能を向上させること。補修・補強を含む)、非破壊検査方法等に関する講習会を行い、蓄積されてきた研究成果を体系的にまとめつつあります。2001年には土木学会が「コンクリート標準示方書維持管理編」を発刊し、2002年にはコンクリート工学協会がコンクリート診断士の資格を発足しました。
一方で、学会が公表している知見を総合的に活用し実構造物に適用するためには、広範かつ専門的な知識と経験が必要です。このため、構造物の健全度判定や補修方法の選定は、コンクリート診断士などの専門的な技術者に依存するところが大きくなります。
そこで、健全度判定や補修方法選定を支援する「鉄筋コンクリート構造物の調査診断システム:RC-Doctor」を開発しました。RC-Doctorは、構造物の調査、劣化原因と健全度の診断、劣化進行予測、補修方法選定の一連の作業を、コンクリートに関する一般的な知識を持つ技術者であれば、誰でも簡単に行えるようにしたものです。
【システムの目的】
RC-Doctorは、以下のことを目的としています。
・調査結果の定量的な評価、および構造物の耐久性・安全性の診断を支援する。
・劣化進行の予測を行い、構造物の寿命推定を支援する。
・構造物の現状と寿命とを勘案した適切な対策方法立案を支援する。
・調査項目の選定を支援し、具体的な調査方法の技術資料を提供する。
・対策方法を選定する際、具体的な補修・補強工法の資料を提供する。
【システムの特徴】
(※ 関連資料を参照してください。)
【まとめ】
RC-Doctorおよび技術資料を社内に展開することで、調査から補修工法選定までの作業を効率的に行うことができ、若築建設として標準化した診断を行うことができるようになります。既存の構造物を効果的に維持管理していきたいという顧客の要望の高まりに対して迅速かつ適切に対応していきます。