日本製紙グループ本社、北越製紙の株式8.49%を取得と発表
当社子会社による北越製紙株式会社の株式取得に関するお知らせ
当社の連結子会社である日本製紙株式会社(以下「日本製紙」)は、本日同社取締役会において北越製紙株式会社(コード3865、以下「北越製紙」)の株式取得に関して決議したことをお知らせいたします。日本製紙グループによる北越製紙株式保有の状況、株式取得の背景および目的は下記の通りであります。
記
1.株式保有状況
(1)現時点における保有株式数 13,664,122株
(2)同保有議決権比率※ 8.49%
(※平成18年8月7日実施予定の三菱商事株式会社への第三者割当増資実施前の議決権比率)
当社は、平成18年8月7日に予定されている北越製紙による三菱商事株式会社(以下「三菱商事」)への第三者割当増資実施後の議決権比率ベースで、10%未満の範囲内で、北越製紙株式を取得することを目標としています。当社の北越製紙株式の当該取得目標比率は、独占禁止法上の制約を受けない範囲の保有比率であり、その他証券取引法および会社法等の各法規制を考慮し、総合的に判断して決定いたしました。
2.株式取得の背景
北越製紙は、王子製紙から「北越製紙株式会社に対する経営統合提案に関するお知らせ」(平成18年7月23日付)により、100%子会社化による経営統合を行うことを前提とした北越製紙の全株式を対象とする公開買付けの予定に関して提案を受けました。各種報道によると、北越製紙が同提案に反対しているにもかかわらず、その後、王子製紙は、「公開買付けに関するお知らせ」(同年8月1日付)により、北越製紙株式の公開買付け(以下「本件買収」)を同年8月2日から開始しました。これを受けて、北越製紙は、「王子製紙株式会社による公開買付けの反対に関するお知らせ」(同年8月2日付)において、「本公開買付けは、当社の企業価値・株主共同の利益を損なう危険性が高いものと考えており、本公開買付けに反対の意見を表明します」とし、その反対の理由を説明しております。更に、北越製紙労働組合(組合員数約1,060人)も、同年7月30日には、王子製紙の経営統合提案に関して、「組合員の生活や利益に重大な悪影響を及ぼす可能性がある」として正式に経営統合に反対を表明されたと理解しています。当社はこうした本件買収の進行を注意深く見守ってまいりましたが、王子製紙による本件買収の強行は、北越製紙の経営体制、従業員の生活および地域社会のみならず、製紙業界の秩序を乱す恐れがあると考え、当社の判断で今般の株式取得を実施することといたしました。
また、日本の紙・板紙市場は、洋紙事業においては日本製紙が首位、板紙事業は王子製紙がトップという形で、いわゆる2大メーカー中心の体制がここ数年定着してまいりました。王子製紙による本件買収が成功した場合には、当社は洋紙事業規模で王子製紙に並びかけられ、連結売上規模全体で明確な差をつけられることになります。紙市場全体の大きな伸びが期待できない環境において、売上規模の格差はそのまま収益稼得機会の差となって、企業規模におけるキャッチアップ実現をより困難にする恐れがあり、本件買収は当社の著しい不利益となる可能性があり、当社としても看過できない事態であると認識しております。
3.株式取得の目的
当社の今般の株式取得は、経営統合等を企図した北越製紙の経営支配権の獲得を目的としたものではありません。現時点まで当社は、北越製紙および三菱商事との間で当社との将来的な関係構築に関しては、折衝、協議を行っておらず、当社の株式取得による詳細な効果の見通しは出来ませんが、北越製紙による三菱商事への第三者割当増資実施後、しかるべき時期に、当社と三菱商事・北越製紙グループの間で何らかの緩やかな協力関係を築くための協議に入る申し入れをしたいと考えております。尊敬と互譲の精神のもと、当事者同士の信頼感、理解、納得がパートナーシップを成功させるための鍵であることは、言うまでもありません。三菱商事・北越製紙グループとの連携に関してもこれを着実に発展させ、関係する会社すべての企業価値向上に確実に結び付けて行くことを期待しております。なお、王子製紙の北越製紙に対する本件買収については、北越製紙および三菱商事と事前の協議は行っておりませんが、当社としてどのような形で係わって行くかについて、今後両社にご相談したいと考えております。
今般においては前述のような背景および目的から北越製紙の株式を取得することとしましたが、当社の株式取得は製紙業界再編を否定するものではなく、むしろ、当社は、統合・合併による企業基盤の強化、経営合理化の重要性を強く認識しており、業界に先駆けて積極的に推進してまいりました。但し、このような経営施策というものは、個々の企業およびその企業に属する従業員の自主性が極めて重要であると理解しています。報道によれば北越製紙トップは、王子製紙による本件買収提案は北越製紙の理解、納得を得ておらず、従業員の著しいモチベーション低下を招くと強く指摘しています。モチベーションの低下は過去の事例から見ても、長期間にわたる操業レベルの低下、ひいては環境面や安全上の問題まで懸念されるものであります。従業員数2,800名を超える北越製紙でこのような事態が生じれば従業員の生活、地域社会、さらには産業全体に対し多大なマイナスインパクトを与えるものであり、当社の株式取得はこのような事態を回避することも意図しております。
当社の本件買収に対する上記の措置および今後の取り組みにつきましては、北越製紙の株主、経営陣および従業員、ならびに三菱商事のご理解を得られるものと確信いたしております。また当社株主の皆様にも、連携効果の早期発現により成果をご覧いただくことが出来るよう、当社としては、今後の状況推移を踏まえ見通しがついた時点で、北越製紙および三菱商事との協議について対応したいと考えております。なお、今般の株式取得の結果につきましては、法令に従い大量保有報告書等にて適宜速やかにご報告する予定です。
以上