富士キメラ総研、自動車の安全対策電装品50品目の世界市場調査結果を発表
自動車の安全対策電装品50品目の世界市場を調査
-2011年、5分野44品目(重複6品目を除く)は05年比49%増の5兆1,000億円超に-
2011年予測
●HIDヘッドランプ(D2・D4)05年比3.5倍の1,131億円、2010年に日本ではハロゲンを凌ぐ
●車載CMOSカメラ 05年比57倍の80億円、2010年には採用数でCCDカメラを超える
マーケティング&コンサルテーションの(株)富士キメラ総研(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 表 良吉03-3664-5841)は6月から7月にかけて、自動車の電子化にともなって急速に進化する安全対策用の車載電装デバイス・コンポーネンツ50品目の世界市場について調査を行った。その結果を報告書「車載電装デバイス&コンポーネンツ Select2006(上巻;安全・快適・電子部品編)」にまとめた。
<注目される成長市場>
●HIDヘッドランプ(D2・D4)
2005年 326億円 年平均23%の成長を続け 2011年 1,131億円(2005年比3.5倍)と予測
ハロゲンヘッドランプに比べ3倍の明るさで3分の2の消費電力、太陽光に近い光色でドライバーの疲れが軽減できる特長を持つ。微量の水銀を使用するD2と水銀を使用しないD4が開発されている。日本では、2005年の国内向け新車装着率は30%になっており今後も2011年に向けて年平均29%の伸びが見込める。海外でも搭載車両の比率は年々上昇している。だが、ハロゲンランプより高価なこと、欧米人には光の刺激が強く直視すると視界を失う危険性があるなどから2011年に向けて伸びはEUでは年平均19%、北米で17%と日本に比べ穏やかになっている。HIDヘッドランプに対するニーズは国内において特に高まっており、2010年には生産数量でハロゲンヘッドランプを上回り、ヘッドランプ国内生産の約60%を占めると予測される。
●ヘッドランプクリーナ
2005年 48億円 年平均38%の成長を続け 2011年 333億円(2005年比7倍)と予測
ヘッドランプレンズに付着した汚泥や雪などを洗浄液を高圧噴射して除去するシステムで、ヘッドランプワイパーと併用するタイプもある。日本および北米市場では、現在ほぼ舗装道路環境のためメリットは限られている。寒冷地でも白熱ランプやハロゲンヘッドランプでは、熱でレンズに付着した雪が溶けるため必要性が少ない。当面は、装着が義務化されているEU市場を中心に市場が形成される。
EUでは、2004年より、光束2,000ルーメン以上のヘッドランプにはこの搭載が義務付けられた。HIDヘッドランプ装着車すべてが義務付けられるため需要が増加している。現在HID装着車が全体の10%程度のため05年以降年平均14%の伸びにより2011年には108億円に達すると予想される。日本国内もEU市場に倣って装着が義務化される動きが出ており、2007年の道路運送車両法改正で義務化になれば2007年以後は年平均70%の伸びにより2011年は179億円と予想される。
今後ヘッドランプはハロゲンからHID、更にLEDへと移行すると見られ、熱が発生しないためこの製品の装着は必須と見込まれる。将来、EUのみならず、日本国内、北米における需要も拡大して2011年にはヘッドランプとほぼ同セット製造されることも考えられる。
●車載CMOSカメラ
2005年 1.4億円 ほぼ倍増を続け 2011年 80億円(2005年比57倍)と予測
2005年現在は、トップのホンダエレシス(本田技研工業グループ)とヴァレオ(仏)と京セラの3社で全市場のほぼ90%を占めている。日本市場を中心に、欧州、北米ともCMOSカメラ採用が始まっており、2008年頃を目処に採用が拡大する。今後は、白線検知・車両検知・歩行者検知、顔や目の状態検知などを行い安全運転システムへの応用が予想される。
車載カメラは、現在では視界補助にはCCDカメラ、CMOSカメラは画像認識に使い分けられている。最近の技術革新によりこのセンサは、安価でCCD並みの画質を得られるようになっており2010年にはCMOSカメラが386万個とCCDカメラの採用数を超え、車載カメラの主流となってゆくと推定される。
2005年現在、CMOSカメラモジュールは、2,500~3,000円とCCDカメラモジュールのほぼ半値であるが、2011年には、1,500円とCCDの4分の1になると予測される。
<調査結果の概要>
2011年安全対策用電装品市場予測(世界市場)
ECU(9品目) 05年比57%増 1兆9,859億円
半導体(9品目) 05年比41%増 1兆5,426億円
機器(7品目) 05年比60%増 8,899億円
センサ(12品目)* 05年比49%増 5,007億円
受動部品(7品目) 05年比18%増 2,441億円
5分野全体(44品目) 05年比49%増 5兆1,633億円
自動車安全対策用電装品(対象44品目)の世界市場は、2005年3兆4,589億円、前年比108%となった。今後も平均7%の安定した成長を続け、2011年には5兆1,633億円に達すると予測される。そのうち機器・ECU・センサ分野の伸びが大きく、安全関連システムや機器の搭載が拡大してゆくことが窺える。また、2011年予測で、日本市場は安全対策機器の市場が3,105億円と4市場のなかで最大、EU市場がセンサ、ECUでは最大規模になると予測される。
*6種の測定対象別センサはデータが重複するので品目集計から除外している。
●ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット) (9品目)
2005年 1兆2,643億円(前年比8%増) 2011年予測 1兆9,859億円(2005年比57%増)
9品目全体では2005年以降2011年まで平均8%の成長を続けると見られる。今後も安全関連システムの搭載率が高まっていくため関連システムを制御するECUの需要は必然的に高まっていく。2011年の世界市場は、約2兆円、2005年の57%増に拡大すると予測される。ESC(横滑り防止システム)など地域別に装着状況が異なる市場は、今後低価格化・高機能化・モジュール化が進められ活性化して行く見込みである。
日本市場の2005年実績は、2,577億円となった。品目ではESCなどブレーキ制御の高機能化が進んでいる。一方でABS、電子制御ブレーキシステム、エアバッグなど標準装備化した品目はほぼ横ばいから下落傾向で推移すると見られる。また、コストダウンと車両の軽量化からECUの統合化が進むと考えられる。
2011年の国内市場は05年比60%の伸びにより4,115億円に成長すると予測する。北米市場は、量販車に装着が広がり電動パワーステアリングシステムが年平均約6%、電子制御サスペンションシステムが年平均約10%の伸びになると予測される。EU市場は、2011年8,198億円、2005年比で71%拡大すると予測する。特に拡大するのは、横滑り防止システムのESCと電子制御サスペンション、統合ECUである。
●半導体(9品目)
2005年 1兆 942億円(前年比8%増) 2011年予測 1兆5,426億円(2005年比41%増)
高級車では1台当たりのマイコンの搭載数は100個を超えており、今後もその数は確実に増加していく。エンジン制御、ABS・エアバッグ制御系では万一の事故を回避するフェイルセ-フ設計のマイコンを2系統装備する。車載半導体9品目の市場は2005年実績で1兆942億円、前年比8%増であった。9品目中高いウェイトを占めるマイコンのほか、電源IC、車載用ドライバIC、パワーMOSFET(電流オンオフ素子)は2005年以降も毎年5%程度の成長を続けると見られる。この背景にはユーザーの快適性、利便性、安全性に対するニーズの高まりと、自動車各メーカーのエレクトロニクス化による差別化、半導体メーカーの自動車分野への事業拡大などが影響している。
日本市場はこの9品目で2005年、2,807億円の実績であり、今後も年平均6%の成長を続けて2011年には3,977億円に達すると予測する。また、ハイブリッド車の生産先行によりIGBT(イグニッションコイルやハイブリッド車用電流制御素子)が2011年には2005年から毎年10%程度の拡大を見せて206億円に達すると予測する。北米でもハイブリッド車の本格生産が開始される見通しで、IGBTは2006年以降日本を追うように年率18%超で成長すると予測する。
●機器(7品目)
2005年 5,576億円(前年比3.9%増) 2011年予測 8,899億円(2005年比60%増)
安全性、快適性を向上させた自動車が今後も増加すると予想され、この7品目は長期的な市場拡大が期待できる。2005年、金額ベースで特に伸びた製品は、危険運転や事故前後の映像を記録するドライブレコーダ(5倍)、赤外線で視覚をサポートするナイトビュー(4倍)、ヘッドランプクリーナ(2倍)がある。前の2つはこれまでの装着率が非常に低かったが昨年1年間に認知度が大幅に向上したことが、ヘッドランプクリーナは04年中に欧州においてHIDヘッドランプ搭載車への装着が義務化されたことが要因となっている。このHIDヘッドランプは評価が高まっており、2011年には1,131億円、現在の3倍以上の市場に成長すると予測する。
2005年、7品目の地域別の伸びは、日本では前年比6.4%増の2,075億円となった。性能に対する認知度と評価が高まってHIDヘッドランプとAFS(可変配光型前照灯)が拡大した。
北米は、金額ベースで前年比2.9%増と他地域と比べやや低くなっている。AFSなど夜間の視界確保を補助する機器のニーズが低いことが挙げられる。EUは、金額ベースで前年比4.6%増となった。特にヘッドランプクリーナは装着義務化が要因となり前年に比べ伸びが最も大きかった。今後もHIDヘッドランプとヘッドランプクリーナが認知度の向上と価格低減により比較的安定して拡大すると見込まれるため、EU市場は堅実な成長が予測される。
●センサ(12品目)
2005年 3,366億円 (前年比14%増) 2011年予測 5,007億円(2005年比49%増)
安全機器やシステムの搭載が増えるため関連するセンサ需要が増え、単価が下がっても金額ベースで大幅に需要が拡大してゆく。2005年3,366億円の市場は、以後も年平均7%の成長を続けると予測される。2011年の市場で伸びが大きい品目は、CMOSカメラ、レーザーレーダー、24GHzマイクロ波レーダー、車高センサなどが挙げられる。
日本市場は2005年、640億円に達し以後年率約9%で伸び続けて2011年には1,078億円に成長すると予測される。ミリ波レーダーやレーザーレーダーなど先進安全技術システムが高級車に搭載されるためコスト高になっており、センサフュージョンというセンサの組み合わせ利用による検知精度重視の傾向も見られる。2011年の北米市場は、1,445億円と2005年比2倍に成長する。横転防止システムが普及しその中心に使われる角速度センサの使用が増え、法規制が開始されたタイヤ空気圧センサ市場が拡大してゆくと考えられる。2005年のEU市場は、すでに1,576億円に達している。安全関連機器やシステムの搭載を義務付ける法規制が強化されていることがその要因である。今後は24GHzマイクロ波レーダーや画像センサ、CMOSカメラが台頭してゆくことが予想される。2011年には低コストのセンサ採用が進み1,846億円の市場に成長すると予測される。
<調査概要>
【 調査対象先 】 車載電装品メーカー、自動車部品メーカー、半導体メーカー、自動車メーカーなど80社
【 調査対象品目 】 安全対策用車載電装品50品目
機器(7品目):AFS、ヘッドランプクリーナ、HIDヘッドランプ(D2・D4)、ナイトビュー、オートエアコン、電子キー、ドライブレコーダ
ECU(9品目):ABS用ECU、電子制御ブレーキシステムECU、プリクラッシュセーフティシステム、エアバッグECU、ESC(横滑り防止システム)、EPS(電動パワーステアリングシステム)、電子制御サスペンション用ECU、電子制御4WD用ECU、統合ECU
センサ(18品目):慣性・振動センサ、位置・角度センサ、回転センサ、距離センサ、画像センサ、光センサ、加速度センサ、角速度センサ、操舵角センサ、車高センサ、車輪速センサ、ミリ波レーダー、レーザーレーダー、24GHz帯マイクロ波レーダー、超音波センサ、CCDカメラ、CMOSカメラ、タイヤ空気圧センサ
半導体(9品目):車載用マイコン、電源IC、車載用ドライバIC、パワーMOSFET、IGBT、EEPROM、フラッシュメモリ、FeRAM、SiC
受動部品(7品目):アルミ電解コンデンサ、タンタル電解コンデンサ、積層セラミックコンデンサ、フィルムコンデンサ、チップ抵抗器、チップインダクタ、水晶振動子
自動車関係資料:自動車の生産・販売データ、海外における日系企業の生産拠点、メーカー提携マップ
【 調査期間 】 2005年6月~7月
【 調査方法 】 富士キメラ総研専門調査員による直接面接取材及び富士キメラ総研データベースを併用した。
以 上
タ イ ト ル :「車載電装デバイス&コンポーネンツ Select2006<上巻;安全・快適・電子部品編>」
体 裁 :A4判 299頁
発 行 日 :2006年7月25日
価 格 :97,000円(税込み101,850円)
セット価格 :184,000円(税込み193,200円)
調査・編集:株式会社 富士キメラ総研 研究開発本部 第一研究開発部門
TEL:03-3664-5847 (代) FAX:03-3661-6920
発 行 所:株式会社 富士キメラ総研
〒103-0001東京都中央区日本橋小伝馬町2-5 F・Kビル
TEL03-3664-5841(代) FAX 03-3661-7696 e-mail:koho@fuji-keizai.co.jp
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