昭和電工、カーボン・ナノファイバー「VGCF」の生産能力を年産100トン体制に増強
カーボン・ナノファイバー「VGCF(R)」の生産能力を増強
昭和電工株式会社(社長:高橋 恭平)は、リチウムイオン電池の添加材等に使用されるカーボン・ナノファイバー「VGCF(R)(気相法炭素繊維)」の生産能力の増強を行うことを決定しましたのでお知らせいたします。
当社独自の製品である「VGCF(R)」は、高成長が続くリチウムイオン電池向けに需要が 急拡大しており、年産能力40トンでのフル生産を継続しています。しかし、お客様からの増量要請に十分お応えできない状況が続いていることから、今般、能力を増強することを決定いたしました。本年下期に着工し、2007年より年産100トン体制に移行する予定です。
「VGCF(R)」は直径約150ナノメートル (*1)、長さが約10マイクロメートル (*2)の微細繊維で、チューブ構造をしています(写真1)。リチウムイオン電池の電極部へ導電助剤として「VGCF(R)」を少量添加することにより、
1)充・放電の繰り返しによる電気保持容量の低下を抑制し、電池が長持ちします。(サイクル寿命特性の向上 図1)
2)電極の導電性が向上するため電池電流量が増加し、大電流放電を必要とする電気製品への使用が可能となります。(導電特性の向上 写真2)
リチウムイオン電池は、高性能化が進むノートパソコン、携帯電話、ビデオカメラ、デジタルカメラ等のモバイル機器に広く使用される他、最近では大電流を必要とする電動工具のコードレス化にともなう需要が急増しています。
新プラントにおいては、樹脂や金属、セラミックスへの添加用途向けに開発した直径約100ナノメートルの新グレード「VGCF(R)-S」の生産も予定しています。 「VGCF(R)-S」を添加した複合材は、高い導電性・熱伝導性・電磁気遮蔽性等を持つため、静電気を嫌う電子部材キャリアケース等へ使用が見込まれております。
本年からスタートした連結中期経営計画「プロジェクト・パッション」では、カーボン・ナノファイバー事業を、成長事業として位置づけております。量産化技術の向上やコストの引き下げにより競争力の強化を図り、2010年には売上高を100億円まで引き上げる予定です。
(*1) 1ナノメートル(nm):10億分の1メートル
(*2) 1マイクロメートル(μm):100万分の1メートル
以上
◆お客様お問合せ先 :ファインカーボン部 03-5470-3562
(*添付資料参照)
写真1「VGCF(R)」の形状
透過電子顕微鏡(TEM)断面写真
走査電子顕微鏡(SEM)写真
図1 リチウムイオン電池負極への 「VGCF(R)」添加によるサイクル寿命性能向上例
写真2 リチウムイオン電池負極内の「VGCF(R)」 SEM写真
