積水化学、１０月１日から「ウッド事業」を開始
ウッド事業の開始について
―化学会社として培った材料技術、製造技術で木材分野に参入―
■環境貢献型硬質木材『エコバリューウッド』（６０周年記念商品）を発売
■群馬県太田市に専用工場を設立
積水化学工業株式会社（社長：大久保尚武）環境・ライフラインカンパニー（プレジデント：田頭秀雄）では、来る１０月１日より「ウッド事業」を開始します。同時に当社設立６０周年記念商品として環境貢献型硬質木材『エコバリューウッド』を新発売します。
＜背景と経緯＞
ＣＯ２排出量増加による温暖化や環境汚染が地球全体の課題となっています。特にＣＯ２を固定化する機能を持つ森林資源の減少の影響は重大と言われています。
当社では、森林資源の保護に向け「化学会社として蓄積した材料技術と製造技術による未利用木材の活用」をテーマに１９９４年から基礎研究を開始し、１９９５年には開発プロジェクトを設立しました。そして、２００２年からは事業化に向け組織強化をすすめ、２００３年には三重県にパイロットプラントを設置、このたび約１２年間の開発期間を経て事業を開始するはこびとなりました。
≪６０周年記念商品「エコバリューウッド」について≫
木材には軽量で加工しやすいなどの長所がありますが、一方で「それぞれの木に固有の癖がありバラつきが多い」「時を経ると形状変化しやすい」などの性能上の問題や「大断面木材、大型木材や硬質木材が不足している」などの資源としての問題があります。また「国産材の利用促進」「間伐材利用」「住宅解体木材のリサイクル」などの国の課題もあります。『エコバリューウッド』はこれらの課題を解決していきます。
Ｉ．『エコバリューウッド』の２つの際立ち
１）用途に応じて性能を制御する「マルチバリューシステム」
木材には建築、家具、土木、車両など多様な用途があり、それぞれの用途で要求性能が異なります。チップの樹種や形状、接着剤の塗布量や種類（石油系、植物系）、プレスの圧力などの製造条件を変えることにより、密度、強度、硬度といった性能を一定の範囲に制御し、多様な用途に対応していきます。
２）間伐材、住宅解体木材を原料とし環境に貢献する「エコマテリアルシステム」
一般の製材だけではなく間伐材、端材、住宅解体木材などを原料としても品質の安定した高強度な木材が製造できるシステムです。未利用資源の有効活用や木材のリサイクルが図れ、環境にもやさしいシステムです。
ＩＩ．『エコバリューウッド』の３つの製品特徴
１）品質安定
密度のバラつきは４％以内、含水率も１３％以下と品質が安定し、乾燥した木材です。「寸法精度が高い」「時間を経ても反り・狂いが小さい」という特徴をもちます。
２）高強度で大断面
密度０．７５ｇ／ｍ３の製品でせん断強さ３．２ＭＰａ、曲げ強さ２０．０ＭＰａの高強度材とすることが可能です。また「厚み１５０ｍｍ×幅７２０ｍｍ×長さ４３００ｍｍ」までの大型で大断面な原板を一体で接いだりせずに作れます。大型の木造建築（例：ドーム建築）や土木用途に最適です。
３）硬質性
密度０．７５ｇ／ｍ３の製品でめり込み強さ１７ＭＰａと樫やアピトン材（硬質な南洋材）の１．５倍程度の硬度を実現しています。
ＩＩＩ．『エコバリューウッド』を支える製造システムと新技術
１）独自の製造システム
原料製造（木材のチップ化）→分級（チップの形状による分別）→接着剤塗布→配向積層（チップを同一方向に並べ重ねる）→蒸気プレス成形（チップを蒸気でいったん軟らかくし、その後プレスする）→製材という６つのプロセスをもちます。蒸気で軟らかくすることで木材のもつ癖の軽減と品質の安定を図り、チップの向きを揃え、１５００トンの大型プレス機で圧縮し固めることで高い強度と硬度を実現しています。
２）３つの新技術
１．チップ配向技術
不定形なチップを同一な方向に揃える技術を確立したことにより、端材や住宅解体木材を原料としても高強度な製品とすることを可能となりました。
２．蒸気プレス技術
癖の無い品質の安定した製品とするためには高レベルの加熱圧縮が必要です。
当社では独自の蒸気プレス技術を開発、従来の約１０分の１の時間での加熱圧縮を可能とし、高い生産性を実現しています。
３．新接着剤（タンニン接着剤）
天然材料であるタンニンを主原料とする環境に優しい接着剤です。
≪事業展開について≫
（※ 関連資料を参照してください。）