富士キメラ総研、中堅・中小向け情報・通信関連市場とIT投資額の調査結果を発表
中堅・中小企業向け情報・通信関連市場とIT投資額の調査を実施
―中堅・中小企業向けIT投資額は2010年度に7兆4,700億円予測(対05年度比 180%)―
マーケティング&コンサルテーションの(株)富士キメラ総研(東京都中央区日本橋小伝馬町2-5 社長 表 良吉03-3664-5841)は、SMB(中堅・中小企業向け)の情報・通信関連市場についての調査を行った。その結果を調査報告書「2006 SMBマーケットの現状と将来展望」にまとめた。大手企業に対する新規IT需要が頭打ちとなっている中で、国内のITベンダは、新たなビジネス展開を求めてSMB(中堅・中小企業)に注目している。
*SMB(中堅・中小企業)マーケットの定義
大手企業、中堅・中小企業の定義は、従業員規模、年商規模、取引額など様々であり、業種、業態によっても区分が異なる。本報告書では、中堅企業によって構成されるマーケットをMB (Middle Business)、中小企業及び SOHO (Small Office/Home Office)によって構成されるマーケットをSB(Small Business)とし、年商1,000億円未満の企業をSMB(Small and Middle Business)と定義した。
<調査結果の概要>
1.民間企業(7業種)の全体IT投資額とSMB(中堅・中小企業)IT投資額の動向
2005年度 2010年度予測 対05年度比
全体IT投資額 10兆2,450億円 12兆7,700億円 125%
SMBIT投資額 4兆1,550億円 7兆4,700億円 180%
SMBIT投資額割合 40.6% 58.5% ―
民間需要に支えられた景気回復が続いており、大手企業を中心に生産性の向上、事業の強化、拡大、競争力の強化を目的とした前向きな投資が継続すると見られる。2006年度から2010年度にかけては設備投資、IT全体投資、SMBIT投資のいずれも拡大が予測される。SMBIT投資は特に高い成長が予測され、IT投資全体に占める割合も6割近くに達する見通しである。
2.中堅・中小企業向け情報・通信関連市場(6分類、27カテゴリー)
6分類 2005年 2010年 対05年比
アプリケーション 業務系アプリケーション 711億円 1,082億円 152%
情報系アプリケーション 261億円 367億円 141%
プラットフォーム 情報機器 7,965億円 9,854億円 124%
ネットワーク/コミュニケーション機器 1,527億円 2,039億円 134%
セキュリティ 324億円 464億円 143%
ネットワークサービス 1,045億円 3,343億円 320%
合計 1兆1,832億円 1兆7,149億円 145%
アプリケーション市場は、業務用アプリケーションが中心となっており、その他の市場もそれぞれ相互連携、波及効果をもたらしながら成長していくと見られる。EC/EDI、文書管理、Web会議は、高い成長率を示しているものの、SMBにおける市場規模は小さい。しかし、Web会議は、SMBを中心として市場形成されており、業種・導入エリアの裾野拡大が見込まれる。グループウェアは、大手企業での新規需要が一巡していることから、SMB市場開拓がベンダにとって重要課題となっており、機能を限定した簡易グループウェア、ASPサービスなど多様な製品/サービスの形態へと変貌していく。
プラットフォームの構成は情報機器比率が高くなっている。プラットフォームは、情報機器、セキュリティ、ネットワークなど、IT投資の基盤として必須であり、ユーザーに広く普及している。しかし、製品提供から、ソリューション提供へとユーザーニーズがシフトしていることから、単価の下落が続くハードウェア中心のプラットフォーム市場の成長率は、アプリケーション市場に比べて小さいため、今後は、アプリケーションサービスが市場を牽引していくものと見られる。
<注目市場>
FTTxサービス
■全体市場 2005年度 760億円 2010年度予測 2,820億円(対05年度比 371%)
■SMB市場 2005年度 540億円 2010年度予測 2,060億円(対05年度比 381%)
FTTx(Fiber to the x)サービスとは、光ファイバー網を利用して高速なインターネット接続を提供するサービスである。幹線から直接、ユーザーまで光ファイバーを敷設して接続を行う。最大100Mbpsでの接続が中心であるが、サービスによっては1Gbpsでの接続も提供されている。サービスは企業規模の大小を問わずユビキタス社会を構成していく上で広く普及・拡大していく方向にあり、2010年にはほとんどの国内事業所に浸透していると予測される。2006年よりNTT東西以外のキャリアでも、法人向けサービスメニューの拡充が活発に進められており、料金面での新たな展開によっては契約数の更なる増加が期待される。
IP電話サービス
■全体市場 2005年度 254億円 2010年度予測 935億円(対05年度比 368%)
■SMB市場 2005年度 201億円 2010年度予測 620億円(対05年度比 308%)
中堅・中小企業及び大手企業の支店や工場といった拠点ベースで導入が進んでおり、サービスは立ち上げ期から拡大期へと差し掛かっている。「0AB~J・IP電話サービス」は、新たなサービスメニューが出揃い、市場が拡大する大きな要因となっている。「050・IP電話サービス」は、番号が変わることが市場伸長の阻害要因としてあげられている。サービス事業者の中には、複合的なサービスメニューを整備してユーザーへの訴求力を高めようといった動きも見られる。ブロードバンドアクセスサービスの浸透によって、「距離」という感覚が薄れてきているが、それによって企業のビジネスフローの見直しも促されており、SMBでも、ブロードバンドインフラの導入が活発化している。
ERP
■全体市場 2005年度 810億円 2010年度予測 1,180億円(対05年度比 146%)
■SMB市場 2005年度 510億円 2010年度予測 780億円(対05年度比 153%)
ERP(Enterprise Resource Planning)は、財務・会計、人事・給与、販売・在庫、生産管理など各業務アプリケーションモジュールを、統一したデータベースで管理でき、人材、製品(サービス)、金銭の流れといった企業の業務プロセスを一元的に管理できる製品である。ERP市場は、SMB市場が大企業向けを上回る伸びを示しており、全体市場に対するSMB市場の構成比率も高まりつつある。SMB市場の拡大要因としては、既存ユーザーからのリプレース需要、2007年問題、内部統制対応需要に加えて、景気回復によるIT投資の増加などが挙げられる。特にメインフレーム(汎用大型コンピュータ)やオフィスコンピューターのサポート切れを契機に乗り換える中堅・中小企業が増加しており、こうしたハードウェアのリプレース時にERPを導入することが多い。こうした市場環境を踏まえて、従来大手企業をメインターゲットとしてきたERPベンダがSMB市場向け製品を積極的に市場投入するなどの動きも見られ、潜在的なSMB市場の掘り起こしが行われている。
3.注目SMBソリューション市場
分類 2005年度 2010年度 対05年度比
業務マネジメントソリューション 2,000億円 3,200億円 160%
ドキュメントソリューション 870億円 1,900億円 218%
IPテレフォニーソリューション 720億円 2,100億円 292%
情報共有ソリューション 460億円 645億円 140%
情報漏洩防止ソリューション 68億円 236億円 347%
既にSMBで市場が立ち上がっているERPを中心とした業務マネジメントソリューションの市場規模が2010年度に3,200億円にまで拡大すると予測される。IPテレフォニーソリューションは、2010年度に、業務マネジメントソリューションに次ぐ市場規模へと成長する見通しであり、オフィス環境において、ITとネットワークの融合が進行することが予測される。また、情報共有ソリューションへの波及、連携も進行していくと見られる。情報漏洩防止、ドキュメントソリューションはセキュリティ対策としての位置付けが高く、セキュリティニーズとともに市場が拡大すると予測される。
<注目市場>
情報漏洩防止ソリューション
■SMB市場 2005年度 68億円 2010年度予測 236億円(対05年度比 347%)
2005年の個人情報保護法施行で大手企業が先行して情報漏洩対策を行い、やや遅れて2006年度にはSMBでも対策が行われ始めた。情報漏洩対策の取り組み度合いの指標となるISMS認証やプライバシーマークの取得件数は、大手企業が取得したと見られる2005年度から2006年度入っても、引き続き取得件数のペースが落ちていないことから、SMBでの情報漏洩防止ソリューションが活発に行われていることの証左といえよう。SMBマーケットの中でも、年商100億円以下の企業をターゲットとした低価格なツールやソリューションが今後提供されてくるものと見られ、情報漏洩対策は社会問題を背景にSMBマーケットでも確立していく。
<調査対象>
1.注目SMBソリューション(5カテゴリー)
業務マネジメントソリューション、ドキュメントソリューション、IPテレフォニーソリューション、情報共有ソリューション、情報漏洩防止ソリューション
2.注目SMBマーケット(27カテゴリー)
(1)アプリケーション
1)業務系 ERP、財務・会計、人事・給与、販売・在庫、EC/EDI
2)情報系 グループウェア、文書管理、CRM/SFA、電子帳票関連ツール、Web会議
(2)プラットフォーム
1)情報機器
サーバ、ビジネスパソコン、MFP、プリンタ、プロジェクタ
2)ネットワーク/コミュニケーション機器
IP-PBX、ビジネスフォン/IP電話機、ルータ、LANスイッチ、無線LAN関連機器
3)セキュリティ
ウイルス対策、ファイアウォール/統合アプライアンス、情報漏洩対策ツール、入退室管理システム
4)ネットワークサービス
FTTxサービス、IP電話サービス、新型WANサービス
<調査期間>
2006年7月下旬~9月中旬
<調査方法>
(株)富士キメラ総研専門調査員による調査対象・関連企業に対してのヒアリング取材及び(株)富士キメラ総研社内データベースの活用による調査・分析
以上
資料タイトル:「2006 SMBマーケットの現状と将来展望」
体 裁 :A4判 313頁
価 格 :97,000円(税込み101,850円)
CD-ROM付価格 107,000円(税込み112,350円)
調査・編集 :株式会社 富士キメラ総研 研究開発本部 第二研究開発部門
TEL:03-3664-5841 FAX:03-3661-7696
発 行 所 :株式会社 富士キメラ総研
〒103-0001東京都中央区日本橋小伝馬町2-5 F・Kビル
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