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ニュースリリースのリリースコンテナ第一倉庫

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2007'04.17.Tue

東レ、高レベルなタンパク質解析技術を開発し新規の癌マーカーを発見

東レ、世界最高レベルのタンパク質解析技術を開発し、新規の癌マーカーを発見
-横浜市大や京大との連携でタンパク質と遺伝子の両面から疾患マーカーを探究するシステムを構築-


 東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:榊原 定征、以下「東レ」)は、血液中のタンパク質を世界最高レベルの感度で検出可能なタンパク質解析1)技術と国立大学法人京都大学(京都府京都市、総長:尾池和夫、以下「京都大学」)大学院医学研究科の高度な医療・解析技術を融合させることにより、これまで癌との関連性が知られていなかった、血液中に極微量に存在するタンパク質と癌との関連性を明らかにしました。更に、膀胱癌においては癌の早期診断に役立つ「マーカータンパク質」2)が尿中から検出可能であることを世界に先駆けて発見しました。


1.今回開発したタンパク解析技術の主な特長
 東レのナノテクノロジー(独自の分離膜技術)と、バイオテクノロジー(タンパク質精製技術、医療機器開発技術等)を駆使することにより、画期的な血液の前処理ツールであるタンパク質分画デバイス3)を独自に開発してきました。このデバイスにより、これまでは非常に困難だった、血液中のタンパク質解析妨害成分を99%以上除去可能にしました。
 更に、公立大学法人横浜市立大学(神奈川県横浜市、学長:ブルース・ストロナク、以下「横市大学」)と共同で、分画デバイスで処理した血液中の極微量タンパク質を数多く検出するための質量分析4)技術を開発することで、血液の中から約2500種前後のタンパク質を3日程度で検出できるシステムを確立しました。従来、この程度のタンパク質を血液から検出するためには、非常に複雑な手法を組み合わせて数週間以上の細かい作業が必要でした。この技術は血液以外にも適応が可能であり、さらに尿などを対象に研究分野を拡大しています。本技術については、タンパク質解析分野で世界的に権威のある雑誌「Proteomics」の2006年9月号(volume6.No.17,pp4845-4844)に掲載されました。


2.本タンパク質解析技術による癌のマーカータンパク質発見研究
 東レが保有するタンパク質解析技術と京都大学が有する高度な臨床医療研究技術を融合させ、腎細胞癌、食道癌、および膀胱癌を対象に患者の血液中あるいは尿中に存在する癌のマーカータンパク質を探索する研究を2年前から進めてきました。その結果、腎癌や食道癌において、これまでには癌との関係が知られていない70種のタンパク質が、癌特異的に検出されることを見付け出しました。さらに、膀胱癌患者の尿中に存在する「CXCL1」5)と呼ばれるタンパク質を用いることにより、膀胱癌の発症を早期の段階から60%以上の確率で判定可能であることを世界で初めて見出しました。この成果については、2006年9月28日の日本癌学会でも発表いたしました。

 この解析技術の開発により、これまでは検出することが困難であった、極微量のマーカータンパク質を見出すことが可能となりました。従来から前立腺癌に対するPSAがマーカーとして知られていますがが、その他多くの癌については特異的なマーカータンパク質が未だ見出されていません。今回、開発した解析技術で発見が可能された微量なマーカータンパク質を用いることは従来判別できなかった各種疾患の早期発見を可能とし、さらに、医薬品の薬効や副作用の可能性を鋭敏に検出することによって、個人に適した治療法の選択が可能になると期待され、テーラーメイド医療の実現に向け、大きな一歩になると考えられます。また、ここで開発したタンパク質解析技術に、DNAチップ6)を用いた遺伝子解析技術を組合わせることにより、診断技術は飛躍的に向上すると期待しています。

 東レは10年後にはライフサイエンス領域を3千億円規模の事業に拡大させる予定です。また、バイオツールをその内の1千億円を占める重要な新規分野として位置づけております。この事業拡大の第一歩として、従来の約100倍高感度なDNAチップを本年4月に製品化し、「酵母全遺伝子型DNAチップ」として市場投入しました。本年度はさらに、次製品として、「ヒト発現遺伝子検出用チップ」の製品化を進めています。これらの遺伝子検出ツールと並行して、今回のタンパク解析技術により発見した癌のマーカータンパク質を検査・診断するためのタンパク質検出ツールの開発も、京都大学をはじめとする複数の臨床機関との連携で進めるとともに、2年後を目処に、体外診断薬としての製品化を視野に入れた事業拡大を目指しております。これにより、遺伝子解析及びタンパク解析を東レバイオツール事業の2本柱にして事業拡大を進めて参ります。

 今回、東レが横市大学と共同で開発したタンパク質解析技術は、京都大学の高度な臨床研究技術を背景にして取り組みを推進できたことにより、予防医療やテーラーメイド医療につながる革新的な疾患のマーカータンパク質探索技術として構築され、新規なマーカータンパク質の発見にもつながりました。今後は、発見したマーカータンパク質を検査・診断するツールを開発することにより、国民の健康生活や患者様のQOL向上に大きく貢献するものと期待されます。


【 補足説明 】

1)タンパク質解析
 生体内の特定の細胞や組織で作られる全タンパク質の構造と機能を明らかにし(プロテオーム解析)、これらのタンパク質がネットワークを形成する機構を解明することにより、タンパク質の活性を阻害する薬物をデザインし、最終的に疾患の発症を抑制したり、症状を緩和する化合物(新薬)を創出する研究(プロテオーム創薬)に繋がる一連の総合的研究のこと。

2)マーカータンパク質
 疾患に関わる特定のタンパク質のことで、疾患の原因に関わるタンパク質や疾患が原因で生成/増加/減少するタンパク質の総称。健常者と患者のタンパク質を比較し、その違いを解析することにより特定する。タンパク質は生体機能を制御する最も重要な構成要素であり、疾患の原因や指標になることが知られています。この指標となるタンパク質を特に「マーカータンパク質」と呼ぶ。患者の血液や尿中に存在する極微量のマーカータンパク質を明らかにすることができれば、新たな診断薬や治療薬の開発につながることが期待できる。

3)分画デバイス
 血液をタンパク質解析の研究対象とした際に、最も大きな障害となるのは、目的とする極微量のマーカータンパク質以外の残り99%を占める既知のタンパク質である。質量分析装置で超高感度分析が可能となった分、本来血清中に大量に存在するアルブミンや免疫グロブリンなどのタンパク質が、目的とする極微量のタンパク質の検出を妨害することが明らかとなり、近年その分離除去技術の開発が最大の課題となっていた。これに対して、樹脂への吸着による分離技術や、電気泳動による分離技術なども提案されているが分離性能が不十分であったり、処理可能な量が少なかったり、非常に手間がかかるなど幾つもの問題があり、画期的なブレークスルー技術が求められていた。
 このたび当社が開発した分画デバイスは、これらの妨害タンパク質の殆どがサイズの大きい(高分子量)タンパク質であることに着目し、(1)独自のナノポア分離膜技術を駆使し、(2)短時間(1時間)に、(3)主要な妨害成分である高分子量タンパク質を除去して(例えば血中の最大妨害タンパク質であるアルブミンを10万分の1まで分離除去)、(4)マーカータンパク質が多く存在する分子量1万~3万程度の低分子量のタンパク質を選択的に数百倍にまで濃縮し、回収することが可能な装置である。さらに、(5)無菌状態でほぼ全自動操作での処理も可能。

4)質量分析装置によるタンパク質解析
 生体内の細胞や組織内の数千のタンパク質から二次元電気泳動法などで個別に分離された目的のタンパク質の質量数を質量分析装置を用いて測定し、データベース上の既知のタンパク質の質量数と照合することにより目的のタンパク質を同定すること。

5)CXCL1タンパク質
 白血球やリンパ球の運動性を誘導する「ケモカイン」と呼ばれるタンパク質群の1種。詳細な機能は知られていないが、細胞の外に分泌されて働く。今回の発見で、膀胱癌の浸潤性(転移性)と関連することが証明され、創薬の標的物質としても期待される。

6)DNAチップ
 基板の上に多種類のDNA断片をスポット固定したもので、検体中の多種類の遺伝子の有無(量)を一度に測定できるツール。最も一般的には、ガラス基板に遺伝子が固定された形態で、光学的手法や電気化学的手法により検出される。現在の市場は遺伝子研究用が主で、国内市場で50~100億円、世界市場は数百億円。将来的には、病気の検査・診断用途までの展開を含むと、国内市場でも1,000億円以上が期待される。

以 上

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