ファンケルと名城大学、発芽玄米摂取によるうつ様症状の緩和作用を確認
~発芽玄米摂取によるうつ様症状の緩和作用を確認~
名城大学とファンケルが共同研究、ストレス学会で発表
名城大学(所在地:名古屋市天白区)と株式会社ファンケル(本社:横浜市中区、代表取締役社長執行役員:藤原謙次)は共同研究により、発芽玄米の継続摂取がストレス性のうつ様症状を緩和することを確認しました。この研究結果を、本年11月2~3日に青森県の弘前大学で開催される「第22回日本ストレス学会学術総会」で発表いたします。本研究は、農林水産省が米加工技術の研究開発促進のために交付している補助金制度による研究成果となります。ファンケルでは、今後も発芽玄米の持つさまざまな機能性を科学的に解明するため、さらに研究を続け、発芽玄米の普及・発展に努めて参ります。
●研究の経緯
発芽玄米は、玄米を水に浸してほんの少し発芽させたものです。発芽によって眠っていた酵素が活性化し、新芽の成長に必要な栄養素が増えるという特徴があり、白米に比べて「γ-アミノ酪酸(ギャバ)」や抗酸化成分などを豊富に含みます。当社では、これまでも発芽玄米の機能性を科学的に解明すべく、さまざまな研究を行っており、糖尿病の改善やアルツハイマー型認知症の予防効果が期待できる内容の研究結果を報告しております。
今回は、現在深刻な社会問題となっているストレス性うつなどの精神機能に関して、"ストレスに耐えられる脳機能"の構築にごはん食が有用であるかどうかを明らかにするため、名城大学薬学部と共同で研究を行いました。
●研究の方法と結果
研究では、マウスを「標準飼料(標準)」、「白米粉末混餌飼料(白米)」、「発芽玄米粉末混餌飼料(発芽玄米)」の3グループに分け、それぞれ30日間、これらを摂取させました。
そのうえで、摂取31日目から、ストレスによって誘導されるうつ様症状の程度を行動薬理学的手法(抗うつ剤の評価で用いられる手法)で評価し、さらにうつと関連の深いとされる脳内の神経伝達物質「セロトニン」の量を測定しました。
試験の結果、標準飼料摂取群に比べ、白米、発芽玄米摂取群ではストレスによるうつ様状態の持続時間が、短縮しており、米の摂取がストレスに対する抵抗性があることが分かりました(図1)。
< 図1 >
標準飼料摂取群に比べ、白米、発芽玄米摂取群の無動時間(うつ様状態の持続時間)は明らかに短い。
(※ 関連資料を参照してください。)
さらに各摂取群のマウスで、ストレスによる脳疲労を防ぐ働きや精神を安定させ、集中力を高める働きがあるとされる「セロトニン(5-HT)」の量を測定したところ、図2の通り、発芽玄米を継続摂取した群は脳の前頭葉のセロトニンの量が有意に増加しており、白米でも増加傾向が見られました。発芽玄米を炭水化物源として摂取した場合に認められるセロトニン(5-HT)の増加は、うつ様症状に良い影響を与えている可能性を示唆しています。
< 図2 >
セロトニンの量
(※ 関連資料を参照してください。)
以上の実験から、発芽玄米には、セロトニンの合成を賦活化することで、ストレスへの抵抗性を高める「抗うつ様効果」があることが分かりました。
●研究発表と今後の予定
本研究は、農林水産省が、米の新加工技術の促進のため、補助金を交付している「米加工品新技術研究開発事業」の助成を受けたものです。また、発芽玄米の摂取とうつ様症状に関する研究は、今回が日本で初めてとなります。
当社は名城大学薬学部(薬理作用学教室:間宮隆吉助手)と共同で、研究報告を本年11月2日~3日に青森県の弘前大学医学部で開かれる「第22回 日本ストレス学会学術総会」で発表致します。また、本研究結果を受け、社員食堂、学校給食などへの発芽玄米の提案を強化していく予定です。
また、今後も生活習慣病の予防効果などに関する発芽玄米の機能性を科学的に解明すべく、継続的に研究を進め、発芽玄米の普及・発展に努めて参ります。