中部電力、永久磁石を回転させて温度を下げる磁気冷凍システムを開発
室温磁気冷凍システムの開発について
~世界最高性能の達成で実用化に大きく前進~
中部電力株式会社は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から受託して進めている地球温暖化防止新技術開発プログラムの国家プロジェクト「ノンフロン型省エネ冷凍空調システム開発」の一環として、永久磁石を回転させて温度を下げる磁気冷凍システムの開発を行っており、このたび世界最高性能を達成しました。
平成12年に、世界で初めて磁界変化を利用した冷凍システムの開発に成功して以来、研究開発に取り組んでおり、今回の開発により空調機や冷蔵庫に利用できるレベルに達し、磁気冷凍技術の実用化に大きく前進しました。
磁気冷凍とは、フロンや代替フロンなどの気体を圧縮・膨張させる従来の方法とは異なり、磁性体(※)に磁界を与えると発熱し、磁界を取り去るとその温度が下がる現象を利用したものです。
(※)磁場をかける(磁石を近づける)と磁気を示す(磁石のようになる)物質
平成12年度には、超電導マグネットによる強力な磁界を用い室温(20度付近)から0度程度まで冷凍できる磁気冷凍システムを世界で初めて開発し、 続いて平成15年度には、永久磁石の弱い磁場でも、磁石を回転駆動させることで-1度まで冷やすことができるシステムの開発に成功しています。
今回開発した磁気冷凍システムは、次のような特長があります。
・世界最高の冷凍能力を達成
永久磁石の配置の最適化、熱交換機構の構造改善、熱侵入量の低減により、540Wの冷凍性能を達成。(平成15年度に開発したシステム(60W)に比べ、冷凍能力約10倍向上)
・世界最高の運転成績係数の達成
運転成績係数(COP)(※※):1.8の実現。(平成15年度開発システム:0.1)
(※※) 冷凍能力/消費電力。 この値が大きいほど省エネとなる。
なお、この冷凍機開発は、国立大学法人東京工業大学大学院総合理工学研究科、北海道大学大学院工学研究科、九州大学大学院理学研究院物理学部門との共同で産官学が連携して行っているものです。
今回開発した磁気冷凍システムは、産業用冷凍庫やエアコン等に活用できるモデル機であり、早期実用化に向けた取り組みを進めてまいります。
以上