長谷工、中庸熱セメントなど用いたコンクリートの合理的な養生方法を確立
中庸熱セメント等を用いたコンクリートの合理的な養生方法を確立
普通セメントと同等の湿潤養生期間で建物品質を確保
長谷工コーポレーション(本社・東京都港区、社長:岩尾 崇)をはじめとするゼネコン10社で構成する研究会(※1)は、近年、建築工事への使用例が増加している中庸熱ポルトランドセメント(※2)や低熱ポルトランドセメント(※3)を用いたコンクリートの合理的な養生方法(養生期間)を確立しました。各種実験を通じ、普通ポルトランドセメント(※4)や早強ポルトランドセメント(※5)と同じく強度10N/mm2まで湿潤養生を継続実施すれば、その後の強度は順調に発現し、また所要の耐久性を確保できることを確認しました。これにより、コンクリートのひび割れ抑制に効果の高い中庸熱ポルトランドセメント等を使用した場合でも、普通ポルトランドセメントと同じ工期を実現することができます。今後は同研究会に参画した各社が今回得られたデータを有効に活用すると共に、日本建築学会への提案を行う予定です。
(※1)安藤建設、大木建設、西武建設、錢高組、大末建設、鉄建建設、東亜建設工業、東洋建設、三井住友建設、長谷工コーポレーションの10社
【 経 緯 】
近年、建築工事における建物の長大化や躯体部材(大梁等)の大型化によるコンクリートのひび割れがクローズアップされ、その対策として「水和熱が小さい」、「乾燥収縮が小さい」といった特性をもつ中庸熱ポルトランドセメントや低熱ポルトランドセメントを使用する例が増加してきました。
普通ポルトランドセメントや早強ポルトランドセメントの場合は10N/mm2以上の強度がでれば湿潤養生を打ち切ることのできるという規定があり(参考文献:「JASS5 鉄筋コンクリート工事標準仕様書 2003年2月改訂版」(日本建築学会)、表1)、2日程度でせき板による被覆を解体して養生を終了できます。ところが中庸熱ポルトランドセメントや低熱ポルトランドセメントを使用する場合は、コンクリートの湿潤養生を打ち切ることのできる期間についての明確な規定がなく、7日以上の湿潤養生が必要とされています(同、表1・表2)。そのため、合理的かつ実用的な養生方法(養生期間)の確立が望まれていました。
そこで中庸熱ポルトランドセメントや低熱ポルトランドセメントを使用する場合に、コンクリートの品質が確保でき、実用的なサイクル工程を組むことができるコンクリートの養生方法の確立を目指し、宇都宮大学桝田佳寛教授の技術指導の下、ゼネコン10社で共同研究を行ってきました。
*実験概要などは、添付資料をご参照ください。