フリースケール、FlexRay技術搭載の車載向け16ビット・マイクロコントローラーを発売
フリースケール、車載向け16ビット・マイクロコントローラにFlexRay対応製品を追加
XGATEコプロセッサ、最大512K Flashメモリ、および車内ネットワークの
高速データ転送機能を備えたアクティブ・セーフティ・システム向けS12XFファミリ
フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン株式会社(本社:東京都目黒区下目黒1-8-1、代表取締役社長:高橋恒雄)は、次世代の車内ネットワーク・アーキテクチャ推進に向けFlexRay技術と最大512KのFlashメモリを搭載したMC9S12XFファミリを発表しました。
これにより、車載向け16ビット・マイクロコントローラ(MCU)ファミリを拡充します。
FlexRay技術を搭載した2007年モデルの自動車が市場へ登場するのに伴い、車内の高速通信ネットワークが自動車の安全と性能を再定義しようとしています。
すでに広く使われているフリースケールの量産中のS12アーキテクチャをベースとしたMC9S12XFファミリは、ボディ、シャーシ、およびセーフティ・アプリケーションで使用されるFlexRayネットワークの組込みノード向けに、高性能分散制御ソリューションを提供します。
FlexRay技術は、現行使われている車載ネットワーク・プロトコルに対して最大10倍の通信スピードを実現します。この飛躍的な通信性能の向上によって、より高速で多様な車両姿勢制御、より緻密なエンジン・コントロールや大型のハイドロリック・ブレーキからの置き換えが期待されている軽量の電子式ブレーキ・バイ・ワイヤを可能にします。
■フリースケールのオートモーティブ・マイクロコントローラ・グローバル・マネージャー
レイ・コーニンは、次のように述べています。「FlexRay技術は、現在のアクティブ・ドライビング・システムや、将来のドライブ・バイ・ワイヤを応用した自律型自動車で求められる高速通信に対応した帯域幅を提供します。この革新的な技術の普及のため、フリースケールではスタンドアローンのFlexRayコントローラならびに16/32ビットFlexRay組込みMCUの拡充を続けています。S12XFファミリにより、車載システム設計者が利用できるFlexRayソリューションの選択肢がさらに広がります。」
S12XFファミリは、4種類のFlashメモリ構成の高集積MCUを揃え、さらにXGATEコプロセッサを搭載し性能を強化します。パッケージ・オプションは、112ピンLQFPから、10mm×10mmの64ピンLQFP(現時点でFlexRayコントローラ最小)まで用意されています。
S12XF MCUは、小型であるためFlexRayネットワーク上の32ビット中央制御装置と通信する分散アクチュエータおよびセンサ制御モジュールなど、スペースが制限されるアプリケーションに理想的です。16ビットのS12XFは、サスペンション制御、転倒防止、アクティブ・ブレーキング、車線逸脱警報、駐車支援、電子パーキング・ブレーキなど、さまざまな先進的なセーフティおよびアクティブ・ドライビング・アプリケーションのノードとして機能します。
■MC9S12XFファミリの特長
*効率に優れた16ビットCISCアーキテクチャ・ベースの50MHz S12Xコア
*2.5、5、8、および10Mbps(チャネルあたり)のデータ速度をサポートするFlexRay v2.1シングル/デュアル・チャネルを搭載
*4MHz~40MHzの水晶発振子からFlexRayクロックを生成し、PLLを使用してコストとEMCを最適化
*XGATEモジュールの搭載により、処理能力を最大100MIPS向上
*車載環境に対応した512KB、384KB、256KB、および128KBのエラー訂正コード(ECC)付きFlashメモリ
*2KBおよび4KBのEEPROMと16KB、24KB、および32KBのRAM
*解像度を8/10/12ビットに設定可能、3マイクロs変換時間に対応した最大16チャネルのアナログ・デジタル・コンバータ(ADC)
*障害保護および電流検知入力を備えた6チャネルのパルス幅変調器(PWM)を使用した統合モータ制御モジュール
*CAN (control area network)、LIN(local interconnect network)、およびSPIプロトコルをサポート
*3つの同期ソースを持つ拡張周期割込みタイマ(ADC、PMFトリガ機能によりモータ制御アルゴリズムを拡張)
*入出力の要求に合わせて選択可能な小型パッケージ
*広範囲なS12Xファミリ開発ツールのサポート
■MC9S12XFファミリの供給
フリースケールは、MC9S12XFファミリ(MC9S12XF512、MC9S12XF384、MC9S12XF256、およびMC9S12XF128)のサンプル出荷および評価ボードの提供は、2007年第1四半期を予定しています。詳細については、http://www.freescale.com/files/pr/s12xf.htmlのWebサイトをご覧ください。
■FlexRay通信プロトコル
FlexRay技術は、定時応答的なフォールト・トレラント通信プロトコルであり、最大10Mbpsのデータ速度によって先進の制御アプリケーションをサポートします。この高速通信技術は、高いネットワーク・スループットを提供することによって、帯域幅のボトルネックを解消するためのパラレルで存在するCANの数を減らすことにより、システム・コストを削減します。また、FlexRay技術は、その高帯域幅によって車内ネットワークのバックボーンとして理想的なプロトコルとなります。さらに、FlexRay技術のデュアル・チャネル・アーキテクチャは、先進のセーフティ・システムにおける冗長性の要求に応えます。
これらの利点が組み合わさることによって、より安全で、応答に優れ、信頼性が高く、環境に優しい次世代の自動車を実現します。
FlexRayコンソーシアムの創設メンバであるフリースケールは、16ビット・アーキテクチャ・ベースのFlexRayコントローラを初めて車載市場に供給した半導体メーカーです。フリースケールは、業界で最も充実したFlexRay半導体デバイス群を提供しており、量産準備の整った自動車にFlexRayコントローラを供給できる半導体サプライヤです。また、開発ソフトウェア、スタータ・キットなど、FlexRayソリューションに幅広いエコシステム・サポートを提供しています。
■XGATEコプロセッサ
S12XFファミリは、FlexRay技術に加えてフリースケールのXGATEコプロセッサ・モジュールも搭載しています。このモジュールは、メインCPUの専用コプロセッサのように機能します。2004年にS12Xアーキテクチャで登場したRISCベースのXGATEコプロセッサは、独立したプロセッサを追加する際のコストや複雑化を伴うことなく、マイクロコントローラの性能を高めます。
CPU処理の負荷を増やすことなくメインCPUを2倍の速度で動作可能にするXGATEコプロセッサは、ピーク動作時には最大100MIPSのシステム性能向上を実現します。このコプロセッサ・アーキテクチャによってS12XFは、システム・コストの削減やコード効率の向上など、市場で成功したS12Xアーキテクチャがもたらす利点を維持し、多くの32ビット・マイクロコントローラに匹敵する性能を実現します。
■車載向け16ビットMCU
フリースケールのS12およびS12X製品は、拡張性、ハードウェア/ソフトウェアの再利用性、および幅広い車載向け電子プラットフォーム間での互換性を保証します。S12 MCUファミリは、車載市場で最も普及している16ビット・アーキテクチャです。S12ベースのMCUは、年間1億個を超えるペースで出荷されています。拡張性に優れたS12ファミリは、32KB~1MBの組込みFlashメモリによって、さまざまなアプリケーション・ニーズに対応し、高性能S12XMCUへの移行も容易です。
■フリースケール・セミコンダクタについて
フリースケール・セミコンダクタ・インクは、自動車用、民生用、産業用、ネットワーキングとワイヤレスマーケット向け組込み用半導体のデザインと製造の世界的リーダーです。フリースケールは、テキサス州オースチンを本拠地に、世界30カ国以上の国で、半導体のデザイン、研究開発、製造ならびに営業活動を行っています。フリースケールは世界的な大手半導体メーカーです。2005年度の売上高は58億ドル(USD)でした。詳細は、http://www.freescale.comをご覧ください。
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