MM総研、携帯電話の番号ポータビリティ利用意向調査結果を発表
第2回携帯電話の番号ポータビリティ利用意向調査
■MNP利用ユーザーは半年前の調査から半減、11%から5%へ減少
■ユーザーの動きは慎重であり、事業者シェアへの影響は限定的か
■今後も事業者を変更しないと回答したユーザーは56%から68%へ上昇
MM総研(東京都港区、所長・中島 洋)は12月5日、携帯電話ユーザー2,313人に対する番号ポータビリティに関するアンケート調査の結果をまとめ、携帯電話事業者を変更するユーザーの比率などを発表した(調査実施は11月上旬から下旬)。それによると、番号ポータビリティ制度を利用して既に携帯電話事業者を変更したユーザー、今後番号ポータビリティを利用して携帯電話事業者を変更するユーザーの合計は5%だった。
本調査では、番号ポータビリティ制度の開始から、約1ヵ月後の利用意向を調査した。06年5月に実施した第1回番号ポータビリティ利用意向調査と同じ調査方法を採用し、番号ポータビリティ制度開始前と開始後の利用意向の変化を分析した。
番号ポータビリティを利用して事業者を変更するユーザーは、5月時点の11%から5%に減少(表.1)。11月時点で、既に番号ポータビリティを利用して事業者を変更したユーザー0.5%を合わせても5月時点から半減した。一方で、今後も事業者を変更しないと回答したユーザーは、5月時点の56%から68%に上昇した。
番号ポータビリティ開始から1ヵ月程度経過し、事業者変更に伴う手数料や長期割引の解約手数料支払い、メールアドレス変更を余儀なくされるといったデメリット情報が浸透したことで、番号ポータビリティを利用して事業者を変更するユーザーが大幅に減少した。
事業者別に見た今後の番号ポータビリティ利用希望者の比率は、NTTドコモユーザーでは5月時点の11%から5%に減少、auユーザーでは8%から2%に減少、ソフトバンクユーザーでは16%から9%に減少した。
■今後の番号ポータビリティ利用意向者は4.9%、5月時点の11%から大幅に減少
番号ポータビリティ制度は、10月24日にスタートしたが、アンケート調査を実施した11月時点で、番号ポータビリティを利用して事業者を変更したユーザーは0.5%だった。番号ポータビリティの開始にあたり、携帯電話事業者のキャンペーンや新サービスが話題を集めたが、実際に事業者を変更したユーザーは少なかった。また、今後番号ポータビリティを利用して事業者を変更するユーザーは4.9%で、既に事業者を変更したユーザーと合わせても5.4%に留まった。
5月に実施したアンケート調査では、番号ポータビリティの利用意向者は11%だったが、制度開始後に実施した今回の調査では、利用意向者が半減した。しかも、番号ポータビリティ利用意向者の中で、07年3月までに変更するユーザーに限定すると1.6%になり、実際に番号ポータビリティによる事業者変更を決めているユーザーは、極めて少ないということが判明した。
■今後も事業者を変更しないユーザーが68%に上昇
今後も携帯電話事業者を変更しないと回答したユーザーは、5月時点の56%から68%に上昇した(表1)。番号ポータビリティの認知度が上昇したことで、事業者変更で生じる手数料や長期割引の解約手数料支払い、メールアドレス変更を余儀なくされるといったデメリット情報も浸透し、番号ポータビリティ利用意向者が減少した。また、携帯電話事業者が家族割引サービスや通話エリア、携帯電話端末ラインナップを充実させるなど、既存ユーザーに対するサービスが向上していることも事業者を変更しないユーザーが増加した要因になった。
各事業者がそれぞれ特色あるサービスやキャンペーンを展開した結果、この半年間で事業者を変更したいというユーザーは減少した。一方で事業者間のサービス競争は激しさを増しており、その価格やサービス内容次第で今後も利用意向は変動すると思われる。番号ポータビリティを利用するユーザーは当面は限定的なものとなりそうだが、この制度開始によって携帯電話端末の機種数が増え、機能・サービスメニューが多様化するなど、市場を活性化させるという効果は大きかったようだ。