NECエレクトロニクス、サーバー並の大容量メモリを搭載できる積層メモリパッケージ技術を開発
サーバー並の大容量メモリの搭載を可能にする積層メモリパッケージ技術の開発について
~8枚のメモリチップとシステムLSIチップを1つのパッケージに搭載~
NECエレクトロニクスはこのたび、エルピーダメモリ(以下エルピーダ)および沖電気工業(以下沖電気)と共同で、メモリチップ8枚とコントローラーチップ1枚を一つのパッケージに搭載する「積層メモリパッケージ技術」を新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受けて開発いたしました。
今回3社が共同開発したのは、(1)メモリチップ内に50μmピッチで埋め込んだポリシリコンにより、チップの両面に1000ピン以上の電極を出す貫通電極技術、(2)厚さ50μmのメモリチップ8枚を縦方向にマイクロバンプで接合し、さらにシステムLSIチップを合わせた合計9枚のチップを一つのパッケージに組み立てる積層組立技術です。
この技術を用いることにより、サーバー並の大容量メモリをワンパッケージに搭載できるため、携帯機器においてハイビジョン動画像処理や、ゲームなどの高速三次元グラフィックス処理などが容易に実現できるようになります。
近年、PCやサーバー、デジタルAV機器、および携帯機器など、応用分野を問わず、メモリの大容量化に対するニーズが高まっております。一方、デジタルビデオ画像、地上デジタル放送、ゲームでの動画などの処理は、メモリの高速化が必要で、かつそれを低消費電力で実現することが求められています。これら市場のニーズに対しては、システムLSIにメモリを搭載する方法や、インターポーザー上に複数のメモリチップやプロセッサを重ねてワイヤーボンディングで接続するダイスタック型システム・イン・パッケージ(SiP)などで対応することが一般的です。しかしながら、メモリ搭載システムLSIではシステムに十分な大容量のメモリ搭載は困難であること、SiPではワイヤーボンディングを使用するためにインピーダンス整合を取ることが難しいこと、プロセッサとの接続ピン数に限りがあること、信号伝送の高速化には十分対応できていないこと、および積層できるメモリチップの数に制限があること、など解決すべき課題が残されております。
NECエレクトロニクス、エルピーダおよび沖電気は、このような問題を解決するため、2004年6月よりNEDO助成による「積層メモリチップ技術開発プロジェクト」を共同で進めて参りましたが、このたびポリシリコン貫通電極形成において、電極構造を最適化することにより、高スループットで貫通電極形成をすることに成功し、また積層組立技術において、当社が開発した最先端SiP技術「SMAFTITM」(スマフティ)を適用することにより、50μmという超狭ピッチでの極めて高度な三次元実装を実現可能にしました。
その結果、貫通電極を形成した8枚のメモリチップとコントローラーチップとを、それぞれピッチ50μmのマイクロバンプで三次元的に接続できる積層メモリパッケージ技術の開発に成功したものであります。
3社は、今回開発した技術がシステム機器のさらなる小型化、高速化、および低消費電力化に貢献でき、ユーザーの快適な装置利用を実現するものと確信しており、今後とも積極的に研究、開発活動を継続する計画であります。
なお、3社は、本成果を12月11日から3日間米国のカリフォルニア州サンフランシスコ市で開催された最先端電子デバイス技術に関する国際会議「International Electron Devices Meeting 2006 (IEDM 2006)」において発表いたしました。
以 上
(備考)SMAFTIはNECエレクトロニクス株式会社の日本、ドイツ、韓国、台湾における登録商標。