住友電工、GEグローバル・リサーチと高温超電導材料を使用した工業製品の開発で共同研究
GEグローバル・リサーチと住友電工
高温超電導材料を使用した工業製品の開発に向けた共同研究で合意
-エネルギーやヘルスケア分野で、費用対効果に優れた広範な応用製品の商業化を促進-
2006年12月21日(東京)-GEの中央研究所であるGEグローバル・リサーチ(本部:米国ニューヨーク州ニスカユナ)と、住友電気工業株式会社(本社:大阪府大阪市 以下、住友電工)は、本日、高温超電導材料を用いた工業製品の開発に向け、共同研究を進めることで合意しました。より高温の超電導材料の発見により、超電導技術を活用した、広範且つ費用対効果に優れた応用工業製品の開発が可能になります。
今回の合意に基づき、住友電工はさらなる性能向上に向けた高温超電導線の開発を担当し、GEグローバル・リサーチは、高温超電導材料を用いた新しい応用製品の設計と製品の試作を担当します。GEは、今後さらに進化する超電導材料を活用し、核磁気共鳴撮影装置、発電機、工業用駆動装置など広範な製品の開発を推進していきます。なお、画像診断医療装置(MRI)は、1980年代初めにGEグローバル・リサーチが世界で初めて開発し、現在、全世界の医療業界で利用されています。
GEグローバル・リサーチ 先端テクノロジー担当副社長のマイケル・アイデルチェクは、次のように述べています。「今回の共同研究における合意は、超電導線の技術における住友電工の強みと、エネルギー、ヘルスケア分野での応用製品の商業化に向け、GEグローバル・リサーチが持つ超電導材料を用いた工業製品の設計・開発における豊富な経験を結集させるものです。住友電工との共同研究により、超電導市場におけるビジネス機会の大幅な拡大につながる新技術の開発を促進できるでしょう。」
住友電工 畑常務執行役員は次のように述べています。「GEの様なリーディング・カンパニーを通して様々な用途が開拓され、商業化されていくことは、高温超電導線にとって非常に重要なことです。昨今の高温超電導線の性能向上が、十分に商業レベルに達しつつあることを考慮しますと、まさに今回の共同研究における合意は、絶妙のタイミングであると思います。」
1911年に、オランダの物理学者、ヘイケ・カマリン・オンネスによる超電導現象の発見以来、世界の様々な企業、研究機関などが、医療機器、モーター等の超電導応用製品の開発を試みました。しかし、現時点で、超電導応用製品として唯一商業化されているのは、MRIのみとなっています。これは、液体ヘリウム(沸点4K)による冷却が必要であったため、超電導技術の応用が一部の分野に限定されていたためです。
高温超電導材料の開発における進展として、液体窒素(沸点77K)を超える臨界温度を持つ高温超電導材料が発見され、同分野における関心が再度高まり、世界中で数々の研究・開発が進展しました。こうした中、住友電工では、加圧焼成(CT-OP(TM):Controlled Over Pressure)法により、世界で初めて高温超電導線の商業レベルの長尺線製造技術を確立しました。加圧焼成法を用いて製造された革新的ビスマス系高温超電導線「DI-BSCCO(R)」は、液体窒素温度(沸点77.3K)において、断面積1平方ミリメートル以下で、200Aの電流を通電することが可能です。今後、さらに高性能な高温超電導線を開発することで、さらなる応用分野の拡大が可能になります。
また、「DI-BSCCO(R)」で製作された高温超電導ケーブルは、米国エネルギー省およびニューヨーク州エネルギー研究開発公社が資金供与する、初の地下埋設実系統プロジェクトに採用されました。2006年7月に実系統に接続されて以来、約70,000世帯に順調に電力を供給しています。同ケーブルの長期試験は、2007年~2008年にかけて完了する予定です。
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GEグローバル・リサーチについて
GEグローバル・リサーチは、米国で最初の工業研究所であり、世界有数の多様性に富んだ研究開発センターの一つで、GEの全てのビジネスと連携し、革新的なテクノロジーを供給しています。GEグローバル・リサーチは、100年以上にわたりGEのテクノロジーの中核として、医療画像、発電、航空機エンジン、先進材料や照明などを含む、様々な分野における革新技術を開発しています。GEグローバル・リサーチはニューヨーク州ニスカユナに本部を置き、インドのバンガロール、中国の上海、ドイツのミュンヘンにも研究開発拠点を設立しています。
GEグローバル・リサーチの詳細については、www.research.ge.comをご覧下さい。