富士通、FlexRay Ver2.1搭載32ビットマイコンを発売
FlexRay Ver2.1搭載32ビットマイコンを新発売
~最新仕様に対応し、次世代の車載ネットワークを実現~
当社は、次世代の高速車載ネットワークFlexRay(注1)に対応した、32ビット車載向けマイクロコントローラー(以下、マイコン)「MB91F465XA」を開発し、2007年1月末より提供を開始します。当社の車載向け製品のノウハウを活かした本製品は、FlexRayの最新仕様であるVer2.1準拠のIPマクロを搭載した1チップマイコンです。100ピンの小型パッケージのため、コンパクトでコストパフォーマンスの高いFlexRayシステムの実現に最適です。また、小型で汎用性の高い仕様により、既存の車載ネットワークであるCAN(注2)からFlexRayへの移行がより柔軟に実現できます。
近年、次世代の車載システムに向けて、従来物理的に接続していた機器間を電気的に制御するX-by-Wire(注3)の技術が注目を集めています。自動車内のデータ量は増加と複雑化が進んでおり、こうした技術の実現には、より高速で信頼性の高いネットワークが必要です。その中でもFlexRayは次世代の車載ネットワークとして有望視されています。
当社は、FlexRay推進にむけて、これまで、スタータキット、コントローラーLSI ASSPの提供をそれぞれ他社に先駆け行なってきました(図)。今回開発したFlexRayマイコン「MB91F465XA」は、当社FRシリーズ(注4)32ビットCPUと周辺回路を100ピンの小型パッケージに搭載することで、コンパクトでコストパフォーマンスの高いFlexRayシステムの実現に最適です。また、汎用性の高い仕様により既存のネットワークであるCANからFlexRayへの移行をより柔軟に実現できます。
FlexRayの導入が進むとFlexRayとX-by-Wireにより、将来的には車内のデザインやレイアウトの自由度が大幅に向上し、例えば、ハンドルの左右を自由に設定したり、形状をスティックタイプにするなども可能になります。
当社は今後、本製品をベースに製品開発を加速していくとともに、「FlexRayコンソーシアム」、「AUTOSAR」(注5)、「JasPar」(注6)の会員として標準化活動に積極的に参加し、FlexRayによる次世代車載ネットワークの実現に向けて注力していきます。
図 FlexRay製品ロードマップ
※添付資料を参照
サンプル価格および出荷時期
製品名 「MB91F465XA」
サンプル価格(税込) 3,000円
サンプル出荷時期 2007年1月末日
販売目標
月間10万個
本製品の特長
1.高性能な32ビットCPUコアを搭載
最大内部動作周波数100メガヘルツで動作可能なRISC型(注7)のCPUコアを採用しており、車載向けマイコンとして業界トップクラスの高速処理が可能です。
2.ボッシュ社(注8)製FlexRay Ver2.1コントローラーIPを内蔵
搭載したFlexRay IPマクロは、ボッシュ社よりライセンス提供を受けているIPで、より信頼性の高い最新仕様FlexRay Ver2.1に対応しています。同社製FlexRay Ver2.1を内蔵したマイコンは世界初です。
3.単一電源での動作が可能
「MB91F465XA」は、3.0から5.5ボルトまでの単一電源で動作可能です。そのため、これまでのシステムの電源を変更せずにFlexRayに新たに対応できます。
当社マイコンへの取り組み
当社はフラッシュマイコンをコア製品と位置づけ、お客様に3つのバリュー“供給力”、“信頼性”、“技術力”を提供する「FF Value」(富士通フラッシュマイコンバリュー)を提唱しています。当社製品はCANマイコンをはじめとする車載用、デジタルAV、情報家電など幅広い分野で採用され、高い評価をいただいています。
添付資料
PDF 「MB91F465XA」の主な仕様(65KB)
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2006/12/21-1a.pdf
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
注釈
注1 FlexRay:
次世代車載ネットワークの通信方式の一種。高信頼でより高度な制御に対応するもので(最大通信速度毎秒10メガビット)、機械制御を電子制御に置き換えるX-by-Wireに向いている。標準化がFlexRayコンソーシアムにおいて進められている。
注2 CAN:
Controller Area Network。車載ネットワークのシリアル通信方式の一種。主にダッシュボードのメーターやボディ制御(乗員検知、エアコンなど)、エンジン制御などに使用。(最大通信速度毎秒1メガビット)
注3 X-by-Wire:
物理的に接続されていない機器間を電気信号でデータをやり取りすることによって制御する技術で、航空機などでは既に実用化されている。
注4 FRシリーズ(Fujitsu RISCファミリー):
当社32ビットマイコンのファミリー名。
注5 AUTOSAR:
Automotive Open System Architecture。車載向け電子機器やソフトウェアに関するコンソーシアム。主としてヨーロッパで活動中。
注6 JasPar:
Japan Automotive Software Platform and Architecture。車載ソフトウェアの仕様や評価方法の標準化、車載ネットワークの仕様の共通化、国際標準化団体による活動への技術的貢献に関するコンソーシアム。主として日本で活動中。
注7 RISC型:
Reduced Instruction Set Computer。マイクロプロセッサの設計様式の一つ。個々の命令を簡略化することで高速処理を可能にする。
注8 ボッシュ社:
本社 ドイツ シュトゥットガルト、取締役会会長 フランツ・フェーレンバッハ。