ポーラ化粧品、新タイプの紫外線カット剤「ポリマー超微粒子酸化亜鉛コンポジット」を発売
業界初水系サンスクリーンジェル用の新UVカット素材開発
自然な塗布感、みずみずしい仕上がりを実現
ポーラ化粧品(本社:東京都品川区、社長:鈴木郷史)研究所では、新タイプの紫外線カット剤「ポリマー超微粒子酸化亜鉛コンポジット」を業界で初めて開発しました。
新粉体は、微粒子の酸化亜鉛をポリマーで包含したもので、約500nmの大きさの中に微粒子の酸化亜鉛が散らばっています。ポリマーによる酸化亜鉛粒子の被膜によって酸化亜鉛の結晶成長や粒子同士の会合が抑制されているため、従来水系ジェルへ配合する際に問題であった、透明性が確保できない、ジェル構造を破壊するといった点を解決しています。
UVケア品の新素材として活用することで、これまで以上の「仕上がりの透明性や使用時のみずみずしさ」の効果が期待できます。
サンスクリーン剤は夏に多用され、全身に塗られます。そのため、紫外線防御作用だけでなく、みずみずしい感触、自然な塗布外観を両立した商品が好まれます。
これまで、サンスクリーン剤などで使用する紫外線をカットする素材として、紫外線吸収剤や酸化チタンや酸化亜鉛などの紫外線散乱剤などが主に用いられてきました。しかしながら、紫外線吸収剤については、「油剤であり、高い粘度を持つものが多く、みずみずしい感触が得られにくい」、紫外線散乱剤粉体の場合は「白く不自然な仕上がりになりやすい」といった問題点がありました。一方、水系ジェルはみずみずしい感触を得るのに適していますが、UVカット素材を配合する際に透明性の確保やジェル構造の確保に問題がありました。「ポリマー超微粒子酸化亜鉛コンポジット」はこれらの問題点を改善します。
新しく開発したポリマー超微粒子酸化亜鉛コンポジットの特長
1)紫外線カット効果と透明性を実現
市販されている微粒子酸化亜鉛水分散体と新素材のポリマー超微粒子酸化亜鉛コンポジットについて、水に分散させた状態での「可視紫外透過スペクトル」を比較したところ、市販の微粒子酸化亜鉛水分散体は、可視光領域(目にみえる領域:400nm~800nm)の光の透過性が著しく低下しているのに対し、ポリマー超微粒子酸化亜鉛コンポジットは大きく可視光領域の光を透過させていることが確認できました。市販品と比較して透明で、紫外線を十分カットできていることが判りました(データ1)。
2)水系ジェルへの配合
化粧品原料として汎用されている水系ジェルに、ポリマー超微粒子酸化亜鉛コンポジットを混ぜました。
比較対象として市販されている微粒子酸化亜鉛水分散体を用いました。市販の酸化亜鉛はジェルの構造を壊し酸化亜鉛が沈降しましたが、ポリマー超微粒子酸化亜鉛コンポジットはジェルの構造を壊しませんでした。みずみずしいサンスクリーン剤が期待できます(データ2)。
3)優れた透明性が実現できるコンポジットの構造
電子顕微鏡を用いてポリマー超微粒子酸化亜鉛コンポジットを観察したところ、ポリマー中に微粒子の酸化亜鉛がいくつも抱え込まれていることが確認されました(データ3)。ポリマーが存在する状態で酸化亜鉛を合成することにより、酸化亜鉛の大きさが制御され、小さな状態で抱え込むことができ、優れた透明性を実現できたと考えられます。酸化亜鉛を微粒子の大きさで安定分散させることは非常に難しいことでしたが、本コンポジットは容易に水へ安定分散することができます。
今後新粉体は、水系サンスクリーンジェルの開発に活用される予定です。
(※参考データなど詳細は資料参照)