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2024'11.23.Sat
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2007'06.23.Sat

富士経済、エネルギーソリューションサービス市場の調査結果を発表

電力・ガス自由化市場、エネルギーソリューションサービス市場の調査を実施

オンサイト発電サービス 2010年度予測 2,880億円(2006年比120%)
ESCOサービス    2010年度予測   620億円(2006年比119%)


 総合マーケティングビジネスの(株)富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 代表取締役 阿部英雄03-3664-5811)は、このほどエネルギーの自由化、原油価格の高止まりなどにより環境変化の著しい電力・ガス自由化市場、エネルギーソリューションサービス市場の調査を実施した。その結果を調査報告書「電力・ガス・エネルギーサービス市場戦略総調査 2007(上・下)」にまとめた。

 上巻では、エネルギー自由化に伴う電力・ガス市場新規参入事業者のビジネス戦略を中心に、業種の垣根を越えた相互事業進出・業界再編の動き、燃料調達、エネルギーインフラの整備状況などを調査分析し、エネルギー市場を俯瞰した。下巻では、主要参入各社の戦略をもとに省エネ・省コストの観点から普及が進む「オンサイト発電」「ESCO」を調査分析した。また、オンサイト変電や一括受電などの「エネルギーアグリゲーションサービス」、業務オペレーション改善まで踏み込む「コスト削減サービス」、これらのサービスのワンストップ化を志向する「ESP」などのエネルギーサービス市場の最新トレンドも捉えた。


<注目市場>

■ PPS市場

PPS電源出力規模
 2006年度見込        210万kW
 2010年度予測(伸長率)  573万kW (272%)
 2015年度予測(伸長率)  616万kW (293%)

 電力料金の値下げ、燃料価格の高騰、余剰電力獲得の困難、温対法改正、官公庁の総合評価方式導入などの要因から、PPSの事業環境は悪化しており事業の採算性は圧迫されている。そのため、ジーティーエフ研究所の事業撤退など事業の転換を迫られる事業者も現れており、発電所の建設計画にも見直しが生じている。しかし、PPS全体の実績は向上しており、今後も成長基調は持続すると考えられる。その要因として、顧客獲得戦略のシフト、電源獲得戦略の差異化などPPSの基本戦略の変化が挙げられる。
 高圧分野における顧客獲得の急増(2006年9月時点で前年同月に比べ件数ベースで3.7倍の成長、特高と高圧の比率は4:1から2:1へ)、契約形態に占める相対比率の向上(同件数ベースで2.3倍の成長、相対と入札の比率は4:1から6:1へ)、産業用施設の顧客割合拡大(2005年度に供給量ベースで4.8倍の成長)など、採算性の問題から後回しされがちだった分野にもPPSの進出が加速し、実績を拡大している。
 厳しい事業環境が続く中、PPS各社は事業性の再検討と事業方針の明確化が求められている。特に中小規模の事業者では採算性の悪化から身動きがとれない事業者もあり、状況が変わらなければ将来的な事業撤退も十分に考えられる。一方、先行投資で競争力の高い電源を確保している事業者は、更なる成長が見込まれる。最大のポイントは現在計画中のPPS向け大規模発電所が計画通りに建設されるかという点であり、2008年以降の電源獲得がPPS全体の方向を決める。自由化当初より、特別高圧分野・業務用施設の獲得を中心としてPPSは急成長を遂げてきた。しかし、既に優良案件の多くが開拓済みであり、今後は高圧全面自由化と業産格差縮小を受けて、未開拓分野へのターゲット拡大が重要となる。

■ オンサイト発電サービス
 2006年度見込 2,400億円  2010年度予測 2,880億円(伸長率120%)

 オンサイト発電サービスとは、分散型電源を用いたエネルギーの供給サービスである。
 設備の導入形態は、(1)ユーザーへの直販、(2)サービス事業者がリース会社へ販売し顧客がリースを受ける、(3)サービス事業者がリース会社へ販売しリースバックを受けそれを顧客にレンタルする、の3つに大別される。
 原油価格の高騰により、ディーゼル自家発電の燃料価格が跳ね上がり、機器運転によるコストメリットは得られなくなり、現状、ディーゼルの新規導入はほとんど無い状態である。また各電力会社の電力料金の値下げにより、業務施設・産業施設ともに系統回帰の現象が見られるようになった。これらにより、ディーゼルを中心としたオンサイト事業者は事業形態の変更を余儀なくされ、適応できなかった事業者は撤退に追い込まれる事態が生じている。
 2006年8月には、同市場で一定量のシェアを占めるエネサーブが、A重油を燃料とするオンサイト事業からの撤退を発表した。これにより、2006年度は市場が縮小すると見込まれる。ディーゼル自家発電市場が縮小する一方、ガス自家発電は順調に市場を拡大している。LNG価格は緩やかな上昇傾向にあるが、特高回避や環境対策またディーゼルからの燃料転換需要など、複数の要因から需要が高まっている。サテライト基地の建設に加えて、都市ガス事業者による導管網の拡大を受け、低価格でのガス供給が可能となる。また、白地エリアにも導入が進むことで、供給先の増加が予測される。今後も同様の傾向が続き、ガスコージェネを主体としたオンサイト市場全体は、2010年度に向けて緩やかに回復すると見込まれる。

■ ESCOサービス
 2006年度見込 520億円  2010年度予測 620億円(伸長率119%)

 ESCO(Energy Service Company)事業とは、省エネルギーを民間の企業活動として行い、顧客にエネルギーサービスを包括的に提供するビジネスである。1997年の日本初のESCO専業会社「ファーストエスコ」設立以来、ESCO受注額は順調に増加している。2003年頃にはDEの導入を提案の中心とするESCO事業者も多かったが、原油高騰からDE導入は大きく減退した。現在は、ESCO本来の主旨である省エネの提案が求められており、省コスト、省エネ、省CO2の複合サービスとして今後も順調な拡大が予測される。
 2003年度までESCO事業成立の中核的役割を担ってきた自家発電の主燃料である、ディーゼル系燃料の高騰が影響し、2004年度は対前年比約67%と大幅に市場が縮小した。ただしガスコージェネが好調を維持し、また企業の設備投資の拡大から、2005年度の受注額は497億円と2003年度の90%近くまで回復している。参入各社はエネルギーサービスのワンストップ化を志向しており、川下の機器調達から川上の燃料調達に至るまで、それぞれの強みを持つ企業がジョイントベンチャー等の協業体制を組み顧客開拓を図っている。またユーザー側は、自社事業に人員を集中させられる利点があることから、自社設備の運営管理そのものまでアウトソーシングする事例もでてきている。


<調査結果の概要>
 電力自由化市場では、「高圧分野・産業分野へのターゲット拡大」「電源獲得戦略の多様化」により新たな市場が生まれている。2005年度の電力需要量合計(一般電気事業者・PPS事業者の電灯契約・電力契約・特定規模需要電力契約の合計:kWhベース)に占めるPPSのシェアは1.2%となっている。この内、自由化範囲である特定規模需要は5,594億kWh(62.3%)であり、自由化範囲に占めるPPSのシェアは2.0%となっている。特定規模需要は契約種別・施設形態別に分類される。契約種別では高圧契約の0.4%、特別高圧契約の4.1%をPPSが獲得している。施設形態別では業務用施設で3.5%、産業用施設で0.4%のシェアとなっている。PPSの需要獲得は依然、特別高圧契約・業務用施設が中心であるが、前年と比較すると高圧契約・産業用施設でもシェアを伸ばしている。
 ガス市場では、原油価格高騰に伴う天然ガスの相対的な価格優位性、CO2負荷の低減を目的に天然ガスのニーズが高まり、上流から下流まで多様な場面において大手ガス会社・電力会社・石油元売会社に地方ガス会社をも含めた連係が加速している。上流部門では電力会社、ガス会社共同でのLNG輸入から始まり、仙台市ガス局-東北天然ガスの事例に見られる熱量等価交換スキームや、帝国石油、静岡ガス、東京ガスによるパイプラインの共同敷設など多様な取組みが行われている。また下流部門では大手ガス会社・電力会社が供給量拡大に向けて卸先地方ガス会社の拡大や営業支援などにより、連係体制を構築、強化している。企業間の事業連係が加速する中で地方ガス会社の位置付けも変化し、大手エネルギー事業者のガス拡販ツールとして重要視されてきている。特に公営ガス会社は効率化が求められており、民営事業者に事業譲渡される事例が散見される。また大手事業者もエネルギー需要ポテンシャルとして有望なエリアを地盤とする地方ガス会社へは積極的な卸供給や買収・合併を行ない、自社陣営に組み込もうとする動きも見られる。
 エネルギーソリューションサービス市場では、「原油価格の高止まり」「系統電力の値下げ」「CO2削減ニーズの高まり」から領域・事業範囲が拡大し、「オンサイト発電」「ESCO」などの既存サービスの枠を越え、新規ビジネスモデルの構築が進んでいる。これまでのエネルギーソリューションサービス市場は、オンサイト発電、ESCOに代表される既存のスキームを顧客に当てはめる方式が主流であった。しかし、原油価格高止まり、系統電力の相次ぐ値下げなどにより、旧来のビジネススキームではコスト的側面、また、サービス内容としても、顧客の要求レベルに応えることが困難となってきた。これに対応するため、エネルギーソリューションサービス事業者は、顧客利便性の向上・収益効率の向上などを目的として、顧客の要望を一事業者との間で完結できる方法、いわゆるワンストップサービス化を推進している。ワンストップサービス化の流れに伴い、オンサイト発電・ESCO等のサービスは事業領域が拡大し、それぞれの垣根を越えるような形でメニューの拡充が図られるようになっている。エネルギーソリューションサービス事業者は、これまでの事業の枠に囚われないトータル的なサービスを創出しており、いわば「ソリューションクリエイター」としての事業を展開している。


<調査対象>
 * 関連資料 参照

<調査方法>
 富士経済専門調査員によるヒアリング調査および各種統計資料等による文献調査

<調査期間>
 2006年8月~11月

以上


資料タイトル:「電力・ガス・エネルギーサービス市場戦略総調査 2007(上・下)」
体裁     :上巻;A4判 307頁  下巻;247頁
価格     :各巻 95,000円(税込み99,750円)
         上下巻セット 180,000円(税込み189,000円)
調査・編集 :富士経済 東京マーケティング本部 第四事業部
         TEL:03-3664-5821 (代) FAX:03-3661-9514
発行所   :株式会社 富士経済
         〒103-0001東京都中央区日本橋小伝馬町2-5 F・Kビル
         TEL03-3664-5811 (代) FAX 03-3661-0165  e-mail: info@fuji-keizai.co.jp

 この情報はホームページでもご覧いただけます。
 URL: http://www.group.fuji-keizai.co.jp/
 URL: https://www.fuji-keizai.co.jp/

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