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ニュースリリースのリリースコンテナ第一倉庫

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2024'10.11.Fri
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2007'04.10.Tue

三菱重工、材料利用効率を飛躍的に向上させたインライン成膜装置を開発

有機EL照明実用化に道を拓く
材料利用効率を飛躍的に向上させた成膜装置を開発


 三菱重工業は、照明用の白色有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネルの商業化に大きく道を拓く高効率な大型リニア蒸発源式インライン成膜装置※1を開発した。有機EL照明実用化の障害となっていた材料利用効率を飛躍的に高めることに成功した装置で、実証機による性能検証を本年中に完了、2009年からの商業機投入を目指す。


 有機EL素子は、有機薄膜に電気を通すことで発光する面発光素子。有機膜と電極で構成されるが、その両方を合わせても厚みは数百nm(ナノメートル)と極薄・軽量で、蛍光灯と比較しても数々の優位性※2を持つことから、地球環境にやさしい次世代の照明への活用が期待されている。
 しかし、その期待の大きさにもかかわらず、成膜工程における有機材料の利用効率が極めて低いこと※3や、成膜の速度、パネルの大型化などに課題があり、生産コストの低減に目処が立たないことから、これまでのところ実用化されていない。

 今回開発した大型リニア蒸発源式インライン成膜装置は、これら問題の解決に大きく寄与するもので、具体的には、
   (1)有機材料の利用効率50%以上を実現(ポイントセル型蒸発源※4と比較し格段に向上)
   (2)基板の大型化(実証機は550mm×650mmの基板サイズに対応。将来的にはメートル級を視野に入れる)
   (3)高速成膜を実現し、タクトタイム※5を大幅に短縮(550mm×650mmの基板サイズで、タクト2分)

 などの特徴を有し、量産化に適した画期的な成膜装置となっている。

 当社はこれまで財団法人山形県産業技術振興機構有機エレクトロニクス研究所との共同研究により、リニア蒸発源式インライン真空蒸着装置を試作、実際の発光パネルの性能評価を通しプロセス技術の確立に取り組んできた。今回の高効率成膜装置は、これらの成果を適用し改良を重ね、さらに独自の搬送技術を用いることで開発した。これらの開発に関しては、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受けた。本装置の製作は当社広島製作所が手掛ける。

 生産コストに占める有機材料費を大幅に圧縮し、さらに高速成膜と大型化で生産性を格段に向上させた当社の高効率成膜装置の投入は、これまで実現していなかった有機EL照明の実用化に寄与するものと大いに期待される。
 当社はまた、低電流で高い輝度が得られ、さらに高輝度と長寿命を両立する、有機EL照明に適したマルチフォトン特許※6も保有しており、今後、他社との連携も視野に、照明用有機ELパネルの事業化についても検討していく。

 なお、本装置の概要は、4月11日(水)から13日(金)まで東京ビッグサイトで開催される「第17回フラットパネルディスプレイ研究開発・製造技術展」で紹介する予定。


※1 大型リニア蒸発源=基板に成膜する蒸着材料を直線的な線状のノズルから蒸発させる蒸発源のこと。

※2 有機EL照明は、蛍光灯と比較して、1)将来的には電力効率で上回る、2)省エネルギーによる二酸化炭素(CO2)の削減効果が期待できる、3)水銀を用いないため廃棄時に土壌汚染の心配がない、などの優位性を持つ。

※3 照明用パネルは、ディスプレイ用パネルに比べ、高輝度での発光が求められるため、有機材料の使用量が多く、利用効率は生産コストに大きく影響する。

※4 ポイントセル型蒸発源=基板に成膜する蒸着材料を点状のノズルから蒸発させる蒸発源のこと。

※5 タクトタイム=製品1個あたりの生産速度のこと。稼動時間(労働時間)を生産台数で除した値。

※6 マルチフォトン特許=電荷発生層をはさみ、発光層を直列式に複数積層する技術。山形大学城戸教授、株式会社アイメスおよび当社が共同権者。


以  上

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