SIIナノテク、45nmノード対応の半導体用フォトマスク欠陥修正装置を発売
45nmノード対応のフォトマスク欠陥修正装置 SIR-7を発売
エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社(略称:SIIナノテク、社長:船本宏幸、本社:東京都中央区新富2-15-5 RBM築地ビルTEL:03-6280-0070)は、45nmノードに対応する半導体用フォトマスクの欠陥を修正するフォトマスク欠陥修正装置「SIR-7」を発売しました。この装置は、2005年3月に発売した65nmノード対応のフォトマスク欠陥修正装置「SIR7000」の使い易さを継承しつつ、45nmノードの分解能、精度、低ダメージ化を実現した次世代装置です。また本装置は、株式会社半導体先端テクノロジーズ(略称:Selete)及び、大日本印刷株式会社、凸版印刷株式会社、HOYA株式会社と2006年3月までに行なった共同研究の成果をもとに開発したものです。
フォトマスクは、半導体用回路を形成するためのリソグラフィ工程における原版となるものですが、寸法の微細化にしたがい半導体素子の性能や製造歩留まりを左右する大きな課題となっています。フォトマスクの製造には、大きく次の3つの技術が重要です。まず、ブランクス(一面に遮光層が堆積したマスク基板)にパターンを形成する技術、パターンがデータ通り形成されているかを検査する欠陥検査技術、そして不具合があるパターンを修正する欠陥修正技術です。欠陥修正には、パターンの一部が欠落している個所(白欠陥*1)にカーボンを堆積する修正(白欠陥修正)と、本来光が透過する部分に存在する異物(黒欠陥*1)をエッチング除去する修正(黒欠陥修正)とがあります。フォトマスク欠陥修正装置は、こうした白黒両欠陥を修正することにより、マスクの歩留まりを大幅に向上することができるため、マスク製造の上で重要な技術とされています。45nmノード世代では線幅が狭くなっている上、OPCパターン(*2)も多く使われているため、修正しなければならない欠陥サイズが非常に微小であるだけでなく形状も複雑になってきています。さらにリソグラフィの光源には193nmのArF(*3)が使われるため、修正箇所の光学特性も非常に厳しく、ガラスへのダメージを数nmの単位で減らさなければなりません。
SIR-7は、集束イオンビーム(FIB)を用いて微細な欠陥を修正する装置です。45nmノード世代の微小な黒欠陥や白欠陥のいずれも、4nm(1nmは10億分の1メートル)以下の精度で修正することができる上、ガラスへのダメージを低減し高透過率で修正することができます。
SIIナノテクのFIBによるフォトマスク欠陥修正装置は1985年に世界で初めて販売を開始し、国内外で高いシェアを確保しています。今回のSIR-7も国内外のフォトマスク製造メーカに向けて販売を進めてまいります。
【 SIR-7の主な特長 】
1.修正精度4nm以下(3σ)を実現
修正精度が、従来の7nm(3σ)から、4nm(3σ)へ向上しました。低加速型イオンビーム鏡筒の採用により、高精度かつ低ダメージの修正が可能となりました。
2.CADリンケージ機能による修正
半導体レイアウト設計で用いられるEB(*4)の図形データから欠陥箇所の正常なパターンを抽出し、欠陥箇所と重ね合わせることによって、正常なパターンにできるだけ近い形状で修正することができます。OPCなどの複雑な形状を修正する際に、より忠実な形状で修正することができます。
3.SMIF搬送機構の採用
フォトマスク用SMIF搬送機構を採用しました。SMIF Pod(*5)によって運ばれてきたフォトマスクをクリーン度の高い搬送機構を通じてチャンバー内に搬送することができるため、フォトマスクへのパーティクル(微細なゴミ)の付着を防ぐことができます。
【 価格 】
SIR-7本体 6億円
【 注記 】
*1 白欠陥、黒欠陥
パターンが欠落している透明欠陥を白欠陥、不必要なパターンがついている不透明欠陥を黒欠陥という。
*2 OPCパターン
光近接効果補正(Optical proximity correction)を用いたパターン。露光後の転写パターンが意図したパターンどおりになるように、予めフォトマスク側のパターンに補正を加えておく技術。
*3 ArF
波長193nmのArF(フッ化アルゴン)エキシマレーザ。
*4 EB
Electron Beamの略称。ここでは電子ビーム描画装置をいう。
*5 SMIF Pod
マスクを入れるためのボックス。ボックス内のクリーン度を高く保ち、パーティクル(微細なゴミ)の付着を防ぐために用いられる。
◆お問い合わせ先
エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社
ビーム・テクノロジー海外営業部 MR営業課
TEL:03-6280-0065