SII、仏社と「BiNem技術」使用のメモリー性液晶ディスプレイパネル量産で業務提携
電子ブックなど紙媒体の代替に最適 視認性に優れたメモリー性液晶ディスプレイを年内にも量産
セイコーインスツル株式会社(略称:SII、社長:新保 雅文、本社:千葉県千葉市美浜区中瀬1-8、TEL:043-211-1111)と、仏 Nemoptic社(*1)(社長:Jacques NOELS)は、Nemoptic社の保有する双安定ネマティック技術(BiNem技術)を使用した液晶ディスプレイパネルを量産することで業務提携しました。提携の内容は、Nemoptic社が保有する基本技術に基づき、SIIがその生産技術力で量産を製造受託するというものです。
Nemoptic社のBiNem技術とは、「Bistable Nematic(双安定ネマティック)」に由来し、Nemoptic社が開発したものです。BiNem技術は、メモリー性があることが最大の特徴で、通常の液晶ディスプレイと異なり、一度画面表示をした後は通電を遮断してもその表示が保持されます。また、従来のメモリー性液晶と比較してコントラスト比に優れており、さらに視野角も非常に広く180度どこからでも見ることができますので、電子ブックなど紙媒体を代替する用途に適しています。
携帯電話向けLCDの量産などで培ってきたSIIの高度な生産技術が、わずか1.5ミクロンの液晶層の均一な制御や特殊な液晶配向膜の生成を実現し、量産を可能にしました。
最も有力なアプリケーションのひとつとして考えられるスーパーマーケットなど小売店の電子棚札では、これまでは消費電力の問題でTN方式(*2)を使用しており、バーコードなどの高精細な表示はできませんでしたが、BiNem技術の活用により高精細な表示が可能となり、これらの問題を解決しました。
BiNem技術を使用した液晶ディスプレイパネルは、2007年 第3四半期の出荷開始から同年度中に10万台、2008年度には100万台以上の出荷を目指します。
SIIでは本年初頭にSTNディスプレイ事業部を新設し、ディスプレイの販売対象をこれまでの携帯電話中心の市場から他市場へ拡大する戦略に転じました。今後は、従来の顧客への新たな液晶製品ラインナップの提供やSII社内の他事業部製品への搭載なども検討してゆきます。
(*1)Nemoptic社について
会社名 :Nemoptic S.A.
代表者 :Jacques NOELS
所在地 :1,rue Guynemer,78114 Magny les Hameaux,France
設立 :1999年
事業内容 :e-Paperの開発。試作工場をスウェーデンに有する。
社員数 :約40名
(*2)TN方式 :
単純な液晶分子配列を持つ液晶ディスプレイの方式。技術的に高精細表示が出来ない。
<この件に関するお問い合わせ先>
お客様
セイコーインスツル株式会社
STNディスプレイ事業部 SD開発部 古田
TEL:043-211-1864