沖電気、オペアンプ内蔵のUV(紫外線)センサーIC「ML8511」を商品化
OKI、世界初の薄膜SOIを用いたUVセンサーICを商品化
~オペアンプを内蔵するなど小型化を実現し携帯型の高精度UV測定の実用化に成功~
OKIは、このたびオペアンプ(注1)内蔵のUV(紫外線)センサーIC「ML8511」を商品化しました。SOI(シリコン・オン・インシュレータ)-CMOS(注2)技術を用い、世界に先駆けてアナログ電圧出力・フィルタレスのUVセンサーの開発に成功したものです。携帯型のUV測定器などの用途向けに6月からサンプル出荷を開始します。
健康志向の高まりとともに、アクセサリー用・携帯機器用を中心として、UVセンサー に対する需要が拡大しつつあります。しかし、これまでのUVセンサーICは窒化ガリウムなどの化合物半導体を用いていたため、同一チップ上に周辺回路を搭載することが難しいという課題がありました。また、シリコンを用いたUVセンサーの場合、広い範囲の光に感応してしまうため可視光カットフィルターが必要で、さらに製造のばらつきや感度の低下という課題もありました。
そこで、OKIではモバイル機器に組込み易く高精度なUVセンサーを実現するために、薄膜SOIによるUVセンサーICの研究・開発を続けてきました。今回開発した「ML8511」は、オペアンプを内蔵してアナログの電圧で出力する機能をワンチップで実現するとともに、可視光カットフィルターも不要なため、これまでより低コストで携帯性の高い小型のUV測定器の開発を可能にしました。
また、OKIのUVセンサーICは、高集積化が容易なSOI-CMOS技術を用いているため、デジタル・アナログ回路の搭載にも適しています。今後はこの特長を活かして、マイクロコントローラに接続するためのデジタル出力回路、さらにはアンビエントライトセンサー(注3)とのワンチップ化により商品の品揃えを強化していきます。また、一日のUV量が一目でわかり、その場でUVの危険度を把握できるアクセサリー的な測定器だけでなく、家電機器・携帯機器などの用途に向けても幅広く販売していく計画です。
【主な特長/仕様】
本ICは、UV光量に比例したアナログ電圧を出力します。電圧の出力が可能なため、例えばMCU内蔵のA/Dコンバーターに直結でき、光電流変換用の回路が不要です。また、小型・薄型の表面実装パッケージで携帯機器向け用途に最適です。
・最大感度波長:365nm
・電源電圧:2.7V~3.6V
・消費電流:Typ.300μA(動作時),0.1μA(スタンバイ時)@3.0V
・出力電圧:1.0V(暗室)~2.2V(10mW/cm2@365nm)
・推奨温度範囲:0℃~+70℃
【販売計画】
・サンプル出荷:2007年6月(12ピンQFN:4.0mmx3.0mmx0.7mm)
・サンプル価格:300円(税別)
・量産出荷:2007年12月
・量産規模:50万個/月
【用語解説】
注1:オペアンプ
operational amplifierの略で、日本語は、演算増幅器という。反転と非反転の二つの入力と一つの出力を備えた増幅回路で、二つの入力の入力抵抗が非常に大きく、また増幅器の増幅率(ゲイン)が大きい特徴がある。増幅回路や演算回路、比較器が簡単な素子を加えることで実現できる。
注2:SOI-CMOS
SOI-CMOS技術は、絶縁膜上にCMOSを形成する技術で、従来のシリコン基板の代わりに絶縁膜の埋め込まれたSOI基板を利用する。消費電流が低減するため電流に伴う熱雑音も下がる。さらにトランジスターが絶縁膜で完全分離されており、デジタル部からアナログ部への基板を介したノイズの影響が低減されるため、高集積化にも適している。
注3:アンビエントライトセンサー
周囲の明るさに応じて電流の出力を変化させることができるセンサー。集積化することで電流量を電圧量として出力できるため、A/Dコンバーターに直結できる。
※沖電気工業株式会社は、グローバルに認知される成長企業を目指し、通称を「OKI」とします。
※本文に記載されている会社名、商品名は一般に各社の商標または登録商標です。