野村総研、「ロシア都市型リッチ層インタビュー調査」結果を発表
「ロシア都市型リッチ層インタビュー調査」を実施
~ AV機器は日本メーカーが圧倒的人気、新規需要ピークはここ数年 ~
株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、社長:藤沼彰久、以下「NRI」)は、2007年3月に、ロシアのモスクワ市とサンクト・ペテルブルグ市の一般消費者に対し、インタビュー調査を実施しました。そのうち、「耐久消費財(テレビ、冷蔵庫等)は難なく買える」または「かなり高価な品(マンション、別荘等)を購入できる」と回答した1,500人を「ロシア都市型リッチ層」と定義し、その消費実態について分析した結果を、このほどまとめました。
【都市型リッチ層は若年層ほど裕福】
今回の調査によると、都市型リッチ層は、月世帯総収入が3万~5万ルーブル(1ルーブル=4.5円で計算すると、日本円にして13.5万~22.5万円)近辺が多数を占めています(図1)。勤務先別に見ると個人企業、外資系企業勤務者が比較的裕福で、業種別では不動産、金融(銀行・証券・保険業)などの収入が高いことがわかりました。世代別の月世帯総収入を見ると、20代、30代の若年層のほうが、6万ルーブル以上の世帯の割合が多くなっています(図2)。
さらに、都市型リッチ層に世帯収入の変化について聞いたところ、過去3年間で世帯収入が増加したと感じている人の割合は、モスクワ市で79.2%、サンクト・ペテルブルグ市で86.0%。今後3年間に世帯収入が増加すると予測している人の割合は、モスクワ市で63.9%、サンクト・ペテルブルグ市で70.8%でした。ロシア都市型リッチ層は、収入について右肩上がりの実感を持っていることがわかります。
そのような実感からか、月世帯総収入に対する貯蓄(預貯金、有価証券投資など)の割合が10%未満と回答した人が、モスクワ市で40.3%、サンクト・ペテルブルグ市で47.6%と半数近くを占めています(図3)。
【AV機器、白物家電、自動車は日本メーカーが人気】
都市型リッチ層に、商品分類別にどの生産国のものを購入したいかを聞いたところ、AV機器(TV、音響、DVD)においては、日本メーカーの人気がモスクワで63.1%、サンクト・ペテルブルグ市で55.0%と、圧倒的に高いことがわかりました。白物家電、自動車(新品、中古ともに)についても、日本メーカーはドイツのメーカーに次いで20%前後の支持を集める人気がありました(図4)。
さらに、今後1年以内での購入希望商品を聞き、月世帯総収入別および年齢別にトップ10を集計しました(図5)。この結果に現在の商品保有状況を踏まえると、都市型リッチ層において、液晶テレビやノートPC、プリンターなどの商品はここ数年間が新規購入需要のピークと見られることがわかりました。一方、デジタルカメラや自動車はすでに保有者の数が多く、今後は買い替え需要が中心になると考えられます。都市型リッチ層は今後も増加することが予測されますが、同時に成熟化する市場も増えていきますので、日本メーカーがロシアの大都市部で新規需要を狙えるのはここ数年が勝負といえるでしょう。
NRIでは今後も、ロシアの産業動向および消費者市場動向を追い、ロシアに進出する日本企業の支援に役立てていきます。