日本TI、浮動小数点ベースのデジタル・シグナル・コントローラを発表
日本TI、業界初の浮動小数点ベースの
デジタル・シグナル・コントローラ(DSC)を発表
ソーラーパネルほか産業用アプリケーション向けに、
既存DSCより50%のパフォーマンス増加を実現
日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、DSPの新製品『TMS320F2833x』(以下、F2833x)を発表しました。新製品は業界初の浮動小数点ベースのデジタル・シグナル・コントローラ(DSC)です。
『F2833x』は150MHz動作で300メガフロップス(MFLOPS)と高い処理性能を発揮し、固定小数点プロセッサ並みの低コストと浮動小数点プロセッサならではの開発しやすさを両立させました。主なアプリケーション(用途)としては、太陽電池パネル向けソーラーパワーインバータ、可変式のACドライブや急速な制御ループを要求するレーダー機器やアドバンスド・センシング等のアプリケーションです。
新製品『F2833x』浮動小数点コントローラについての詳細は http://www.tij.co.jp/f2833x (日本語)から参照できます。
■モーター・コントロールや新エネルギー源などの、高効率・高性能の要求に対応
欧州太陽光発電工業会(EPIA)によると、太陽光発電の供給能力は2005年から2010年にかけて397パーセント成長し、5,550メガワットになると見込まれています。既に世界トップのソーラー・インバータメーカの多くがTIのデジタル・シグナル・コントローラを採用しており、最大電力点追尾(MPPT)アルゴリズムやダイナミック・アルゴリズムの調整により、曇りや日照不足などのあらゆる負荷に対してもシステムのピーク効率を最大化させています。『F2833x』コントローラはこれらMPPTアルゴリズムやダイナミック調整アルゴリズムを最大限に行えるように、十分な処理性能を持っております。さらに、データロギング、電力線通信(PLC)などの各種機能も統合できる処理能力上の余裕を備えています。
新製品『F2833x』浮動小数点コントローラの高集積度と優れた処理性能により、ロボット関連機器やAC誘導モーターを使うコンピュータ数値制御(CNC)機器において、制御レベルの向上とダイナミック・レンジの拡大を実現できます。またシステム設計者は、ACサーボモーターを扱う際、より小型でエネルギー効率の良いモーターを特定できます。IMSリサーチ社によると、ACサーボモーターはAC誘導モーターとともに、工業用駆動装置市場において年間およそ8パーセントの成長(売上げベース)を遂げています。また、IMSリサーチ社はAC誘導モーターで使われる駆動装置分野は、モーターの稼動に伴うエネルギーコストを大幅に抑えることができるため、大きく成長しているという見解を述べています。サーボドライブの需要増は、短い生産サイクルを要求するマシンツール、パッケージング関連機器、半導体製造機器などの精密機器の成長と大きく関係していています。これらのアプリケーションでは、メカニカルなシステムよりもサーボシステムの割合の方が増えています。
■現行比で平均50パーセントの性能向上
新製品の『F2833x』浮動小数点コントローラはTIのこれまでのデジタル・シグナル・コントローラと比較し、同じ150MHzの動作速度でありながら、性能は平均で50パーセント向上します。複雑な演算に使う高速フーリエ変換 (FFT)などのいくつかのアルゴリズムでは、同じ32ビットの固定小数点を搭載した場合と比べて、性能が200パーセント向上します。また6チャネルのDMA(ダイナミック・メモリ・アクセス)コントローラにより、システム全体の帯域幅を広げ、超高速オンチップADコンバータ、16/32ビット外部メモリ・インターフェイス、高速シリアルポートに関するデータ転送から、CPUリソースを解放します。
■ソフトウェア開発はよりシンプルに
通常、ソフトウェアの開発者は、浮動小数点の環境下でアルゴリズムを作成・検証し、その後でコードを固定小数点デバイスで動作できるよう変換します。しかし、『F2833x』は浮動小数点コントローラを搭載していますので、開発者は固定小数点DSPへの実装に必要なスケーリング、サチュレーション、数値分解能の調整などに要する時間を、週単位や月単位で短縮することができます。
■各種機能を高集積、シングルチップ制御
『F2833x』コントローラ全製品は、シングルチップ制御のアプリケーション向けに、信号入力から高分解能の制御の出力までをカバーする数々の機能を高集積しています。オンチップ12ビット、16チャネルのADコンバータは、オンチップのADコンバータ動作としては、業界に他のどのデジタル・シグナル・コントローラにも類を見ない、最速で1秒当たり12.5メガサンプルで動作します。『F2833x』コントローラシリーズは、最大18チャネルのパルス幅変調(PWM)を持ち、うち6チャネルは150ピコ秒分解能というTI独自の高分解能PWM(HRPWM)テクノロジーを搭載しています。通信インターフェイスとしてはCAN、I2C、UART、SPI、およびTIのマルチチャネル・バッファ・シリアルポート(McBSP)を内蔵しています。
※以下、詳細は添付資料をご参照下さい。
<読者向けお問い合わせ先>
日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
プロダクト・インフォメーション・センター(PIC)
URL: http://www.tij.co.jp/pic/
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