味の素、10月1日付けで株式交換によりカルピスを完全子会社化
味の素株式会社の株式交換による
カルピス株式会社の完全子会社化に関するお知らせ
味の素株式会社(以下「味の素(株)」といい、味の素(株)の子会社・関連会社をあわせて「味の素グループ」といいます。)とカルピス株式会社(以下「カルピス(株)」といいます。)は、本日開催されたそれぞれの取締役会において、平成19年10月1日を期して、下記の通り株式交換(以下「本株式交換」といいます。)によりカルピス(株)を味の素(株)の完全子会社とすることを決定し、株式交換契約を締結いたしましたので、お知らせいたします。
記
1.株式交換による完全子会社化の背景と目的
近年両社の属する食品業界を取り巻く経営環境は大きく変化しております。国内においては、少子高齢化社会到来に伴い、消費者の健康意識の高まりおよび嗜好の多様化、食品市場の成熟化により、消費者の視点に立った、付加価値の高い商品提供の必要性がますます高まってまいりました。また、海外においては食品企業のグローバルな再編が進み、大型食品企業が日本、アジア、中国市場でそれぞれの強みを生かした事業を展開するなど、従来にも増して企業の総合力が問われております。
こうした環境の下、味の素(株)は「“食”と“健康”、そして明日のよりよい生活に貢献する」を方針として、食品事業を日本および海外市場において展開していることに加え、アミノ酸の製造・販売における世界のリーディングカンパニーとして、アミノ酸事業、医薬品事業およびそれらの機能を活用した医療食事業や健康機能性食品事業等へ事業領域を拡大しております。味の素グループにおける飲料事業については、従前よりカルピス(株)との提携関係を基本として事業展開を行ってまいりましたが、健康価値を持つ飲料市場が成長していること、ならびにアジア市場等での飲料事業拡大の可能性を踏まえ、カルピス(株)の完全子会社化により経営の一体化、経営資源の効率的運用を行うことで、お客様により価値の高い製品を提供することが可能になると判断いたしました。味の素グループの中長期経営計画「A-dvance 10」においては、健康事業を成長の柱の一つに掲げておりますが、カルピス(株)が持つ健康イメージのあるブランド、飲料事業基盤および乳酸菌・微生物活用技術は、味の素グループの健康事業の拡大に資すると考えております。
一方、カルピス(株)は、消費者より長く親しまれてきた日本初の乳酸菌飲料「カルピス」に代表されるカルピス酸乳を基軸とした事業展開を行い、そのブランドは健康イメージがあり広く社会に受け容れられ、これまで順調に業容を拡大してまいりました。近年は乳酸菌・微生物活用技術をベースとした高付加価値健康機能性飲料・食品事業にも取り組み、いち早く特定保健用食品を市場に定着させ、さらにその微生物活用技術は、欧米で高く評価されております。カルピス(株)は3ヵ年中期経営計画(2005年-2007年)にて、「乳性飲料」と「健康機能性飲料・食品」のグローバル展開による付加価値型企業の実現を目標に、企業価値の向上を目指しております。こうした中、カルピス(株)は、味の素(株)との資本関係強化によって、味の素(株)の事業基盤をこれまで以上に活用することが可能になり、カルピス(株)のさらなる成長に資すると判断いたしました。
味の素(株)とカルピス(株)は、1990年に味の素(株)がカルピス(株)の筆頭株主となって以来、良好な業務提携関係を維持してまいりました。両社は飲料事業の統合、味の素(株)による総発売元機能の提供以外にも、タイ、インドネシアでの飲料分野での合弁事業等を推進しており、昨年からは“健康”を軸にした「乳酸菌×アミノ酸」の新たなプロジェクトをスタートさせております。
このような両社の長年の信頼関係を背景として、本株式交換により、近年の急速な市場環境の変化に対応し、両社で長期ビジョン・戦略の共有化を行い経営の意思決定をスピードアップするとともに、効果的に両社の経営資源を戦略分野に投入していくことが可能になります。さらに両社は、アミノ酸・乳酸菌等微生物活用技術および両社が有するその他経営資源を共有・活用していくことで健康価値のある製品・サービスの提供を拡大、加速してまいります。また、広く海外への展開も視野に入れることで、お客様の“食”と“健康”に貢献する企業グループを目指してまいります。
カルピス(株)の完全子会社化により、両社は以下のようなシナジーを想定しております。
(1)健康機能性飲料・食品分野での協業
カルピス(株)の乳酸菌・微生物活用技術と、味の素(株)のアミノ酸技術およびその他の健康素材を活用し、新たな健康食品、健康飲料の製品開発を行うとともに、カルピス(株)の健康飲料事業の強化を図る。
(2)海外事業での協業
味の素(株)が保有する事業基盤を活用し、アジア諸国を中心にカルピス(株)の海外飲料事業、健康飲料事業、微生物活用事業の早期拡大を図る。
(3)研究開発
カルピス(株)の得意とする乳酸菌発酵技術および有用物質を利用した研究に対し、味の素(株)の得意とするアミノ酸に関する技術、健康素材の探索・評価技術を活用し新素材、新規技術の確立を目指す。
(4)カルピスブランドの活用
カルピスブランドの健康イメージおよび乳幼児、子供、若年層への高いブランド浸透を踏まえ、飲料のみならず食品分野へのブランドの拡大を図る。
(5)カルピス(株)既存事業の強化
カルピス(株)の経営資源に味の素(株)の経営資源を加えることにより、カルピス(株)の既存事業の強化を図る。
(6)統合による共通経費削減
両社の営業経費、物流経費、調達コスト、管理部門コスト等の見直しを行い、最適なコスト体制を確立する。
これらのシナジーの早期実現に向け、味の素(株)およびカルピス(株)それぞれの取締役および幹部職員若干名によるシナジー検討委員会を発足し、迅速かつ効率的なシナジー実現への体制作りを個別具体的に検討してまいります。
本株式交換により、カルピス(株)は味の素(株)の完全子会社となりますが、カルピス(株)は独立の株式会社として存続し、味の素グループの国内外の飲料事業の中核企業として位置づけられ、当面は現経営陣による経営体制を維持してまいります。また、味の素(株)はカルピス(株)のさらなる発展を目指し、これまでカルピス(株)が築き上げてきた歴史・伝統・ブランド価値、および従業員の誇りを尊重し、最大限のサポートを提供してまいります。
本株式交換により、カルピス(株)は効力発生日である平成19年10月1日をもって味の素(株)の完全子会社となり、これに先立ちカルピス(株)株式は取引所の規制により平成19年9月25日に上場廃止となる予定です。
*以下、詳細は添付資料をご参照ください。