第一化学薬品など3社、DNAチップの体外診断用医薬品の製造販売承認を申請
ヒトパピローマウイルス型判別用DNAチップの薬事申請について
診断精度の高い医療用DNAチップを開発
第一化学薬品株式会社(以下、第一化学薬品)は、株式会社東芝(以下、東芝)と東芝ホクト電子株式会社(以下、東芝ホクト電子)と共同で開発を進めてきたヒトパピローマウイルス*(以下、HPV)を型判別するDNAチップの体外診断用医薬品の製造販売承認申請(以下、薬事申請)を行いました。
製造を担当する東芝ホクト電子では、2007年2月に医薬品製造業許可を受け、既に量産ラインの整備を完了しています。これにより、本薬事申請が承認され次第、国内初となるHPVを型判別する体外診断用DNAチップが製品化されます。
ヒトパピローマウイルスの持続感染を原因とする子宮頸癌は、早期に発見できれば完治する疾患です。そのため製薬会社では予防・治療のためのワクチンの開発・臨床治験を積極的に進めており、子宮頸癌の早期診断、効果的治療及びワクチン接種の効果を最大限に発揮させるためにウイルス型判別のニーズが高まっています。このニーズに応えるため、東芝、第一化学薬品、東芝ホクト電子は、HPVを型判別するDNAチップの製品化を進めてきました。
今後、3社は、HPV型判別用DNAチップに引き続き、感染症、癌及び薬剤の効用や副作用の遺伝子診断を対象とした体外診断用DNAチップの実用化を進めていきます。
* ヒトパピローマウイルス(Human Papilloma Virus)
子宮頸癌の原因となるウイルスで、発癌との関連性が高い13のウイルス型が知られている。
■ 判別用DNAチップについて
DNAチップとは、ガラスやシリコンの基板上に、複数種の一本鎖のDNA分子を固定したもので、試料中の一本鎖化したDNAと結合するか否かを調べることで、試料中に目的のDNAが存在するかどうかを調べることができます。現在市販されているDNAチップの殆どは、レーザを照射し蛍光を測定する蛍光検出方式を採用しており、装置が大型で、チップも検査システムも高価格であるために、研究用途以外への普及を妨げる原因となっていました。
東芝が開発した電流検出方式は、検出に光学系を必要としないため、検出部の装置構成がきわめて簡素になり小型化が容易です。操作が簡単で、検査精度が高く、測定が迅速な上、病院への導入コストが安く、1回あたりの診断費用を低く抑えられるなどの利点があります。
■ 開発の経緯
東芝と第一化学薬品は、2004年1月から東芝の開発した電流検出型DNAチップと第一化学薬品の持つ体外診断薬のノウハウを組み合わせ、医療用DNAチップの製品化に向けて準備を進めてきました。2006年7月に、DNAチップを用いた体外診断薬の共同開発および事業化を行うことに合意し、DNAチップ及び測定装置の製造を担当する東芝ホクト電子も加えた3社で「DNAチップ共同開発及び事業化に関する基本合意契約」を締結しました。
この共同開発契約の下、子宮頸癌の原因であるヒトパピローマウイルス(以下、HPV)を型判別する体外診断用DNAチップを開発しました。その後、2007年に医療機関と共同で行った臨床治験が終了したことを受け、このたび、第一化学薬品より体外診断用医薬品の薬事申請を行いました。
■ 各社の概要
* 関連資料 参照