日本電波工業、小型SMD水晶振動子で低い周波数の商品化に成功
“小型タイプの低周波(4MHz)水晶振動子を実現“
…「厚みすべり振動モード」で業界初…
当社は、小型SMD水晶振動子「NX8045シリーズ」(8.0mmX4.5mmX1.8mmサイズ)で、「厚みすべり振動モード(AT-カット)」でありながら、発振周波数が4MHzと極めて低い周波数の商品化に成功いたしましたので、お知らせいたします。
優れた電気的特性を持つ「厚みすべり振動モード」で小型・低周波を実現することは非常に困難とされ実現できていませんでした。
当社の長年培ってきた水晶振動子の小型化設計技術とそれを実現する独自の生産技術によって厚みすべり振動モードの優れた電気的特性を引き出し、その特性を損なうことなく商品化することに成功いたしました。
この商品化により、小型SMD水晶振動子NX8045GBシリーズは、4MHzから40MHzまでの周波数帯域を厚みすべり振動の基本波振動でくまなくカバーすることが可能になりました。
<概要>
小型化の進む電子部品の中で水晶振動子の小型化は著しく進んでおり、今や1.6mmX1.2mmサイズの量産に至っている。しかし、小型のパッケージで低い周波数を実現することは非常に困難であったため、マイクロコンピューター等で使用される基本クロック周波数4MHzから6MHzの周波数領域は、NX1255GB、AT-51やAT-41などの中型サイズの既存製品(写真)で膨大な需要に対応してきた。今後も需要が減少することが無いこの周波数帯域を“小型化していく”ことがお客様の潜在的な要望であるとの認識からこの周波数領域を小型化することに取り組んできた。
その結果、小型SMD水晶振動子「NX8045GB」において4MHzまでの低周波数水晶振動子の商品化を成功させることができた。
<開発コンセプト>
近年の電子機器製品が目指している要求の一つに軽薄短小と省電力化がある。電気的特性や耐環境特性などは従来と同等以上の性能であることが前提となっている。
一方パッケージの小型化に伴い、内封できる水晶片が小さくなるため、低い周波数を実現することが困難であった。このため、高周波化して小型化することが一般的であった。しかし、高周波数化すると回路の消費電力が増加してしまう弊害があり、小型化と省電力化が両立できない問題があった。“低周波数帯域”を小型化することによりはじめて相反する小型化と省電力化の要求を両立させることができる。
低周波数化を実現するには“厚みすべり振動モード”以外の振動モードで実現する方法もあるが、温度特性にすぐれ、信頼性も確立されている既存の電気的特性・価格帯を実現できる“厚みすべり振動モード”で開発することを目標にした。
特に、本製品は信頼性も確立されていることから、カーエレクトロニクス機器にも最適である。
平成18年9月よりサンプル出荷を開始(サンプル価格 @100円程度を予定)、量産開始は平成19年1月を予定している。
<製品の特徴・仕様概要>
1)当社従来品である水晶振動子NX1255GB(11.8*5.5*2.5mm)と比べ底面積比で55%減、容積比で40%の小型化を実現することが可能となっている。
2)電気的特性仕様;
・製品名;NX8045GB
・周波数;4MHz
(他の周波数は4MHzから40MHzの範囲で対応可能です。)
・常温偏差;±30ppm
・等価抵抗;180ΩMax
・周波数温度特性;±30ppm(-10から70℃)
以上
●添付写真:水晶振動子(左から新製品のNX8045GB,既存のNX1255GB,AT-41 AT-51)