日産自、ITSで交通事故低減や渋滞緩和をめざす「SKYプロジェクト」の実証実験を開始
日産自動車、ITSを活用して交通事故低減や渋滞緩和を目指す
「SKYプロジェクト(スカイプロジェクト)」の実証実験を神奈川県にて開始
日産自動車(本社:東京都中央区銀座 社長:カルロス ゴーン)は、2005年6月に発表したITS(*1)を活用し、交通事故の低減や渋滞緩和を目指す「SKYプロジェクト(*2)」の実証実験を神奈川県において06年10月より開始する。
今回の実験の大きな特長は、一般のお客さまが参加し、日常の使用過程でシステムの受容性を評価することである。実験に参加する一般のお客さまは、カーウイングス会員を対象に06年9月より募集を開始し、1万人規模の参加を見込んでいる。
SKYプロジェクトは、道路上にある通信設備などのインフラとクルマとの間で連携を行い、周辺車両の状況や自車を取り巻く交通環境の情報を利用して、クルマ単独では対応が難しい「見えにくい相手(交差点出合頭や歩行者など)」に対する交通事故の低減を目指している。また、プローブ情報(*3)を活用して交通渋滞の緩和を推進する。今回の実証実験は、持続的な普及を目指して、インフラは既存の光ビーコンを利用し、クルマは装着されているナビゲーション(*4)のソフトを変更するのみというシステム構成で実施する。具体的な取り組みは以下の3つである。
出合頭事故低減を目的とした情報提供システム:
見えにくい位置にいるクルマの存在情報(左図)や、信号機・一時停止標識の情報を、音声とナビ画面でドライバーへ報知する。
速度超過時情報提供システム:
スクールゾーン等で制限速度を超過して走行しているとき、音声とナビ画面でドライバーへ報知し、走行速度の抑制を促す。
プローブ情報を活用した動的経路誘導システム:
カーウイングス会員の車両、及びタクシー(*5)のプローブ情報を収集し、より精度の高い交通情報へ加工する。これを利用して、従来と比較してさらに精度を高めた目的地までの最速ルートを提供し、交通渋滞の緩和を促進する。
また、日産が収集・加工した交通情報は、県下の渋滞緩和に貢献することを目的に、交通管制へ活用されるよう神奈川県警察本部へ提供する。
本実験は株式会社NTTドコモ、松下電器産業株式会社、株式会社 ザナヴィ・インフォマティクスとともに実施する。また、一般道のインフラを活用する通信技術の開発は、警察庁、神奈川県警察本部、及び社団法人新交通管理システム協会(UTMS協会)の協力を得て進めていく。
日産自動車は、神奈川県で効果を検証して成功事例を築き、これを日本全国、そして世界へと広げていきたいと考えている。
(*1)Intelligent Transportation Systems: 人、道路、車両を情報でつなぐ高度道路交通システム
(*2)SKYプロジェクト: SKY(スカイ)は、Start ITS from Kanagawa, Yokohamaの略
(*3)無線通信技術を用いて得られる車両の位置、速度などの情報
(*4)ティーダ以降の新型車で採用のメーカーオプションナビゲーション
(*5)タクシー会社が配車システム用として独自に収集しているタクシーのプローブ情報をNTTドコモが収集、併せて、カーウィングス会員である個人タクシーのプローブ情報を日産が収集する。これら全ての情報を日産のプローブサーバーに集め、交通情報へ加工する。
以 上