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ニュースリリースのリリースコンテナ第一倉庫

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2025'03.01.Sat
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2007'03.28.Wed

三井住友建設、地震による石油タンクの液面揺動を抑制する制震装置を開発

制震装置で石油タンクのスロッシングを抑制
模型タンクと実大タンクで効果確認
長周期地震動に効果大


 三井住友建設(株)(東京都新宿区西新宿7-5-25 社長 五十嵐久也)は、このたび地震による石油タンクの液面揺動(以下、スロッシング)を抑制する制震装置「フローティングネット」を開発しました。石油タンクの内部に設置することでタンクの耐震性を向上させます。長周期地震動等による液面の揺れ防止対策(波高低減対策)として、既設および新設のタンクに適用することを提案していきます。


<背 景>
 2003年9月26日に発生した十勝地震では、苫小牧を中心に数多くの石油タンクの浮き屋根が大きな損傷を受け、結果として全面火災となった事例が見られました。これらの被害要因としては、地震の揺れに伴う内溶液のスロッシングやスロッシングを引き起こす数秒から数十秒のやや長周期の地震動が関係していると考えられています。長周期地震動の卓越周期がタンクのスロッシング周期に一致すると、液面の波高は共振現象により次第に高くなり、液の漏洩や浮き屋根の損傷を引き起こす大波へと成長することになります。石油タンクの損傷対策は、同種事例の再発防止の観点だけでなく都市防災上の観点からも近年重要な課題となってきています。

<タンクの構造>
 一般の石油タンクは、おおまかに(1)浮き屋根式、(2)内部浮き屋根をもつ固定屋根式、(3)内部屋根をもたない固定屋根式の3つに分類できます。石油タンクの中でも(1)は大型、(2)(3)は小型のタンクに用いられる型式で、揮発性が高い油種には(2)が、揮発性が高くない油種には(3)が用いられます。また、(1)にはダブルデッキ型とシングルデッキ型の2種類があります。ダブルデッキ型は上下2枚の鋼板で屋根全面を浮き室にしたものであり、シングルデッキ型は1枚の鋼板の円周上などに浮き室を設けたものです。

<フローティングネット概要>
 今回開発したフローティングネットは、フロート材と減衰材で構成されており、石油タンクの内部に設置されます(図A・図B:内部に浮き屋根がある場合は浮き屋根の下に設置されます)。フロート材の材質は、石油タンク内での火花発生防止の観点からアルミニウム合金としています。フロート材は、アルミニウム合金製のパイプ材を組み合わせたものであり、液体からの浮力によって浮遊しています。減衰材はフロート材に吊された枠材にネットを取り付けたもので、液体が網の目を通過するときの抵抗を減衰要素として利用しています。また、フローティングネットには浮き屋根とフロート材の接触による損傷を防止する技術やタンクの側壁への衝撃力を緩和する技術も取り入れています。構成部材が少ないため製作コストを削減することが可能であり、安価でありながら地震時の損傷発生を長期間にわたって防止することができます。

<フローティングネットの施工方法>
 浮き屋根のある既存の石油タンクにおいては、浮き屋根を撤去することなしに改修工事を行うことが可能です。フローティングネットの構成部材は軽く、小さく分割可能な構造としているため、石油タンク側壁のマンホールから容易に搬入することができます。施工手順は3工程((1)液体を排出して浮き屋根を下降させタンク底板と浮き屋根との間に作業空間を構築(2)分割された構成部材を側壁マンホールから搬入(3)構成部材を作業空間内で組立)と少なく短期間で施工可能です。


<実験による効果確認>
(1)模型実験
 フローティングネットのスロッシング抑制効果を確認するため、弊社技術研究所の振動台を使い模型タンクでの振動実験を行いました。振動台の上に直径約3メートルの模型タンクをセットし、大型油圧ジャッキを用いて振動を与えました。タンクのスロッシングを最も引き起こす振動(共振時)を与えた結果、波高を最大で約1/8に低減できることを実証しました。また、2003年十勝沖地震において苫小牧で発生した地震と同様の波を模型タンクに与えた結果、地震による後揺れ抑制効果が大きいことがわかりました。

(2)実大実験
 民間石油会社の協力のもと、内部浮き屋根をもつ固定屋根式タンク(直径15m、1,500kL程度)にフローティングネットを設置し加振実験を行いました。波の励起は人力または空気圧シリンダーにより内部浮き屋根を直接加振することとしました。その結果、小振幅(波高200mm程度)の波においてもフローティングネットを設置しない場合(浮屋根のみ)に対して約2倍の減衰効果があったことを確認しました。また、フローティングネットの設置工期は1日と非常に短く、施工性および実用性の高さを確認することができました。


<共同開発体制>
 フローティングネットはアルミニウム合金にて構成されているため、株式会社住軽日軽エンジニアリング殿のご協力により製作を行いました。また、特殊な解析技術を要するスロッシング挙動解析や浮き屋根の応力解析にあたっては、神戸大学大学院中山昭彦教授のご指導を得て解析手法および解析プログラムの開発を行いました。

<今後の展開>
 今後は、これまでの実験解析結果を詳細に検討し、設計法の確立や細部の検討など実用化に向けて技術力の向上に努める一方で、一般に広く適用可能な技術となるよう展開していく方針です。

*添付資料あり。

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