日立金属、デジタル信号を出力する極小の3軸加速度センサーを開発
世界最小のデジタル出力3軸加速度センサーを開発
日立金属株式会社(本社:東京都港区、社長:持田農夫男、以下日立金属)は、デジタル信号を出力する世界最小(2.9x2.9x0.92mm)の3軸加速度センサーを開発しました。
記
1.背 景
3軸加速度センサー※1は、デジタルビデオカメラやノート型パソコンなどのハードディスクドライブ搭載機器の落下検出、音楽プレイヤー、携帯電話、カーナビゲーションや自動車運行管理システムなどにおける加速度検出、ATMなどのセキュリティシステムの衝撃異常検出など、幅広い分野において用途、市場が急激に拡大しています。
日立金属は、MEMS※2技術や精密組立技術など独自の技術開発により、高性能で小型の3軸加速度センサーで常に業界をリードしてきました。当社は、温度変化による感度などの特性変化も自動的に補正するなど、センサー自体を高精度化してまいりました。これによりお客様の基板実装後に特性を補正する手間を排除し、お客様の効率向上にも寄与できるという評価をいち早く得ております。このような特性及び機能面での使い勝手の良さが多方面から認められ、当社製品の採用が拡がってきております。
2.開発の概要
このような状況の中でお客様からは、デジタル信号を出力でき、かつ3×3mmをきる超小型のセンサーの要求が新たに高まってきました。日立金属では、これに応えるため、独自の素子設計技術、回路設計技術、実装技術を駆使し、当社従来品(型式H34CD、3.4×3.7×0.92mm、2006年4月3日発表)よりも更に小型のデジタル出力3軸加速度センサー(型式H30CD)を世界に先駆けて開発いたしました。
この新製品は、当社従来品のセンサー特性と高度な落下判定機能を装備したまま超小型化を実現したものです。これにより、小型機器への搭載が一層容易となり、さらに幅広い分野への適用が見込まれます。
3.特長
(1)デジタル出力かつ世界最小の超小型・薄型サイズ(下記仕様参照)
(2)低消費電力(下記仕様参照)
(3)センサー自身で誤検出信号を補正する自己完結型の落下検知機能
(4)温度センサー内蔵により特性変化を自動的に補正
(5)事前設定した加速度を検知し、信号を出力する機能
4.概略仕様
項 目 新規開発品(型式H30CD)
定格加速度 ±2g/±4gより選択(1g=9.8m/s2)
事前設定可能な加速度 フルスケール2gの場合:1.25/1.5/1.75g
フルスケール4gの場合:2.5/3.0/3.5g
電源電圧 アナログ部:2.2~3.6V
デジタルインターフェース部:1.7~3.6V
消費電流 電源電圧3V時0.35mA、待機電流1μA以下
出力ビット数 12ビット
インターフェース I2C※3
動作温度範囲 -35℃~+85℃
耐衝撃性 5,000g以上
パッケージ寸法 2.9×2.9×0.92mm
5.用 途
(1)携帯電話、AV機器、パソコンなどの携帯機器
(2)ITS関係(カーナビゲーションシステム、自動車運行管理など)
(3)ATMなどのセキュリティシステム
(4)医療・健康機器・運動技能測定
(5)ゲーム機器など
6.サンプル出荷予定時期
2006年10月より
7.日立金属の3軸加速度センサー全体の販売計画
【2006年度】 20億円/年
【2007年度】 40億円/年
【2008年度】 70億円/年
以 上
【 お客様からのお問い合わせ 】
情報部品カンパニー営業部 TEL03-5765-4206
ご参考
【 用語解説 】
※1:3軸加速度センサー
3次元方向の加速度を検出するセンサーです。
シリコン半導体の応力に比例して抵抗率が変わるピエゾ抵抗効果を利用し、3次元の加速度・傾きを3軸(X,Y,Z軸)成分に分けて検出します。
※2MEMS(microelectromechanicalsystem=微小電子機械システムのこと)
シリコンウエーハ基板上にμmオーダーの電子・機械構造を3次元的に作り込む技術および製造した部品の総称です。
※3I2C
Inter Integrated Circuitの略語で、主に同一基板内などの近距離に配置されたデバイス間で、高速通信を行うための方式です。