JFEスチールとJFE精密、安価で加工性が格段に優れた銅系複合材を開発
「銅-クロム複合材 ~ ヒートシンク(注1)」の開発
-加工性を改善した安価な新材料の開発に成功-
JFEスチール(本社・東京都千代田区、社長・馬田一)とJFE精密(本社・新潟市、社長・秋田真次)は、両社の有する要素技術を組み合わせることにより、新たな銅系複合材(注2)の開発に成功しました。既存の銅系複合材の原料(モリブデン、タングステン等)高騰下、安価で加工性が格段に優れた新材料です。JFE精密での、06年中の放熱部品としての製品化を目指しています。
開発した複合材は、JFE精密が有する粉末冶金技術とJFEスチールが有する総合材料技術を応用したもので、熱伝導性に優れる銅と、熱膨張率の小さいクロムを特殊な方法で複合させることにより、高い熱伝導性と低い熱膨張率を両立したものです。成分の適正化に加え、独自に開発した特殊な熱処理および圧延を含む製造プロセスを採用することにより、成分比から予測される理論値を大きく下回る、低レベルの熱膨張率を実現しました。既存の銅系複合材料に比べ加工性が格段に優れるという特長を有し、冷間での圧延、プレス成型・打抜き等により種々の形状への加工が可能です。優れた放熱性と低い熱膨張率を生かし、各種のヒートシンクなどの機能性電子部品としての利用を働きかけてまいります。
開発材の性能は、熱伝導率:150~240W/mK、熱膨張率:8~12×10-6K-1です。また、圧延工程により製造されるため、板厚レンジは0.1~3.0mmと広く、極薄長尺材の提供も可能です。
(注1) ヒートシンク
放熱板ともいいます。半導体や基板と接合する場合には、低熱膨張率と高熱伝導性の両立が求められ、現在Cu-W、Cu-Moなどが使用されています。
(注2) 銅系複合材:
銅を含有した複合材料。CuとCrは互いに溶け合った状態のままでの凝固はしませんが、特殊な手法により両者を結合させ、複合化することに成功しました。従来は、Cu-W、Cu-Moといった銅系複合材料が知られています。
以上