富士通、高度な「すりあわせ設計」を実現する3次元CADソフト「SolidMX V2.2」を発売
3次元CADソフトウェア「SolidMX V2.2」販売開始
~先進の設計変更機能と流用設計支援機能を装備~
当社はこのほど、日本発の3次元CADソフトウェア「SolidMX(ソリッドエムエックス)」の最新版V2.2を8月31日より販売開始します。
今回のバージョンアップでは、フィーチャーベースパラメトリック手法(注1)とダイレクトモデリング手法(注2)の混在設計を可能にすることにより、設計変更時のより柔軟な編集が可能となり高度な「すりあわせ設計(注3)」を実現します。さらに、過去の設計データの流用・活用を効率化する高速形状検索機能や、モデリング時間の削減を図る3次元JIS標準部品ライブラリの提供など、流用設計における効率化を中心とした機能強化により、開発期間の短縮やコストダウンに貢献します。
近年、製造業においては、企業競争力強化を図る上で、製品開発期間の短期化や多品種少量生産への対応が求められています。そのためには、過去の履歴から最適な設計データを探し出し再利用することで、部品の設計モデルの流用化率を向上することが大変有効です。しかし、これまでは、変更したい箇所に流用できる過去の設計データを探し出すのに膨大な手間と時間がかかるだけでなく、流用ができそうな設計データを見つけ出しても、意図通りの細かい変更が困難なため、結局つくり直すケースが多々ありました。
「SolidMX V2.2」では、モデル上で面や線をマウスで操作することによって形状を直感的に編集するダイレクトモデリング手法を用いても、編集部位以外のパラメーターやフィーチャーなどの設計履歴を残すことを可能にした「DM on FBPモデリング機能(Direct Modeling on Feature based Parametric Modeling)」を提供します。これにより、ダイレクトモデリング手法を使用した後も、寸法や配置条件などのパラメーターを設定して 形状を定義するフィーチャーベースパラメトリック手法を他の部位に用いることができ、設計変更時のより柔軟な編集を実現します。
<<DM on FBPモデリング機能のイメージ>>
※添付資料参照
さらに、今回のバージョンアップでは、データベースに登録してある3次元のモデルの中から、指定した3次元形状と同一あるいは類似した形状を含むモデルを高速に検索できる機能を追加しました。また、3次元JIS標準部品をこれまでの2次元部品ライブラリに追加し、部品のモデリング時間削減に貢献します。
なお「SolidMX V2.2」は、別売りの「SolidMXシンクライアント」を利用することで、シンクライアント型運用(注4)、および当社データセンターを利用したCADオンデマンド・アウトソーシング・サービス(注5)にも対応します。
また、本製品の提供とあわせて、3次元モデルを図面化するツールとして、業界標準のParasolidフォーマット(注6)を読み込んで図面化する「SolidMX図面化モジュール」の販売を開始します。これにより、SolidMX以外の3次元CADで作成した3次元モデルをParasolid経由でSolidMXに取り込み、SolidMXの高度な図面化機能および製図機能を利用して、下流工程で必要とされる図面を簡単な操作で作成することができます。
販売価格、および出荷時期
製品名 販売価格(税別) 出荷時期
SolidMX V2.2 119万円 8月31日
SolidMX 図面化モジュール 69万円 8月31日
(2次元製図機能含む)
販売目標
1年間で、5,000ライセンス
本製品の特長
1. 2つの手法の混在設計による柔軟な編集作業を実現
従来はダイレクトモデリング手法を使用した編集後にはモデル全体のパラメーターやフィーチャー情報が失われていましたが、今回の機能強化によって、ダイレクトモデリング手法を用いても、編集部位以外のパラメーターやフィーチャー情報を維持することが可能になりました。これにより、ダイレクトモデリング手法を用いた編集後も、フィーチャーベースパラメトリック編集が行えるようになり、過去の形状の復元やモデルの各部位の寸法比率などの条件を設定した上で編集作業を実施することが可能です。
2. 3次元モデル高速検索機能の提供による効率的な設計データの活用
登録されているモデルの中から、指定した3次元形状と同一あるいは類似した形状を含むモデルを高速に検索できる機能を追加しました。
3. 3次元JIS標準部品ライブラリの提供により、モデリング時間の削減を実現
製品の中で頻繁に利用する標準的な部品を3次元モデルのライブラリとして提供することで、モデリング時間を削減します。まずJIS規格部品323品種から提供を開始します。
4. 図面化機能や検証機能の強化により、図面作成の効率化を実現
展開断面図の投影機能により、3次元モデルのクリッピングから直接断面図が作成できます。また、曲面の滑らかさを検証するゼブラシェーディング機能により視覚的に適切なモデリングができているか確認することができるほか、クリアランスチェック機能により、取り付け時のクリアランスや製造誤差を一目で確認することができます。
主な仕様
OS : Microsoft(R)WindowsR2000、Microsoft(R)Windows(R)XP
ハードウェア : FMV、CELSIUSシリーズなどのAT互換機
CPU : Intel(R)Pentium(R)以上を搭載したコンピュータ
メインメモリ : 最低:256MB以上 推奨:512MB以上
ハードディスク : 450MB以上(フルオプションインストール時は1,350MB)
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
注釈
注1 フィーチャーベースパラメトリック手法:
フィーチャーと呼ぶ単位の形状を積み重ねてモデルを作成する手法。フィーチャーには形状を定義するのに必要な寸法パラメーターがあり、その値を変更することで形状を変更できる。設計ルールを取り入れることができる反面、作成手順が長いモデルや他者が作成したモデルなどの編集が難しい場合もある。
注2 ダイレクトモデリング手法:
ノンヒストリーモデリングとも言われる、フィーチャーやパラメーター、作成履歴を持たずにモデリングする手法。直感的に編集が行え、他CADシステムから取り込んだ幾何形状情報のみのデータの変更も行える一方、一括編集やルール化などには向かない。
注3 すりあわせ設計:
日本が得意としている家電製品や自動車など統合型製品の設計において重要となる手法で、部品相互の関係を意識しながら、最適な製品を目指していく設計。
注4 シンクライアント型運用:
サーバ上でアプリケーションを集中管理し、クライアントにインストールすることなく、Web接続によるCADの運用方法。
注5 CADオンデマンド・アウトソーシング・サービス:
3次元CADソフトウェアをデータセンター経由で必要に応じて利用可能とし、その利用量に基き課金を行うサービス。
注6 Parasolidフォーマット:
UGS社製の汎用モデリング・カーネルParasolidを利用して作成される3次元CADモデルのデータフォーマット。
関連リンク
SolidMXホームページ http://jp.fujitsu.com/solutions/plm/cadcam/solidmx/