鹿島、リアルタイム防災システム「RDMS」を「秋葉原UDX」に適用
鹿島のリアルタイム防災システム「RDMS」商用ビルに初適用
秋葉原の新しいIT拠点「秋葉原UDX」に実適用
鹿島(社長:中村満義)は、リアルタイム防災システムのツールのひとつとして開発した「RDMS*」を「秋葉原UDX」に実適用しました。これまで自社施設に適用し検証を行ってきましたが、商用ビルに適用するのは初めてです。
RDMSは、地震の直前、最中、直後と時々刻々と変化する状況をリアルタイムに把握し迅速に管理者や居住者に伝達することで、危険回避を促したり、一刻も早い復旧と事業再開を支援するシステムです。秋葉原UDXでは、ビルで観測した地震時のリアルタイム情報をもとに、管理者に防災管理サポート情報を地震直後に提供します。鹿島では、本システムをリアルタイム防災システムのツールのひとつとして位置付け、今後も更なるメニューの拡充を図っていく方針です。
(*RDMS: Real-time Disaster Mitigation System商標登録済み)
鹿島では、地震の直前、最中、直後のリアルタイム情報を元に地震被害低減を目指すさまざまなシステムツールの開発を進めています。
2004年に「RDMS」を開発、プロトタイプを技術研究所内の実験棟に適用し、実際の地震を通してシステムの検証を行ってきました。さらに、昨年の秋からは気象庁の緊急地震速報の情報を元に鹿島独自の解析により精度の高い震度情報を提供する「鹿島早期地震警報システム」を、神奈川県内の複数のマンション建設現場に導入し、その有効性を確認しています。
●鹿島のリアルタイム防災システム「RDMS」の概念
(※ 関連資料を参照してください。)
そして、今年6月、商用ビルに初めてRDMSを適用しました。秋葉原UDXは、IT拠点として再開発が行われた「秋葉原クロスフィールド」の中核をなす施設で、NTT都市開発と鹿島が主体となり開発及び運営を行っています。オフィス、店舗など様々な業種のテナントが入居している延べ床面積16万m2という巨大な超高層複合ビルであり、建物の機能を守る上で、電気、通信等の設備系インフラの停止は最も避けなければなりません。そこで、秋葉原UDXでは建物機能を守る上で重要な「設備」機能に重点を置き、建物、設備の異常を早期に発見し、二次災害を防ぐための迅速な初動を支援するシステムとして、主に「直後」対応をメインにシステムを構築しています。
●秋葉原UDX
(※ 関連資料を参照してください。)
【 秋葉原UDXに導入したシステムの概要 】
地震が発生すると、建物内の6箇所に設置された地震計が建物の揺れを計測、1階の防災センターのサーバーで直ちに階層別に建物の応答(負荷)をシミュレーションします。この結果から建物や設備の危険度を判定し、最大加速度分布や震度などの地震情報と設備機器の点検の要否や点検箇所、優先順位などの防災管理サポート情報を防災センターのモニターに表示します。同時に、管理者や事業者の携帯電話などにも同様の情報をメールで送信します。これは夜間・休日の非常要員の召集にも活用することができます。これら防災管理サポート情報は地震終了から僅か数十秒で表示されます。地震のレベルや設備の重要度に応じて点検要否や点検手順が表示されるため、防災管理者の迅速・的確な初動、早期復旧のための支援を行うものです。
このようにRDMSは、地震の際のリアルタイム情報を元に防災管理情報を即時に提供することで地震直後の管理者の初動を支援し、防災管理を合理化するシステムです。本システムは建物としての事業継続を支援するものであり、地震防災に配慮した次世代ビルとして建物の価値向上に寄与します。また、テナントビルとしてビル機能の維持、早期回復を支援することで、入居テナント自身の事業継続にも寄与するものと考えています。
●秋葉原UDXのRDMSフロー
●秋葉原UDXのモニター
(※ 関連資料を参照してください。)
【 今後の展望 】
秋葉原UDXでは、今回導入した「直後」対応をメインとしたシステムに加え、今後緊急地震速報を用いた「直前」対応システムを追加導入することで、地震直前から最中、直後の対応をトータルで支援するシステムへのバージョンアップも検討されています。
RDMSは建物や施設の種別、用途、事業者のニーズに応じて様々な使い方が考えられます。特に、不特定多数が訪れる高層ビルや地下街など密集度の高い大型施設や、病院や防災拠点となる危機管理中枢施設、業務の途絶を避けたい生産施設や情報通信施設などに導入することで、直後の迅速な初動を支援し、建物・設備の異常の早期発見、早期機能復旧をサポートします。
鹿島では、これまで培ってきた豊富な地震技術のノウハウを活かし、「鹿島早期地震警報システム」を始め、震度など地震情報の即時表示システムや、被災度推定システムなど様々な技術開発を進めています。今後もお客さまのBCPを支援するリアルタイム防災システムツールの拡充を図っていき、お客さまのニーズに合わせたシステムの提案を行っていく方針です。