住友商事子会社と積水化学、「糖鎖」解析の有力ツールとなる「人工レクチン」の高生産に成功
サミット・グライコリサーチ、積水化学工業と糖鎖関連分野で共同開発推進
~糖鎖解析の有力ツールとなる「人工レクチン」の高生産に成功~
住友商事株式会社(社長:岡 素之、以下住友商事)のバイオ分野の戦略事業会社である「サミット・グライコリサーチ株式会社(社長:堀本 泰三、以下、サミット・グライコリサーチ)」は、積水化学工業株式会社(社長:大久保尚武、以下、積水化学)と共同で、ポストゲノムとして注目を集める「糖鎖」の解析に有力なツールとなる「人工レクチン」の効率的生産に成功した。今後、両社は開発した「人工レクチン」生産技術の高度化を進め、「人工レクチン」の安定・大量生産の確立を図る計画である。また、サミット・グライコリサーチでは、「人工レクチン」を応用した診断薬や再生医療分野での臨床応用研究を強力に推進する計画である。
【背 景】
サミット・グライコリサーチは、2005年3月に基本特許(特許番号第3658394号『糖鎖解析用レクチン群及びその使用方法』)を取得した「人工レクチン」によって、天然由来のレクチンとは特異性、親和性を異にするレクチンの開発に成功している。これら「人工レクチン」を用いることによって、既存の方法では検出できなかった糖鎖を検出できるようになった。そこで、サミット・グライコリサーチは人工レクチンによる糖鎖解析技術の臨床応用を強力に推進することで、医療への貢献を目指している。
積水化学では、古細菌の蛋白質変換酵素PPIase(ピーピーアイエース)の機能を利用した、大腸菌を宿主とした蛋白質生産に取り組んでいる。PPIaseは多くの生物に存在し、アミノ酸プロリンのシス・トランス変換を促す酵素として知られている。特に古細菌由来のPPIaseは、蛋白質が活性を示す正しい立体構造にフォールディングする機能を持つことを見出しており、この機能を人工レクチンの生産に応用した。大腸菌内で可溶性発現に成功し、従来法と比べ10倍以上の生産量であることを確認した。
今後、両社は開発した「人工レクチン」生産技術の高度化を進め、「人工レクチン」の安定・大量生産の確立を図る計画である。また、サミット・グライコリサーチでは、「人工レクチン」を応用した診断薬や再生医療分野での臨床応用研究を強力に推進する計画である。
【これまでの経緯/今後の戦略】
住友商事が、2003年1月に設立したサミット・グライコリサーチでは、入村達郎教授と山本一夫教授の2教授を取締役に迎え、産学協同で東京大学と糖鎖分野で共同研究を進めてきた。2003年11月には、株式会社医学生物学研究所(社長:西田 克彦、本社:名古屋市中区、以下医学生物研究所)の出資を受け入れ、次世代型の医薬品や診断薬、再生医療、研究試薬分野などに向けた研究開発を進めてきた。
サミット・グライコリサーチでは、基本特許(『特許番号第3658394号 糖鎖解析用レクチン群及びその使用方法』)の成立と第三者割当増資による企業体質の強化により、バイオ研究の最先端「糖鎖」関連分野での事業化に向けて本格研究開発を推進し、新薬、診断薬や再生医療分野で協力関係を築ける製薬企業、診断薬企業、IT企業等と提携し、医薬品・診断薬等の製品開発や再生医療分野での実用化を更に加速していく。
以 上
【サミット・グライコリサーチ会社概要】
【積水化学工業会社概要】
(※ 関連資料を参照してください。)