メディネットと日赤医療センターなど、多発性骨髄腫に対する追加臨床研究を開始
メディネット、日赤医療センター及び同社契約医療機関との
活性化自己γδT細胞療法を用いた多発性骨髄腫に対する追加臨床研究を開始
株式会社メディネットは、日本赤十字社医療センター(東京都渋谷区、院長:増田寛次郎、以下「日赤医療センター」)及び同社契約医療機関である新横浜メディカルクリニック(横浜市港北区、院長:金子亨)と共同で、活性化自己γδT細胞療法(i)を用いた多発性骨髄腫(ii)に対する臨床研究を実施してまいりましたが、この度、有効性をより明確に評価、検討するために、日赤医療センター血液内科(部長:鈴木憲史)の主導で、追加の臨床研究を実施することで合意し、平成18年9月19日、共同臨床契約を締結いたしましたのでお知らせいたします。
メディネットと日赤医療センター及び新横浜メディカルクリニックは、平成17年12月より平成18年3月までの期間、VAD療法(iii)等が行われた多発性骨髄腫を対象に、体内の残存が予想される骨髄腫細胞に対して活性化自己γδT細胞療法を実施し、同療法の安全性と有効性を評価、検討する共同臨床研究を行っておりました。その結果を受け、今般、より明確に有効性を確認することを目的とした追加の臨床研究を実施することとなったものです。また、本臨床研究には、同社契約医療機関である瀬田クリニック(東京都世田谷区、院長:後藤重則)も参加し、平成19年7月までの期間での実施を予定しておりますメディネットは、γδT細胞の骨髄腫細胞に対する高い殺傷能力をin vitroの実験で確認しており、前回の臨床研究に引き続き、今回の追加臨床研究でもその有効性と安全性を検討して行きます。骨髄腫細胞を直接的に殺傷するγδT細胞を用いた活性化自己γδT細胞療法は他の免疫細胞療法と同様、従来の化学療法、放射線療法とは全く異なる作用機序によって、QOLを乱すことなく抗腫瘍効果が期待できる新しい療法であり、高齢者に発症が多い多発性骨髄腫治療への臨床応用の検討は、今後のがん治療全体にとっても少なからず意義を持つものであります。
メディネットは、本共同臨床研究において日赤医療センター血液内科及び同社契約医療機関に対し、同社が保有する各種基礎データを提供するとともに、医療機関が患者様に対して実施する採血、細胞加工、投与、診察等の結果から得られる新たなデータを収集し解析する役割を担っております。これらの取り組みにより、メディネットが保有する細胞加工技術及びノウハウに基づく活性化自己γδT細胞療法を用いた新たな治療プロトコルの臨床効果を評価、確認し、保有技術の臨床エビデンス強化を図ると共に、多発性骨髄腫に対する新たな治療法の確立に貢献し得るものと期待されます。
以 上
(i)活性化自己γδT細胞療法
T細胞の中でも、特にγδT細胞を選択的に活性化、増殖して用いる活性化自己リンパ球療法。この細胞は、ほとんどの腫瘍細胞で発現している特定のマーカーをターゲットとして、腫瘍細胞を殺傷するということがin vitroの実験で確認されている。生体内においても、高い確率でがん細胞を殺傷する事が推定され、その治療効果が大いに期待される。
(ii)多発性骨髄腫
多発性骨髄腫は、リンパ球から分化した形質細胞ががん化した血液がんの一種。典型的な病状として、貧血、腎障害、骨痛、易骨折性、高カルシウム血症等が挙げられ、その結果、QOL(Quality of life)が著しく低下するが、現時点では、骨髄腫の最善の治療としてコンセンサスが得られているものはなく、様々な併用療法が施行され治療成績を向上させる試みが行われている。
(iii)VAD療法
多発性骨髄腫の患者に施される化学療法の一種であり、3種類の薬剤を併用して、より強力な抗腫瘍効果を期待する治療法。ビンクリスチン(Vincristine;抗がん剤)、アドリアマイシン(Adriamycin;抗腫瘍性抗生物質)、デキサメタゾン(Dexamethasone;副腎皮質ホルモン剤)の3種を用いるため、VAD療法と呼ばれる。
*添付資料あり。