三井住友海上、第2回業務改善計画の実施状況を発表
業務改善計画の実施状況について
三井住友海上火災保険株式会社(社長 江頭 敏明)は、2006年7月21日付で金融庁に提出した業務改善計画に従い、具体的な改善策を実施しておりますが、本日、第2回の業務改善計画実施の状況報告を金融庁に提出いたしました。その主な内容は下記のとおりです。
I.ガバナンスの改善・強化
1.第1回監査委員会の開催
弊社では、業務運営、内部監査、コンプライアンス取組状況を検証する機関として新たに監査委員会を設置していますが、その第1回委員会を平成18年9月19日に開催しました。
委員会では、内部監査方針、企業品質管理部による業務運営の検証の手法、業務改善計画の進捗状況等についての報告を受けて、社外取締役を中心とする委員およびアドバイザーが活発な議論を行いました。
具体的には、「企業品質管理部が行う一般消費者アンケートは重層的かつ継続的に行うべきである」、「約款解釈集の整備に際しては、最近の裁判事例の動向も踏まえ『社会の中の保険会社』としてお客さま本位の解釈判断を行うことが必要である」、「第三分野の疾病補償商品の適正支払を確保するため、規程やマニュアルの整備に加え支払審査会による審査事例の蓄積も有効に活用すべきである」といった意見が出され、今後の業務運営態勢の整備に反映していくことといたしました。
2.役員へのガバナンス研修の実施
危機管理の専門家を招き、企業における危機管理およびコンプライアンスをテーマとして、役員を対象としたガバナンス研修を実施しました。社外からの苦情を端緒として社内の問題点を把握することの重要性や、法令順守態勢の構築にあたり企業が一般的に陥りやすい問題点等を、具体的事例に即して研究し、実際の業務に活用していくことを論議しました。
3.業務運営に係る報告態勢の抜本的な改革
(1)企業品質管理部の新設・稼動
平成18年9月1日付で新設した企業品質管理部が業務を開始し、適正な保険金支払確保のために商品各部が作成した「約款解釈集」、損害サービス業務部が作成した「保険金不払いの該当性判断基準」等の検証を実施しました。
(2)経営と第一線とのコミュニケーション強化
経営陣と第一線社員との「経営ミーティング」を開始しました。会長・社長および本社担当役員が全国の部支店を往訪し、第一線の社員と業務上の課題や解決策を論議しています。そこで得た提言は年度末を目途に策定中の「グループ新ビジョン」や新しい企業文化を創成する「つくるかわるプロジェクト」に反映して参ります。
(3)代理店とのコミュニケーション強化
平成18年8月30日の「MSA(三井住友海上グループ全国代理店会)幹事会」において、全国の代理店の代表と経営陣との意見交換を実施しました。その場で全国の代理店から寄せられた提言を論議し、「保険金支払に関する態勢整備」「シンプルで分かりやすい商品開発」を今後推進して行くことなどを確認しました。
4.内部監査態勢の抜本的な改善・強化
(1)平成18年度下期内部監査方針の決定
平成18年度下期の内部監査方針について第1回監査委員会で論議、検証しました。下期からは、全部門での監査を抜き打ちで実施すること、お客さまへの説明責任、保険金支払責任を着眼点とする監査を重点とすることなどを柱として、内部監査の充実を図ってまいります。
(2)保険金支払内部監査態勢の強化
平成18年9月1日付で内部監査要員を64名から97名体制に増強しておりますが、保険金支払部門担当の内部監査人については、年度始めの専任10名体制から更に9名増員し、専任19名体制としました。今後12月までに全国の損害サービス部の集中監査を実施し、保険金支払管理態勢の適切性を監査してまいります。
II.保険金支払管理態勢の改善・強化等
1.保険金支払管理態勢の抜本的な見直し・改善
(1)「約款解釈集」、「保険金不払いの該当性判断基準」の整備
保険金支払部門の担当者による約款解釈の誤りや、運用のばらつきを防止し、お客さまにお支払いすべき保険金に関して公平性・透明性・適切性を確保することを目的に「約款解釈集」、「保険金不払いの該当性判断基準」を整備しました。
(2)支払審査会の新設等
平成18年9月1日付で、社外有識者(弁護士、消費者代表、医師)等を委員とする「支払審査会」を新設いたしました。第三分野商品の保険金支払審査を開始し、告知義務違反解除や始期前発病の規定を適用する事案について審査を実施しています。また、10月1日付で、長期医療サービスセンターを設置し、終身医療保険の保険金支払い業務を集約し、専門性を高め、公平・公正な支払いを行ってまいります。
(別紙1:支払審査会の発足と第三分野疾病補償商品の審査実施状況について)
(3)支払相談室の新設・稼動
平成18年9月1日付で、「支払相談室」が保険金支払に関する一般的な照会・相談の窓口、および苦情申し出の窓口として業務を開始しました。お客さまからの苦情申し出に対し、支払相談室が各サービスセンターへ事実関係の報告を求めるとともに、必要に応じて再査定の指示を行い、その結果を踏まえてお客さまへ対応してまいります。
(4)保険金支払状況等の継続開示
保険金の支払状況については抜本的な検証を継続しており、その結果を引き続き適時・適切に開示するとともに、今後は、保険金支払いに関する苦情・不服申立の内容や保険金支払事由非該当等で保険金をお支払いしなかった事案の開示にも努めてまいります。
(別紙2:付随的な保険金の支払漏れおよび終身医療保険等第三分野商品の不適切な不払いに関する対応状況について)
2.商品開発態勢の抜本的な見直し・改善
商品の開発・改廃にあたっての「商品開発方針」を改定するとともに、「商品開発」「契約引受」「営業・募集」「商品販売後のモニタリング」の各工程で社内関係部が遵守すべき「商品開発管理規程」の改定を行いました。今後は、商品開発部門と損害サービス部門・システム部門との連携強化、商品開発工程表による管理、企業品質管理部による商品開発工程の適正性の検証、モニタリングによるお客さまの意見の商品開発への反映等を柱とする商品開発管理態勢を構築してまいります。
III.契約者保護、契約者利便の改善・強化
1.社員・代理店に係る保険募集管理態勢の確立
「コンプライアンス重視の役職員評価制度」の実施
平成18年10月からコンプライアンス重視の役職員評価制度を導入します。
具体的には、人事評価制度においてコンプライアンス・お客さま基点で評価する項目を独立させることにより、人事評価におけるコンプライアンス重視を明確化しました。
2.苦情対応態勢の抜本的な見直し・改善
(1)苦情対応方針の策定
お客さまからの苦情対応態勢の構築および確保は、保険会社として健全かつ適切な業務運営の基本に関わるものであり、適切な苦情対応態勢の構築を目的として、苦情対応方針を策定しました。
今後、お客さまからの苦情を「業務運営の改善に役立つ重要情報」として活用してまいります。
(別紙3:お客さまからの苦情受付状況について)
(2)お客さま基点推進諮問会議の設置
平成18年10月1日付で「お客さま基点推進諮問会議」を設置することを決定しました。同会議は、取締役会の諮問機関として設置するもので、半数以上を社外委員で構成し、お客さまの声担当部が集約した苦情情報を含むお客さまの声を分析し、契約者保護、契約者利便に資する諸施策について取締役会宛に提言を行ってまいります。
IV.法令等遵守態勢の改善・強化
1.内部牽制機能を強化するための法令等遵守態勢の確立
(1)役職員からの宣誓書取付け
課長職以上の全対象者から、法令等遵守に関わる社長宛宣誓書を取り付け、全社的にコンプライアンスを重視した業務運営に取り組んでいく姿勢の徹底を図りました。
(2)「不祥事件該当性判断基準」の改定
不祥事件該当性判断の適切性を確保するため、平成18年9月19日開催の第1回監査委員会の検証を経て「不祥事件該当性判断基準」を改定しました。不祥事件に該当する具体的なケースを例示することで分かりやすい基準とするとともに、今後発生する個々の事案に対する不祥事件該当性判断の適切性を確保するため、複数弁護士による検証を求める態勢としました。
2.法令等遵守に関わる事案の調査・分析、改善策の策定
「コンプライアンス強化月間」(8~9月実施)において、コンプライアンス総点検を実施しています。
(別紙4:火災保険における建物構造級別の判定誤りと今後の対応について)
(別紙5:保険料払込免除手続き漏れについて)
(別紙6:全損終了済み長期契約・保険料返戻漏れについて)
以 上
(※別紙1~6は添付資料参照)