米GM、キャデラック用エンジン組み立てに「オーナーシップ」プロセスを導入
スーパーチャージャー付きノーススター4.4リッターV8エンジンは、熟練工により最高レベルのクオリティで仕上げられる
- 1人のメカニックが1つのエンジンを組み立てる「オーナーシップ」プロセスを導入 -
・ノーススターV8(スーパーチャージャー付き)エンジンは、GMパワートレインが新設したパフォーマンスビルドセンターでハンドメイド。
・総面積10万立方フィートの同センターでは、専門の熟練メカニックを配置。
・1人のメカニックが1つのエンジンを組み立てる「オーナーシップ」プロセスで最高のクオリティを保証。
・GMのグローバル生産システムと融合した少量生産の組立プロセスにより、効率性と高品質を実現。
ミシガン州ウィクソム発
GMが新設したパフォーマンスビルドセンターで1日に組立てられるキャデラック用スーパーチャージャー付きノーススター4.4リッターV8エンジンはわずか15基。各エンジンを専門のメカニックが終始一貫して1人でハンドビルドするためだ。
総面積10万平方フィートのパフォーマンスビルドセンターでは、STS-Vなどに搭載されるノーススターV8(スーパーチャージャー付き=以下SC)など、ハンドビルドの超ハイパフォーマンスエンジンの組立てを専門に行う。少数生産高級車メーカーのノウハウと、GMで確立された品質水準と生産水準を集約した同センターは最高のクオリティを保証する。
パフォーマンスビルドセンターの所長、ティモシー M. シャークは、「当センターの生産プロセスには、プレミアム製品のためのプレミアムな生産技術が結集している。各メカニック1人ひとりが組立てのすべての工程に責任をもって当たるため、最高レベルのクオリティを実現できる」と語った。
ノーススターV8 SCの生産は、エンジン構成部品がストックされている「スーパーマーケット」と呼ばれる場所から、各メカニックがエンジンブロック1基とその他必要な構成部品を選出するところから始まる。メカニックはエンジンブロックを可動式スタンドに据えると、スタンドを最初の組立てステーションに移動させる。ステーションは全部で約15区画あり、上から見るとちょうどUの字を描いているのが分かる。各ステーションには特定の組立工程のみに必要な専用ツールが備えられている。
1つのステーションでの作業を完了すると、メカニックはスタンドと共に次のステーションに移る。構成部品や組立て作業に問題が発生すると全体がストップしてしまうため、各工程は慎重にタイミングが測られ、入念に計算されている
エンジンが完成すると、メカニックは一連の品質チェックを行う。例えば、エンジンの接合部の締め付けトルクはこの時に検証され、それぞれの結合部に、確認済みであることを示す塗料がつけられる。各メカニックは、自分が組立てたエンジンと書類に自らのサインを書き込む。すべての品質チェックが完了すると、エンジンは耐熱性を試験するエリアに運ばれ、20分の運転耐熱試験が実施される。これらすべての手順が終了し、ようやくエンジンは車両組立工場に運ばれる。
海外視察により、新たな少量生産システムを導入
パフォーマンスビルドセンターを設立するに当たり、シャークとGMパワートレインチームのメンバーは、米国のプロレーシングチームの工場とヨーロッパの少量生産高級車メーカーを訪れ、少量特殊生産の詳細を学んだ。
シャークは、「これまで長い間慣れ親しんだ大量生産の世界から一歩離れて、特殊生産の環境に没頭できることは貴重な経験だった。世界最高の少量生産メーカーらから多くを学んだ我々は、それを参考に少量生産システムを確立した。しかし、これまでGMがこれまで築いてきた質の高いノウハウも失わなかった」と語った。
事実、パフォーマンスビルドセンターでは、現代の特殊エンジン生産システムのベストプラクティスと、最近のJ.D.パワーアンドアソシエイツによる製造品質ランキングでGMをトップに輝かせた最高の大量生産システムとが見事に融合している。パフォーマンスビルドセンターのエンジン生産能力は年間15,000台と比較的小規模であるにもかかわらず、GMの大量生産工場で採用されている品質標準がすべて導入されている。
シャークは、「パフォーマンスビルドセンターは、個性豊かな製品をつくるというGMの目標を体現している。すべてのメカニックはここで働けることを誇りに思い、それぞれのメカニックとしての力量をハイパフォーマンスエンジンに存分にぶつけている」と述べた。
以上